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読みきりファンタジー集

冬の妖精めもり

作者: 高瀬 悠


 リンリンリン。


 今年も楽しいクリスマスの日になりました。


 この季節になると、冬の妖精さんたちが目を覚ましてサンタさんのお手伝いを始めます。


 赤いずきんの小さな女の子──冬の妖精めもりは、今年もサンタさんにお手伝いをしに、サンタさんのお家をたずねました。


 サンタさんはたくさんの冬の妖精一人ひとりにお手伝いを頼んでいるところでした。


 そして、めもりの順番がやってきました。


 サンタさんがメモリに言います。


「めもりは森に住むシマリスさんに夢を届けておくれ」


「はい、わかりました。サンタさん」


 めもりはこくりとうなづきました。


 さっそく、めもりは森へとでかけました。


 しんしんしん。


 冷たい雪が森に降ります。


 めもりは大きな木に住んでいるシマリスさんのお家をたずねました。


 とんとんとん。

 戸をたたいてめもりは言います。


「冬の妖精めもりです。今年も冬が来ました。シマリスのお母さんはいますか?」


 すると家の中からシマリスのお母さんが出てきました。


「あらあら、いらっしゃい。めもりちゃん」


 めもりはおじぎをしてシマリスのお母さんに言いました。


「今年も冬が来ました。めもりに夢のお手伝いをさせてください」


 シマリスのお母さんは言いました。


「じゃぁ今年のクリスマスはどんぐりのケーキを作るから、めもりちゃんにどんぐりを集めてきてもらおうかしら? どんぐりのケーキは子供がすごく大すきなの」


 めもりはこくりとうなづきました。


「わかりました、シマリスのお母さん。わたしが森からたくさんのどんぐりを集めてきます」


 さっそく、めもりはどんぐりを探しに森の中を歩きました。


 しんしんしん。


 森に雪が降りつもります。


 めもりは雪さんにお願いしました。


「雪さん、雪さん。すこしの間だけでも降るのはがまんして。これじゃどんぐりが見つからないわ」


 めもりは真っ白になった森の中を一生懸命に探しました。


「どんぐりさん、どんぐりさん。どこにいるの?」


 呼んでもどんぐりさんの声は聞こえてきません。

 めもりは一生懸命に探しました。


「どんぐりさん、どんぐりさん。どこにいるの?」


 どんぐりさんはどこにもいません。


 めもりは泣きそうになりました。


「どんぐりさん。いったいどこに行ってしまったの?」


 すると、森の木陰からキツネさんがやってきました。


「何を探しているんだい? 森の妖精さん」


「あ、きつねさん」


 そこで、めもりはきつねさんに、シマリスさんの夢のお手伝いをしていることを話しました。


 きつねさんはポンと胸をたたいて言いました。


「僕もどんぐり探しを手伝うよ」


 めもりときつねさんは、どんぐりを探して森を歩き出しました。


「おーい。どんぐりさーん、どんぐりさーん。どこにいるんだい?」


 めもりときつねさんは一生懸命に森の中を探しました。


 しかし、どんぐりさんはなかなか返事をしてくれません。


「どんぐりさん、どこにいったのかな?」


 すると森の木陰からウサギさんがやってきました。


「いったい何を探しているの?」


 そこでめもりときつねさんは、ウサギさんにシマリスさんの夢のお手伝いをしていることを話しました。


 ウサギさんはぴょんぴょんと跳びはねて言いました。


「わたしも一緒に探すわ」


 めもりときつねさんとウサギさんは、どんぐりを探して森を歩き出しました。


「おーい。どんぐりさーん、どんぐりさーん。どこにいるの?」


 それでもなかなか、どんぐりさんは返事をしてくれません。


「どんぐりさん、どこにいったのかな?」


 すると森の木陰から大きなクマさんがやってきました。


「何を探しているんだい?」


 そこで、めもりときつねさんとウサギさんは、クマさんにシマリスさんの夢のお手伝いをしていることを話しました。


 クマさんは大きな体をどーんとたたいて言いました。


「ぼくも一緒に探すよ」


 めもりは森のみんなと一緒にどんぐりを探しました。


「おーい。どんぐりさーん、どんぐりさーん。どこにいるの?」


 みんなで森を探しましたが、それでもどんぐりさんは見つかりませんでした。


 とうとう、めもりは泣き出してしまいました。


「えーん、えーん。これじゃシマリスさんの夢のお手伝いができないよ」


 森のみんなが、泣いているめもりを励まします。


「きっと大丈夫だよ。どんぐりはちゃんと見つかるよ」

「みんなで力を合わせてもう一度どんぐりを探そう」


 めもりと森のみんなは、一生懸命に森の中を探しつづけました。

 空がだんだん暗くなって、お星様が光っても、みんなで頑張ってどんぐりを探しつづけました。


「おーい。どんぐりさーん、どんぐりさーん。どこにいるの?」


 シャンシャンシャン。


 どこからかサンタさんの鈴の音が聞こえてきました。


 めもりがお空を見上げましたが、サンタさんはどこにもいませんでした。


 でも、


「あったよ! あったよ、どんぐりさん! こんなところにいっぱいいたよ!」


 みんなで探していたどんぐりさんが、なぜか木のそばにたくさん落ちていました。


 めもりと森のみんなは一緒になってどんぐりを集めました。


 みんなでたくさんのどんぐりを拾って。

 こぼれそうになるほどのどんぐりをシマリスさんのお家に届けに行きました。


 シマリスのお母さんはとても喜びました。


「たくさんのどんぐりをどうもありがとう。今日はみんなでどんぐりのケーキを食べましょう」


 今日は楽しいクリスマス。


 めもりと森のみんなは、シマリスさんのお家で仲良くどんぐりのケーキを食べましたとさ。


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