あかいずきんのおにく
お母さんから葡萄のお酒と干し肉をおばあちゃんの元へと持っていくようお使いを頼まれた少女
少女はなぜ自分で届けに行かずいつも私に頼るのだろうと疑問に思いましたが
いつもは禁止されている村の外の森へと行ける絶好の機会なのでお使いを快く受けていました
お使いの品をバスケットにいれて玄関を開けると明るい太陽が少女を照らします
まぶしいなぁ
そう思った少女は帽子代わりの赤いずきんをかぶって家を出ました
家を出ると村長さんが
おや、今日もお使いかい?
森の小道を外れたらだめだからね
気をつけて行ってらっしゃい
森へ至る小道をテクテクと小さい歩幅で歩いていると
見たこともない紫の蝶々が目の前をひらひらと過ぎ去って行きました
すっかりと目を奪われた少女は蝶々を追っていってしまいます
好奇心旺盛な年頃の少女は村長の言っていたことをふと思い出しましたが気にせずズンズンと小道を外れていってしまいました
蝶々を見失ってしまった少女
いつしか森の中を深く深く進んでしまってしたようです
太陽の光が木で遮られ
薄暗くなっている森
その不気味さに少女はずきんの中にひんやりとした汗をかきました
蝶々に夢中になっていたせいで帰り道がわかりません
どっちに進めばいいのだろう
こっちであってるのかな
泣きそうなまま立ち尽くしていると
後ろの茂みがガサガサと不自然に揺れました
なにかいる
幼い少女でもそんなことは理解できます
音のなった場所から少しでも遠くへ行こうと必死に少女は走ります
するとドスドスと大きな足音が後ろから響きます
怖くてぎゅっと大好きな赤いずきんを握りしめました
すると耳が塞がり周りの音が聞こえなくなり恐怖は薄れました
しかしその僅かな安堵も束の間
力強く肩を掴まれ地べたへと引き倒されてしまいました
痛い
怖い
地べたに仰向けになった少女は追いかけてきたものの正体を知ります
村でよく見かける少し無愛想な猟師さんでした
森に入ったから猟師さんは怒ったんだ
そう少女は思いました
猟師は少女の小さくて柔らかい頬へと銃を押し付けます
力任せに銃を押し付けられてとても痛い
少女はいつも悪いことをすると頬をお母さんに叩かれたことを思い出しました
これも私が悪いことをしたからだ
しかりかたが違うだけ
そう思い少女は目をぎゅっと閉じました
やがて頬だけではなく胸やお腹に足などいろんな場所を叩かれるようになりました
あまりの痛さに目を閉じているのにチカチカとへんな白い景色が見えてきました
しばらくその景色を見ていると痛みもひいてきたのでずっとその景色を見ていることにしました
日が暮れたあと少女はぐちゃぐちゃになって村長に見つけられました
小道を外れてしまったから狼に襲われてしまったのだろう
そうみんなが思っています
どうして小さい子ばかり先に死んでいくんだろうな
村長はそう言いました
村のみんなはとても悲しそうです
そんな悲しい村の雰囲気を少しでも良くしようと猟師さんが言うには、滅多にとれないというお肉を持ってきて振舞ってくれました
悲しい出来事があるたびに貴重だという肉を振舞って元気づけようとしてくれる彼に
少し無愛想で少し不器用だけど、優しい猟師さんとみんなが信頼をしていました
また猟師さんはみんなからお礼を言われています
めでたしめでたし