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黒犬が運んできた幸運  作者: 伊佐波瑞希
5/7

決意


「あ、そうだ!!はいこれ」


私が反対を向いていると奴が懐から何かを出したようだ。

奴は私の膝の上に出したものを置く。

私はちらっと見ればそれは綺麗に包装された箱だった。


「昨日はいきなりクッキー食べて悪かったね、あとで聞いたんだけど昨日バレンタインだったんだって?俺、知らなくて、無神経なことも言ったし、ごめん」


奴は昨日とは別人のように謝罪してきた。

私は、誰だこいつ?

のような顔で奴を見る。


「それ、昨日のお詫び、良かったら食べて」

「え、あ、うん、ありがとう?」

「うん、じゃ、俺行くね」


そして奴は黒猫を抱いて行ってしまった。

私は奴の遠ざかる後ろ姿をただ呆然と眺めた。


☆☆☆


奴がいなくなってから公園も閉園の時間が近かった為、私は帰路についた。

そしてふと奴が渡した箱をみる。

綺麗に包装された箱、箱事態もなんだか高そうなデザインだ。

私はラッピングを剥がし箱を開けた

中にはあったのは箱いっぱいのアイシングクッキーだった。

私は一枚取り齧る。


「うまっ!!」


なにこれ!?

めちゃくちゃうまいんですけど!?

私は夢中でクッキーを食べる

半分くらい食べたところで私はあることに気づいた。箱の底に文字が書いてあるのに。

残ったクッキーを蓋側の箱に移して確認する


そして私は固まった。

底にはこう書いてあったからだ


〝うまかったか?俺の手作りクッキー!!

お前のよりうまかったろ?〟


「あ、あぁぁぁ!!」


私は持っていた箱を投げようとした。だがクッキーがまだ入っている事を思いだし踏みとどまる。

そしてもう一度クッキーを一枚齧る


「‥‥おいしい‥‥」


私はうなだれながら帰路についた。


☆☆☆


「う~ん、たしかにおいしいね‥‥」

「‥‥ね?」


帰宅した私はリビングで寛いでいた姉を自室に招き奴から渡されたクッキーを渡した。

姉は困惑しながらクッキーを咀嚼、そして私と同じ感想を言う。


だよね?

悔しいけど私が作ったやつよりおいしかった


姉もそれが分かっているか私になんと声をかけていいかわからない様子だ


はぁ、完敗だ‥‥

しかし奴は何がしたいのか?


「しかし何がしたいのかねぇー」


どうやら姉も私と同じ疑問を抱いたようだ


「お姉ちゃんもそう思う?」

「そりゃねぇ、なんでわざわざ初対面の子にここまでするのがわからないし?私は見てないけどなんでイケメンがあんたみたいな普通の子に?ってのもあるし?疑問を出したら切りがないよ」

「だよね~」


自分で言うのもあれだが、私が超絶美人なら一目惚れして気を引こうとしているかもしれない

だが私はいたって普通の容姿、体型は細がただが?胸もないし?ぶっちゃけ寸胴だし!!悪いかっ!!


「で、どうするの?」

「どうするって?」

「だからそのイケメンへの対応」

「あ、うん‥‥どうしよう?」

「はぁ、私に聞いてどうするのよ」

「だって‥‥」

「嫌ならその公園に近づかなければいいじゃない?もしも仲良くなりたいなら行けばいいし」


姉の言葉に私は考え込む、

そうだよね、あの公園に行かなければいいんだ

別に仲良くなりたいとかはないし!!

あ、でもな‥‥‥


「別に仲良くはなりたくないかな?ただ‥‥」

「ただ?」

「やられっぱなしは性に合わない!!」


言葉にして私は確信した。

そうだ、やられっぱなしは性に合わない

絶対あいつに一泡ふかせてやる!!


私の返答に姉はため息を吐き


「はぁ、まぁ、あんたならそうだよね」

「うん!!絶対あいつに一泡ふかせてやる!!」

「がんばれ、」


姉はどこかあきれたように私にエールをくれた


よし!!

明日目にもの見せてやる!!



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