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終わらない物語  作者: 衛刀 乱
黎明を告げる咆哮
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防衛

平原の先は断崖になっており、下には川が流れている。平原と山の間の谷間を跨ぐように橋が架かっていた。

ジンはその橋の前まで移動して迎撃態勢を取った。


[ジン、あなたさっきはカッコいい事を言ってたけど大丈夫? 相手はかなり多いわよ?]


「ハハッ! ホント凄い人数だね! だけど! 負けないよ! 父さんの鎧だからね! ティナもいてくれるから!」


[んもう! 調子いい事言っちゃってー]


ティナはまんざらでもない様子で機嫌良くジンの周りを飛び回っている


「なんだありゃあ? 俺ら相手に通せんぼか?

馬鹿な奴がいたもんだ!」


いよいよジンに向かって大量の殺意が牙を剥いた


ドゴンッ


まずは離れた場所からジンが先制攻撃の真空刃を繰り出した


直線上の敵が弾け飛んだ所で横凪ぎの一閃、距離がつまった周りの敵を一掃する。その後も竜巻を投げつけるような攻撃でドゴンッドゴンッと絶え間なく敵が飛び散らかっていた


何なんだ一体!


ここまで追いかけてきた兵達は先々で立ちはだかる人間離れした相手に現実と夢を間違えるような感覚に陥る。命令を受けた当初は衰弱した元州候を槍でひと突きするだけの簡単なものだった。それなのに何人倒れたか分からないぐらいやられ、今は鉄の防壁のような相手に阻まれている。防壁の方がまだましだった。なにしろこの相手は近づく相手は勿論のこと、離れていても凄まじい破壊力の攻撃をしてくる。全くもって相手の先に進める気がしないのだった。


五人がかりで槍を突きいれても暴風が収束したような盾で受けられたと思いきや、衝撃が跳ね返り全員弾き飛ばされた。


気付けばジンを中心に広範囲に及ぶ前方半円内のキルゾーンにはおびただしい数の敵が倒れていた。

すでに敵の戦意は喪失し、ジンを遠巻きにして動けなくなっている。


ガシャンガシャン


物々しい音を立てながら第八騎士団が平原まで追い付き目にしたものは軍隊対軍隊さながらの戦場だった。


「なにがどうなってんだ? ああ? 」


!?


あいつは!


ワネゴバの遠目に見たのは忘れもしないあの鎧騎士だった。待ちわびた恋人のようにジンの前に寄ってきた。


「よお! 会いたかったぜ! まさかこんな所にいるとはな。あんな辺境の村まで行かずに済んだな。分かってるよなあ? 今度はお前が死ぬまでやってやるぜ!」


凶暴な目付きにジンとティナは気圧された。


こんな奴らがアウリスの所に行ったら殺されてしまう!アウリスの背中は僕が守る!


[ジン、あなた本当に変わったわね。怖くないの?]


顔を引きつらせながらティナはジンに話しかけた


「怖いよ。とても。だけど友達を失う方がもっと怖い!うおおおおっ!」


咆哮と共にランスを突き出す。


「やる気満々だな!嬉しいぜ!楽しませてもらうか」


ドゴンッ


両者の武器が交わった時に衝撃が走る。前回はワネゴバだけが飛ばされたが今回はお互いに後方へ圧しあった。堪らずワネゴバを乗せた巨大トカゲとジンを乗せた騎獣ゲイムのゴゴは地面に横転した。


「ゴゴ! 離れてて!」


ジンがゴゴのお尻を叩くとこの場を離れて行った。さらに応戦は続く


「うおおおおっ!」


「おうらああ!」


ドゴンッ


お互いの渾身の一撃はワネゴバを数歩分圧し込んだがジンは両足が少し地面に沈んだ。


何て重い一撃なんだ!


「ガハハハハ! 楽しいぜ! もっと楽しませてくれよな!」


ワネゴバの左フックをジンは盾で防ぐと次にワネゴバが棍棒を振り切る。それをランスで受けた時、


ドゴンッ


ジンの体が大きく傾いた。


うっ!なっ 何が起きたんだ!?


もう一度ワネゴバが棍棒を打ち下ろした所をランスで受ける


ドゴンッ


すり抜けた!?


ワネゴバの武器はランスに当たる前に霧状に変化してすり抜けた瞬間にまた元の形状に戻っていた。頭に直撃を食らったジンは全身に衝撃が走り口から血を吐いた。目の焦点が合わず、耳鳴りがひどい。


[ジン! ジン! 聞こえる?! あの武器は特殊能力が付与されてる! 盾でしか防げないわ!]


ティナの必死な叫びにもジンは答えられなかった


「おおおう。もらっちまったなー! これで終わりか? つまらねえな。まあ死ねや!」


フラフラしたジンにワネゴバは不敵な笑みを浮かべながら棍棒を振りかぶった。


[ジン!ジン!]


約束したんだ! 負けない!


ジンの目に力が戻ると右手のランスを手放し、素手で棍棒を受け止めた。


ガシッ


衝撃によりジンは片膝を地面につけたが左の拳をワネゴバの腹に突き入れた時に盾の中心に風の刃がスライサーのように回転してワネゴバを切り裂いた。


「うがああああっ!」


肩から腹にかけて裂傷を与えたが頑丈過ぎるのかそこまで深いダメージは与えられなかった


[ジン!]


「ティナ! 大丈夫かい?」


[私は大丈夫よ! あなたの方が心配よ!]


「痛いけどまだ大丈夫! 相手強いなあ」


肩で息をしているジンはランスを拾い身構えた


「そうこなくっちゃなあ!」


ワネゴバが再度棍棒を降り下ろした時、


バンッ


ワネゴバの棍棒が弾き返された

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