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ディザイアゲート  作者: M.O.I.F.
第1部
9/39

番外編 雨音さんの補習授業「アビリティ」

Make Only Innocent Fantasyの三条海斗です。

以前、感想で『出し方とか深く説明があったほうがいいです』というのをいただいていたので、世界観の説明がてら番外編を書きました。設定の説明なので、物語としては……説明くさいなぁという感じです。

もうすこしうまく書けたらいいなと思いました……。

それでは、どうぞ!

初戦が終わった最初の土曜日。

休日の教室は異様なほど静かで、俺が出す物音が異常に大きく感じる。

「補習か……」

さすがに転校ということもあって、やらなければならないは理解できる。

だが、実際に誰も来ていない教室に一人でいるとやる気がそがれてしまう。

ため息を一つつく。

それと同時に、雨音さんが教室に入ってきた。

「暗い顔しないで。それじゃあ、授業はじめるわよ」

教師モードの雨音さんは、いつものほんわかした雰囲気が鳴りを潜め、どこか引き締まった雰囲気がある。

「それじゃあ、今日は『アビリティ』について。佐伯君も少しはわかってると思うけど、この機会にしっかりとね」

雨音さんは黒板に白いチョークで『アビリティ 能力』と書きだす。

本格的に授業みたくなってきたな。

「『アビリティ』は、超能力に代表される「透視」、「瞬間移動」、「テレパシー」を筆頭に、突如として使用できるようになる特殊能力のこと。

 能力にはそれぞれ特徴があるんだけど、『物質型』、『影響型』の2つに分類されるわ。

 『物質型』は、その名の通り、物質を作り出す能力のことよ。佐伯君や水瀬さんの能力も『物質型』ね。

 使用方法とかも人によって違うんだけど……佐伯君はどういう風に、アビリティをつかってるの?」

突然の質問に少し驚く。

それから自分なりの能力の使い方を考える。

「……イメージですかね。例えば、『バレット』は銃口から光弾がまっすぐ飛ぶイメージを、『ソード』だったら、懐中電灯の先に光の剣ができるイメージをします」

「『物質型』の典型例ね。『物質型』は自由に物質を作り出す反面、イメージできていないと能力が発動できないことが多いわね。それ以外にも……例えば光がない場所では光系の能力が使えない、みたいな条件もあったりするわ」

確かに、イメージできないと能力が使えないな。

『ソード』は子どもの頃に某SF映画に出てくる武器の真似をしていたこともあってすぐに使えるようになったが、『バレット』はエアガンをもって初めて使えるようになったしな。

つまり、この能力は光とイメージが重要ということか。

「次に『影響型』。これは相手や特定の何かに干渉したり操作したりする能力ね。このまえの桜井さんと麻美さんが『影響型』ね。アビリティ全般に言えることだけど、『影響型』は特に使用条件がシビアだったりするわ。

たとえば、『眠っている間しか、能力が使えない』とか、『半径2m以内で視認していないと眠らせられない』なんていうもの条件のひとつね。

それに、『影響型』には"代償を必要とする"能力もあるみたい。その分、自由度の高い『物質型』に比べて、『影響型』は能力が強力だったりするわ」

そう言われると、蓮花の能力は『夢の世界を現実に反映させる』なんてチート能力で、オーガや幽霊を量産されたし、由真の能力は一方的に相手の自由を奪えたりするからな。

初戦からああいうタイプに当たるとは思ってなかったが、斎藤・武藤ペアと比べて厄介な相手だった。

「アビリティについて、わかっていることはそう多くないの。なぜ、突然使えるようになるのか、そもそもアビリティが使用できるのはなぜなのか。原理も仕組みも謎だらけ。

わかっているのは、『アビリティにはタイプがあること』、『使用するには条件が必要であること』、『高校生になる直前に発現する』、ということだけなの。

一応、佐伯君や麻弥ちゃんが現れる前は『アビリティが発現する能力者は、1年で48名である』なんて言われていたけど、これは必ずしも正しいとは言えなくなってしまったわ」

「俺や麻弥がアビリティに目覚めたから……ですか?」

「ええ。3月の時点でアビリティ保持者……つまり能力者の数は48名だった。その全員がこの学園に入学していたのに、佐伯君と麻弥ちゃんは目覚めた。その理由は全く分かっていないわ。異常ですもの」

雨音さんの声色で、本当に理由がわかっていないということを察した。

突然の能力の目覚め。

それによって、麻弥は能力を暴走させてしまった。

これが制御できていればあんなことにはならなかったのに――――、そう思わずにはいられない。

「アビリティは非常に強力な分、危険も伴うものなの。アビリティアリーナで対戦相手を殺せるように、対戦相手のアビリティも自分の命を奪えるほどのものでもある。

自分が使っているものが、ナイフや拳銃、爆弾と同じものという認識は絶えず持っていてね」

雨音さんの言葉と共に、終了を知らせるチャイムが鳴る。

土曜日でもチャイムは鳴るんだな。

「それじゃあ、今日の補習はここまで」

「ありがとうございました」

普段の授業と同じように礼をすると、雨音さんはいつものほんわかした様子になり、教室を後にした。

その姿を見て、引き締まった緊張感がほどけてしまう。

雨音さんの補習はこれで終わりだけど、俺はまだこのあと普通科の補習があるんだけどな……。

窓の外から空を見上げる。

俺の気持ちとは全く違い、空は青く晴れ晴れとしていた。

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