出発
ゴイン!
幼女の頭に思いっきりスコップを振り下ろした。
「いてええええええええええええええええ!」
幼女の声がうるさい。
思わず「ごめん」とあやまると幼女は真顔になり「突然の暴力に驚いた」と言った。
さすがに魔王、スコップの一撃程度では効いていないのではないかと思ったが、コメントを発したあと床に崩れ落ちた。
気絶してしまったらしい。
すごい威力だスコップ。
いや、普通ひとの頭にスコップを振り下ろしたら結構なダメージをくらうよな……普通に犯罪?
俺は不安になった。
「いや~勇者さんよくやりました。ほめてつかわします」
村長が近づいてきて上から目線で褒めてきた。
本来なら偉そうなところにツッコミをいれるべきなのだろうが俺は褒められたことが嬉しくて少しはにかんでしまった。
村長がちょっと引いている。失敗。
「この調子で魔族をジェノサイドしてください。困ったことにちまたにはこの幼女みたいな自称魔王が氾濫しています。そいつらを倒していけばそのうち本物の魔王も見つかるでしょう」
あ、こいつ自称魔王なんだ。あっさり倒せるはずだ。
それじゃあ俺は魔王を探す旅に出るよ。
村長は旅に必要な道具を俺に与えてくれた。
クレームをつけたことは怒っていないようだ。
「そうだ、その幼女魔王も連れていってください。村に置いてかれても困るので。魔族は自分を倒した者に従うはずです」
え、そうなの?さっきの黒い炎、俺が勇者だから効かなかったけど結構すごかったよな。
こいつに戦闘をまかせれば楽じゃね?
俺は倒した幼女魔族と旅道具一式をもらった馬車に放り込んでそのまま出発したのだった。




