科学と魔法
「あっじぃーよぉー!伊鶴…」
「我慢しろ憐斗。孤児院まで後ちょっとだ」
「れーんーとー、お魚落ちるからちゃんとばけつもってよぉー」
「うっせぇ!たがら俺が全部もついうたんやこのどんくさ舞音!」
「憐斗がお魚こぼすからじゃない…」
「同意」
「あ?お前まで俺様に文句あるのか星奈」
「あぁーもうお前らだまって足動かせ!」
2005年、日本。とある山奥にでかい孤児院がたっている。
多くの子は捨て子だが、なんでもここの教育はすごい良いと評判で、わざわざ金を払ってきてる子なんかもいるらしい。
俺たち、4人がいま何してるかって言うと、今日の晩飯の暢達だ!
基本孤児の皆は二つの組に分かれて暮してる。俺たちみたいな孤児達は午前中は勉強をして午後は食料の調達。
その他は午前も午後も勉強三昧のエリート組だ。
そりゃ、お金を払ってきてるんだからそれくらいの差はあるけど、休み時間とかは皆仲良くやってると思う。
「やぁ、憐斗。今日の晩御飯は大量かい?」
と、いきなり俺のことを呼んできたこいつはそのエリート組の1人、ジェイス・ローレンツ。
エリート組のなかでもかなりエリートなおぼっちゃんだ。
「はっ、俺を誰だと思ってんだ!森の熊すら泣いて逃げてく憐斗様だぜ?魚の10匹20匹なんてことないな」
「流石だね憐斗。今日もご飯のあと勉強するかい?」
「げぇ!俺はいいぜ…あんなん午前中にやるだけでもヤバイのに、お前の激ムズ問題をデザートにはくうきにならねぇーよ」
「これは厳しい評価だね。結構砂糖たっぷりの甘々問題だと思うんだけどなぁ」
こいつはいい奴なんだけど、俺らより年上だから無駄に面倒をみてくるとことがある。
「ジェイス、俺は受けさせてもらうぞ」
「ゲ!まじかよ伊鶴!俺との稽古はどうすんだよ!」
「後で行く」
「はっはっはっ、こりゃデートのお誘いが下手かな?憐斗」
「けっ!いってろジェイス」
伊鶴のやつ、ジェイスに面倒見てもらいやがって。そんなにあの眠りの悪魔が降りてくるものを受けたいのか?
「憐斗もたまには勉強したほうがいいよぉ」
「るせぇ舞音!お前の魚もくっちまうぞ!」
「うぅ〜」
凪風舞音。俺の1個下の女の子でやたら俺に指図してくる嫌な奴だ。俺がやろうとしてることをいつも心配そうに見てきやがる。
「舞音、憐斗バカだからしょうがないよ。私達もジェイスさんのとこで勉強しよ?」
…天ノ心星奈。いつも舞音と一緒にいる女の子だ。基本ウザイ!
俺のことをバカ扱いしてくる。俺は天才なのに。
「けぇーお前らは俺の天才っぷりをわからないんだよ本当に…かわいそうになってくるわぁー」
「…とことんバカ」
「うるせぇ!」
「はは、さぁさぁ、ご飯の支度を使用じゃないか」
「勝手に仕切るなジェイス!」
「はいはい」
くそっ、さっさと飯食って俺だけで稽古してやる。
午後7時、皆それぞれ食事をとり自由時間となった。
憐斗は食事をとったあとすぐに外へ飛び出して行ってしまった。
あいつもたまには勉強しないと後が大変だというのに。
「夜美月」
「……」
「よみづきー、おーい、いづるくーん?」
「…あっ、すいませんジェイスさん。ボーッとしてました」
「珍しいな伊鶴。なにか考え事か?」
「いえ、ちょっと憐斗のことを」
「なるほど、あいつは皆に心配を掛けすぎだな」
と、ジェイスさんは笑いながら窓の外を見た。
外では憐斗が気にぶら下げた薪をしないで無茶苦茶に叩きまくっていた。
「はは、あいつあんなにがむしゃらになりやがって、後で稽古もやり直しだな」
「まったくです」
俺達がそんな話をしていた時だった。ジェイスの部屋に来客がきた。
「ジェイス…いる?」
「あぁ、リーシャか。すまない、いま開けるよ」
ジェイスがドアを開けようと立ち上がる前に、俺の隣で勉強していた星奈がドアを開けに行った。
「リーシャさん!」
「あら、星奈もいたの?あらあら、皆もいるじゃない。作ったお菓子たりるかしら?」
「大丈夫です!憐斗がいないので!」
星奈のやうとんでもないこと言いやがる。まぁ事実だけど。憐斗残念だな、リーシャさんの手作りケーキ食べれなくて。
「リーシャさん。今日も見せてくれますか?」
「もぉ、星奈ったら。そんなに魔法が気に入ったのかしら?」
「うん!」
「舞音も…見たいですぅ」
「はいはい、わかったわ。今日はどんな魔法が見たいのかしら?」
「えっとね、んー」
「…回復魔法」
「あら、いっくんからリクエストなんて珍しいね」
「いや、あの魔法が一番綺麗で落ち着く気がするので」
「たしかにリーシャの回復魔法は見てるだけで癒される気がするなぁ。伊鶴、わかってるじゃないか」
