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イケメン兄弟。  作者: ぷちはむ。
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「はじめ」 ー優衣との出会いー

高校1年の春。はじめが16歳の時。

いつものように、近くのテニスコートで西切とラリーをしていた。

この頃には全国ジュニア選抜にも抜擢されるほどの腕前になっており、西切とも時々打ち合うことも多かった。さすがに本気の西切のショットは打ち返せないのだが、ラケットに当てることくらいはできていた。


今度こそは本気のショットを西切のコートにリターンしてやろうと躍起になっていたはじめは、コートのそばを女の子が通りかかったことに気がつかなかった。

いつもなら、周囲の様子には敏感でそばを歩いている人がいるかなどすぐに分かる。

だが、この時ばかりは集中していて西切の球のことしか考えていなかったのだ。


本気のショットは200キロをゆうに超える。

日本にはそんな球を打ち返せる高校生などまだいないのだ。

その初めての高校生になってやると鼻息荒く何度も西切の球に向かっていった。

そのたびにはじめのラケットにはじかれた球はあらぬ方向へ飛んでいくのだった。


「またかよー。」

嘆いても球は西切のコートには入ってくれない。

その代わりに、コート脇の池にぽちゃんと情けない音を立てて入ってしまったり、コートを囲んでいる金網の1箇所にはまってしまったり。

「はじめもそろそろ腕おかしくなるぞ。今日はあと1球な。」

「あと3球!」

「・・・じゃあ、あと2球だ。」

「やった!あと2球。よし、こい!!」


そして1球目・・・まともに受けたら足がすくんでしまうような弾丸のような球が目の前にやってきた。

夢中でラケットを振った時、パーン!

スイートスポットに命中した。

けれど、球の勢いがありすぎてコートには返らず審判の座る椅子にボーン・・・。

その球が跳ね返ってきて2回目を口惜しげにコートに叩き込む。


「うーん、いいところに当たったのになぁ。もう1球!」

「泣いても笑っても最後だぞ。」

「うすっ。」


そして2球目・・・今度はこつっと情けない音を立ててラケットのフレームに当たってしまった。

フレームに当たった球は思った方向には飛んでくれない。

その先に女の子が歩いているのを見つけたときには、もう遅かった。


「危ない!!」

そう叫んだけど、間に合わず・・・ぶつかる!!



そう思ったとき・・・


なんと・・・その女の子はスパッという音と共にラケットで今までギュンギュン言って回転していたテニスボールを難なくキャッチしたのだった。

そして、にこりとすると「ボール返すところ違うわよ。」と軽くはじめのほうに放ってきたのだ。



これには西切もはじめも度肝を抜かれた。

ラケットで受け止めるには、かなりボール慣れしていなければ受け止められないはずの球をいとも簡単に・・・。

何者なんだ・・・。


「あ・・・あぁ・・・ありがとう。・・・って、怪我ない??どうして止められたの?きみ、なんでラケット持ってるの?なんでここ歩いてたの?」

気づいたら矢継ぎ早に質問していた。


彼女は冷静に「ううん、どこも怪我もしていないわよ。それにあなたのラケットの面を見たらこっちに来るのくらいわかるでしょう。テニスをしているからラケットを持ってるの。少しはテニスしていないとラケットの面は見られないわね。それに、テニスコートだから歩いていたのよ。わたしは今、練習の帰り道。これで全部答えたことになるかしら。」とふぅ~と息を吐きながらにっこりしている。


いつもはどんどん言葉があふれてくるはじめなのに、あわあわして何も言葉が見つからない。

その様子を見て西切のほうが大爆笑している。

泣き笑いして涙を拭きながら「きみ、すごいね。あのはじめを絶句させるなんて・・・。」とまだ笑いがおさまらない西切は話している。


「はじめ?」

「・・・あ、俺。俺、綾瀬はじめ・・・って言います。あの16歳、高校1年生。えと・・・きみは?」

「綾瀬はじめって・・・あぁ、ジュニア選抜の。」

「え?」

「あ、いやこっちのこと。わたしは、天野優衣あまのゆい。わたしも高校1年生。で、あなたと同じ高校にいます。」



やっと「はじめ」のお相手登場です。これからどう展開していくか・・・2人の恋を育てていくのも楽しみです。

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