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勇者が町にやって来る

久々になってしまいました。評価入れてくれた方ありがとうございました。

前回更新時に書き溜めてあった分をアップしていきます。

「覚悟しろ。魔王!」


「成敗してやる。魔王!」


「己の悪行を恥じて滅びろ。魔王!」


 多様な台詞を叫びながら、勇者が町にやって来る。


「お前達など、魔王様の出る幕ではないないわ!」

 俺の側近で高位の魔術士であるジョルジュが杖を振れば、あっと言う間に勇者のパーティーは目の前から消えた。


「魔王様、お怪我はありませんか?」


「あるわけ無いだろ。空から見てただけなんだから」

 ここ魔王城のある首都ソドムには、三日と空けず勇者が現れる。目的は全員魔王討伐なので、つまり俺を殺すことだ。


「勇者が簡単に現れすぎじゃないか?しかもここ、魔王城のある首都だよね?それに来る勇者の顔が皆違ったんだけど?」

 ツッコミ所が多すぎる状態に、興奮しながらジョルジュを質問攻めにする。


「はぁ。勇者は人間の職業なので、現状複数存在しますね。魔王様が復活したので、これから益々増えるでしょう。ですがご安心を。我らが貴方様の楯になりお守りいたします」


「勇者が職業でいっぱいいるなら、魔王は?魔王は何人もいるのか?」


 できれば俺以外の魔王の所に行って欲しい。


「まさか。魔王は天命なので一人しか存在しません。何人もだなんて恐れ多い。至高の存在ですので貴方様お一人ですよ。魔王様」


「えっ。そんな!」


 勇者が職業で魔王が天命って何?嫌がらせでしかない。


「直ぐに首都に攻め込まれるのは、現在魔族の人口が全盛期の1/10程度に減ってしまったためだと推測できます。首都にできるだけ固まって住むようにしてますしね。後は体の大きい者や力のある者は、地方の境界線近くを守る意味も兼ねて方々に散らばっております」


 つまり境界線の何処か一カ所突破すれば、直ぐに首都に到着する訳ね。納得。


「それでは魔王様、城へ戻りましょうか」


 俺はジョルジュと一緒に空を飛んで城へ戻った。


 □□□


 俺は魔族の人口減少の原因を知るべく、ジョルジュに出して貰った資料を手に取った。


元の世界(あっち)では毎日メンタル(えぐ)られる社畜(しゃちく)で、異世界(こっち)では命を狙われる魔王とか、どっちがマシなんだか」


 思わず口にした言葉にジョルジュが過剰に反応した。


「魔王様、まさか元の世界(あちら)に戻りたいとか仰いませんよね?」


「それは言わない」


 ただし、どっちも嫌すぎてわざわざ移動する気になれないだけで、異世界(こっち)に居たいわけでもない。できれば他の第三の選択肢が欲しい。


「人口ですが、前の魔王様が身罷(みまか)られたときに一気に減っています。それ以降はあまり積極的に増えていません」


「なんで?!」

 減ったなら増やしたいとか思わないのだろうか?


「魔王様不在で、国が安定しないことで安心して子供を育てる環境が整っていません」


「なら、新しく魔王が来たんだから、これから増やそう。俺は俺を守ってくれる奴が沢山欲しい」


 空を飛ぶしか能が無い俺は、これからドンドン来るであろう勇者から自分を守る術が無い。

 魔王を辞める方法は考えたが、天命みたいだし、何よりジョルジュが頑なに魔王として接すのに根負けした。自分を魔王と仮定して身を守る方法を模索(もさく)する事にしたのだ。


 そう、俺は俺を守ってくれる有能な人材を欲していた!


「ですが、難しいかもしれませんねぇ」


「なんで?!」

 魔王の俺が命令したなら聞いてくれるんじゃないのか?!


「魔王様が結婚していないのに、我らが先を越すなど、ちょっと気が引けますから」


「はぁ?!関係ないだろ。気にせずじゃんじゃんしてよ!」


「我ら男がしたくても、女性も魔王様に見初められる可能性がある内は積極的に動かないですよ」


 ガーン。


 俺のせいで、俺の命が脅かされている。


「な、なら、俺が結婚すれば、出生率が上がるのか?」


「間違いなく上がりますね。魔王様の婚姻(こんいん)なんて、国を挙げてのお祝い事です。浮き足立て、うっかり所帯(しょたい)を持つ者が増えることでしょう」


「よし。嫁を貰うぞ!」


 俺の命を守るために!

【小ネタ】

ゆーや:魔王城までの攻略がチョロすぎる・・・

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