「は、はい」
「私もみたいです!」
「わ、私も」
皆んながリーシャの顔をみて頼んだので、リーシャは照れながら、もうっ、と言って魔法を唱えた。
魔法…この世界で有り得ないはずのもの。なぜこんなことを出来るかは未だに改名されていない。
5年前、ある海にとても巨大な神殿が突然できたという。前代未聞の事件が起きた。当初は海底都市やら他国の平兵器やらいろいろ騒がれていたが、その神殿からでてきたのは、白い服を着た人だったらしい。
彼らのことを地底人や海底人などと色々よんでいたが、結局かれらが人間と同じく時を生きる人だということが分かり!異世界人と名付け落ち着いた。
彼らの目的は別世界との交流であるらしい。
こちらの世界の科学に非常に興味を持っていたらしい。
そして科学の代わりにあちらの世界が教えてくれたのは、魔法が存在するということだった。
「やっぱりリーシャさんの魔法は綺麗です。他の人より、こうてん…暖かく感じます」
「ふふっ、ありがとう星奈」
「しかし、まだ信じられません。魔法というものがあるなんて」
「はは、伊鶴はもう少し夢を持った方がいいかもな」
「ど、どうゆうことですか…」
「なーに、もっと子供らしくなれってことだよ」
「ふふっ、いっくんは充分子供らしいと思うけどねぇ〜」
「からかわないで下さい…」
しかし、本当に不思議なものだ。何も無いところで、手のひらから光の術式らしきものが出たと思ったら、部屋の空気がとても良くなった。
「今回の魔法は穢を浄化する魔法の劣化版みたいなものでね?空気の汚れを綺麗にする魔法なの。こっちの世界で勉強していた魔術師さんが、こないだこの術式を発表してくれてね?なんでも空気清浄機ってものを参考にしたらしいの」
「へぇ〜すごいですね、その魔術師さん」
「うん。こっちの世界のことをとても大好きだって、学会の発表で毎回言うくらいの人だからね」
「リーシャさん。私も魔法を覚えることは出来るのでしょうか」
「大丈夫、できるわよぉ。もうこっちの世界の人も魔法を習得した人がいるくらいだし、星奈ちゃんも覚えられるわぁ」
「は、はい!頑張ります!」
「さて、そろそろ外に行かないと、憐斗がまたブチ切れるな」
「そうですね」
外で待ってる憐斗のもとへ皆が移動しようとした。
そう言えば憐斗の声がしなくなったな。うるさいと注意されたか?
そう思いながら移動していた最中に、事は起こった。
「ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁ!」
「今の声は!?」
「憐斗の声だ!」
外に出る手前で憐斗の叫びが孤児院内に響いた。
俺達はいそいで憐斗のもとへ走って向かった。
いつも憐斗と稽古をする所へ付いたとき、その光景に絶句した。
ただ、ジェイスさんだけはその光景をすぐ見てすぐさまサーベルを抜き構えた。いつも稽古で使う木の剣ではなく、実戦用のもので。
15分前
「畜生、星奈や伊鶴のやつ。ジェイスは俺に剣を教えてくれればいいのに」
1人文句グチグチと言いながら、竹刀を降る憐斗。
別に憐斗はジェイスが嫌いではない。むしろ感謝しているほうだ。ジェイスがこの孤児院にきてからは稽古や勉強を見てくれてるし、孤児院の外がどんな世界なのかを話してくれる。
「あぁちくしょう、伊鶴がきたらメッタメタにしてやる!」
木にさげている薪と竹刀が打ち合い、乾いた音が鳴り響く。
しばらく黙々と竹刀を振り続けていたとき、憐斗が違和感に気づいた。
「…風が止んだな。しかも随分静かだ」
そう口にした時だった。
「すいません、道を教えてほしいのですが」
「ウォ!?」
憐斗は背後から行きなり声を掛けられ、思わず竹刀を声を掛けた者へ振ってしまった。
だが、その竹刀は老人の手で軽々と受け止められた。
「ナッ!?」
「…デュラン、人に声を掛けるときは気配を消すな」
「むっ、そうでしたの、はっはっは」
そう言うと、老人は手で止めた竹刀をはなし憐斗へ少し頭をさげ、後ろにいた若い男の背後へ下がった。
「うちの者のがすまない。そこの孤児院に用がある者なのだが、稽古中に申し訳ないが、孤児院の関係者を呼んできてくれないか?」
憐斗に頼みを申しこんだ男はまだ若く、黒くツンツンした髪型に整った顔立ちの男だ。ある一点を除けばだが。
他には、さっきの老人と、その背後にボロボロのフードを被った者達が2人立っていた。
(何なんだこいつら…)
憐斗は警戒しつつ返答した。
「お前らはなんなんだ。何が目的てこんなところに来た」
「あぁ、すまない。俺らは君たちを助けに来たんだ」
