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黒犬が運んできた幸運  作者: 伊佐波瑞希
2/7

クッキー紛失

北条君は黒犬改めノアールを抱き上げる

そして私を見て


「そういえばなつみはここでなにしてたの?」


いきなり呼び捨て?

やっぱりみた目通り軽い人なのかな


「えっと、クッキーをね、食べてて」

「へー」


私がベンチに置いてあるクッキー入りの箱に視線を向けると北条君もそちらを見た。

すると北条君がスタスタとベンチに近づき箱に入っているクッキーをひょいっと取り食べた


「え?」


私が唖然とクッキーを咀嚼する北条君を見ているとクッキーを食べ終わった北条君が


「うーん、40点」

「はい?」


よ、40点!!?

わ、私が!!朝めちゃくちゃ弱い私が!!朝早くに起きて頑張って作ったクッキーを!!先輩の為に想いを込めて焼いたクッキーを!!

勝手に食べたあげくに、よ、よよよ40点!?

ありえない!!信じられない!!

なんなのこの男!!


私の精神がぐちゃぐちゃになっていく中、北条君もとい奴は笑顔を浮かべながら私に近づきポンっと私の肩に手を置くと


「もっと精進しな」

キャン!!


奴の発現と同時に奴に抱かれていたノアールも鳴き声をあげた。


なんなのよ!!こいつら!!

てか、ノアール?

あんたさっきまで美味しそうに食べていたじゃない!!

今日はなんなの!?

大好きな先輩は違う子に取られ、傷心している私の前に現れたのは黒犬と最低な飼い主

あれか!!

黒猫を見ると不幸になるというやつか!!

って

今まで迷信かと思ってたし、てか犬だし?

なんなんだ!!


私が心のなかで黒犬と奴に対する誹謗中傷していると奴は黒猫を抱いたままくるりと踵を返して


「んじゃ、がんばれよ~」


と後ろ手を振りながら去って行った

やがて奴の姿が見えなくなると私は池ほうに視線を向けて叫ぶ


「なんなのよ!!」


☆☆☆


ようやく頭と精神が回復すると私はこのイライラを沈める為に糖分を摂取しなくてはと思った


あぁイライラする!!

クッキー食べよ!!

何が40点よ!!

普通あそこはお世辞にでも100点とか言う場面でしょうが!!


私はクッキーを食べるべく、クッキーの置いてあるベンチへと向き直る。するとある異変に気づいた。ベンチのどこを見てもクッキーが入っている箱がないのだ、風で落ちたか?

私は辺りを見回す、だがベンチの下にも近くの茂みにも箱どころかクッキーの欠片すらなかった。

そして私の思考はある一つの可能性を導きだした。


先ほどまでここにいたのは奴と黒猫と私だけ、私がクッキーの箱から視線を外したのは奴と対峙し奴がいなくなるまでの間、つまり、クッキーの箱を持って行った犯人は奴しかありえない!!


「何が40点よー!!

ちゃっかり気に入ってるんじゃない!!

私のチョコレートクッキーかえせー!!」


まだ寒い公園に私の叫び声が木霊した。


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