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欲望の感染者  作者: 影山 コウ
第四章 運命を決める戦いへ
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第百二話 決定

お待たせしました。

「理央が……!?」

「あァ。理央が戦うまでもなく勝ったがな」


 氷堂達が襲われてから数日後、焔と蒼貞は今後のことを話すために喫茶店にいた。

 そこで焔は初めて氷堂が襲われたことを蒼貞から聞いた。


「そうか、無事で何よりだ。……しかし、タイマンか。進化者を殺すことが目的ならタイマンに拘る必要もない。武人気質……なんてこともないだろう」

「奇襲しといて武人気質もクソもないわな。捕まえた襲撃犯から話を聞いた所、組織のボスから言い渡された()()らしい。タイマンで進化者を倒すことで資格を得るんだと」

「資格……まさか」

「そのまさかだ。奴は進化者を倒した奴を聖戦のメンバー候補にするつもりだろうな」

「やはりか……なんとも強引なやり方だ」


 蒼貞はコーヒーを一口飲み、ため息をつく。


「……あわよくば進化者を増やそうって目論見もあるんじゃねぇかな。格上との戦いは進化を促す。感染者の生存本能みたいなもんだろうよ」

「そうだな。……もし兵隊が負けても構わない。ここから先の戦いはただの能力者じゃ厳しいだろうからな。戦力の増強と聖戦のメンバー探しの両方を同時に行える()だ。効率的ではあるが……」

「少なくとも俺や焔ならやらねェ。榊はこういう手段も平気で使えるとんだ狸ジジイってわけだ」


 そういうことだな、と一言話し焔は腕を組んで椅子に深く腰掛けた。


「……潮時だな、お互い」

「あぁ。進化者を狙ってくるんなら、こっちもさっさと聖戦のメンバーを決めとかねぇと()()()が有り得るからな。……つーかそれも榊の狙いの一つか、クソッ」

「……進化者を狙うことでメンバー選びの時間を削るつもりでか? なるほど、用意周到だ。感心すらある」

「ケッ。癪だが同感だよ」


 二人は同時に立ち上がり、お互いを見つめる。


「約束通り、お互いの聖戦メンバーは本番まで明かさねぇ。無論、組織からなんらかの妨害を受けた場合の情報共有は惜しまねぇが」

「あぁ、それでいい。……恨みっこ無し、だな」

「そうだな。俺達と戦うまで、躓くんじゃねぇぞ?」

「フフ、そっくりそのまま返すさ」


 二人は勢いよく拳を突き合わせる。


「さ、帰るか」

「あぁ」


 焔と蒼貞は、その場を後にした。


 ※


「━━と、言うことで。聖戦のメンバーはこの五人だ。文句ある奴はいるか?」


 蒼貞はさっそく支部のメンバー全員に話をする。

 蒼貞が考えた最強の五人。生半可な強さでは太刀打ちできない精鋭となった。


「……概ね納得だけどさ。一人だけはマジで意外だったよ。それ()()なんですか?」

「アリだよ遠阪。条件は満たしてるからな」

「マジかぁ。こりゃ、榊も焔さんも予想出来ねぇかもな」


 いやぁ、おっかねぇ。とぼやきながら遠阪は笑う。


「いよいよ、か」

「……理央。改めて言わせてもらうが、俺は仲間には死んで欲しくない。お前が剱持と一対一で戦いたいって気持ちは汲むつもりだが、お前がもし殺されそうになったら絶対に手を出すからな」

「……はぁ、わかりましたよもう。どうせ断っても無駄でしょ?」

「その通りだ。負けたら潔く死ぬなんてなぁ、時代錯誤なんだよ。生きてこそだぜ、何事もな」

「ま、同感ですよ。……でもこちらも改めて言わせて貰いますね」


 理央は力強く笑う。


「負けるつもりはありませんよ」

「━━ハッ、そうかよ」


 理央の覚悟を見て、蒼貞は必要以上の言葉を止めた。

 あとは結果が示すだろうと確信したからだ。


「よっしゃ! 聖戦の日が定まるまでにお前らには力に慣れて貰う必要がある! 躓くんじゃねぇぞ!!」

「応!!」


 支部内に元気な声が響いた。


 ※


「━━今頃、蒼貞は聖戦のメンバーを決めた頃だろうな。そして、私達もだ」


 焔は支部のメンバーが全員揃ったことを確認し、服装を正して椅子から立ち上がった。


「焔さん、まさか」

「あぁ。ようやく私も決まったよ」


 焔はスタスタと部屋の中央まで歩き、幾つかの書類を中央の机へと置き並べた。


「こ、これが……」

「そうだ、レイラ。これが我々の戦力の中心となるメンバーになる」


 書類に記された、聖戦のメンバーを見て


「……やるしか、ねぇ」


 レイラは、決意を新たにしていた。



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