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発熱と真夏日
―熱があるかも知れない。ただぼんやりと、そう思った。
何とかTVを点けると、お天気キャスターが今日の天気を伝えていた。
『今日は一日、カラリとした暑さになるでしょう。日射病には気を付けて、小まめに水分を摂ることをおすすめします』
暑いのはこの所為か、はたまた自分自身か。
回らない頭でぐるぐると考えるが、答えは出ない。
とりあえず水を飲もうと立ち上がるか、ふらりとベッドに逆戻りしてしまう。
どうやら本当に熱があるらしい。
それでもこの暑さでは敵わないから、ゆっくりと慎重に起き上がり水を飲む。
生温い水道水が堪らなく美味しく感じられたのはきっと、喉がカラカラだったからだろう。
本当は空腹に薬はよくないが何も食べる気がしないので、仕方なく薬だけ飲む。
人間というのは不思議で、すぐに効果が出る訳ないのに何だか症状が軽くなった気がした。
…起きたら治っていますように。
そう願いながら、再び布団に潜り込む。
ミンミンという蝉の声が、不思議と遠くに感じられた。