「…は?」
「まぁ、簡単に言うと、君らは騙されている。今すぐこの孤児院を出るべきだ」
「…はぁー、もっとましな嘘言えないんかね」
「理由もちゃんとある。だから話を聞いてくれないか?」
「ごちゃごちゃうるせぇ、てめぇみたいなやつの言ってることなんか信じられねぇよ」
「まぁ確かに行きなりこんなこと言われても信じられないよな」
憐斗は違和感を感じていた。この男の言っていることは元から意味が割らない。だが、それ以外にこの男の言葉には決定的に欠けているものがあった。
「へっ、そうじゃねぇよ…お前、俺に心に思ってねぇことを言って恥ずかしくないのか?」
憐斗が花で笑いながら若い男にニヤニヤと訪ねた。が、次の瞬間。男の背後からとてつもない寒気を感じた。いや、この時の憐斗はまだ感じたことがなかったのだ。殺気というものを。
憐斗の背後にいた老人。さらにはフードを被った2人組からその寒気が、ドス黒い気をまとい憐斗をおおってきたのだ。
「…それはどういうことだい?」
男はその寒気を浴びながら憐斗に話した。
憐斗は、少し後退りしながらも答えた。
「わ、わからないなら教えてやるよ。お前、嘘をつく前に、自分のいう言葉に少しは気持ちを込めて喋…!」
憐斗が最後まで喋る前に、2人組が憐斗の目の前に出てきた。
1人は右腕、1人は左腕から素早く剣をだし、憐斗の首と心臓を目指し貫こうとした…が、老人がその2人組の頭を掴み地面へ叩きつけ阻止した。
「…しゃ、喋れよ…」
憐斗は今なにが起こったかわからなかった。気付いたらあの2人組が自分の目の前に頭を抑えられながら叩きつけられていたのだ。
「…すまない、俺の連れが迷惑をかけた」
そう男が言うと、抑えられていた2人組を離すよう老人に目で合図した。老人は従い、2人組を離して男の背後へ戻った。
2人組はそのまま立ち上がり男の方へ歩き、そのまま男の目の前で土下座をした。
「「…申し訳ございません」」
「…立て」
男の命令で2人は即座に立ちあがった。
そして、男はその2人を殴った。2人は憐斗が稽古をしていた木まで吹っ飛んでいった。
「な…!?」
「すまない、これでゆるしてくれ」
2人はよろめきながらもすぐに立ち上がり、男の方へ戻ろうとした。
だが、この時。憐斗は生まれて初めて自分の怒りが頂点にたったのがわかった。殴られた2人組のフードがとれ、2人の素顔があらわになった。フードの2人組は、双子の女の子だった。それも自分と歳があまり変わらないであろう女の子だ。
憐斗はこの瞬間、男の胸ぐらを掴み叫んだ。
「ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁ!」
憐斗の怒りの咆哮を喰らった男だが、まったく顔の表情一つ変えずに蓮斗を黙って見ていた。
「お前…おまえぇ!俺と歳も変わらないだろう女の子になんてことすんだ!それでもお前男か!?」
「おい!憐斗!」
「アァ!?」
憐斗は自分を呼ぶ声の方へと顔を向けた。そこにはジェイスをはじめ他の孤児院の皆がこちらを唖然として見ていた。
「憐斗…これはいったい」
「あぁぁ…旅の者達よ!私の孤児が大変失礼な態度をとり申し訳ございません!」
ジェイスを押しのけ、男たちの方へペコペコと頭をさげながら走ってきたのは、ここの孤児院の院長だった。
「…いえ、これはこちらに非がありまして、彼はなにも」
「いえいえいえいえいえいえいえいえ!そんな嘘をおっしゃらないでください!ささ!どうぞ中へ!長旅でお疲れでしょーさぁーさぁー」
院長は男達を孤児院へ迎え入れようと必死にペコペコと頭を下げていた。
「…わかりました。では、お言葉に甘えて。デュラン、そいつを頼むぞ。傷を手当しとけ」
「はっ、わかりました」
男が老人に命令すると、老人は2人の女の子を呼び、付いてくるよう支持した。
憐斗はその光景を黙って見ていられず、
「2人とも!そんな奴らの命令なんか聞かないで逃げちまえよ!なんで言うこと聞いてんだ!」
必死に女の子を助けようと声を上げた。
たが、蓮斗を無視してそのまま蓮斗の横を通り過ごそうとした。
「お、おい!なんか言えよ!」
憐斗が2人の肩を掴んで呼び止めようとした。しかし、2人はゆっくりと憐斗の方を見て
「「…2度と顔を見せるな」」
と、睨みつけながら孤児院へと去っていった。
「…なんなんだよ、わけわかんねぇよ」
蓮斗は膝をつき、女の子立ちが孤児院に入る姿を黙って見続けた。
自身はありません。
ただ私の思うありのままを書きます。
私は自分の考えた世界を形にして残したい。
私はそう思いながらこれを書きます。




