バス停にて
静寂のなかで、来るはずのない連絡を待つ時間。
誰にでもあるような、少し切なく曖昧な独り言の物語です。
お読みいただきありがとうございます。
バス停にて、佇む。
他に待ち客は居ない。
わたし独り
何を見るでもなくベンチに座り
スマートフォンを取り出し来る筈もない着信を待つ。来る筈のない着信を待つのは待つとは言わないのだろうか?ただ、スマートフォンを持つとでもいうのだろうか?或いはスマートフォンの画面を見る、とか?
そう仮定してみるとわたしはあまり着信を待ったという経験がないということになる。来る筈の電話など、滅多にはあるものではないのだ。それはある意味普通でしょ?そうでもないのかな。
考えてみれば、わたしは彼に電話番号を教えたかどうかも記憶に曖昧だ。
ならばこちらから電話を掛けて彼を驚かせてしまおうか?
ほれはある意味ドッキリだな。私のわたし電話など待っていなかったとしたらどうしよう?電話の向こうに彼の新しい彼女がいたらどうしよう。その時は
ショックでどうにかなってしまうかもわからない。
そんな目に遭うくらいならば電話などすまい。その可能性があるのなら静かに待とう。
バスはまだ来ない。画面を暗転させ、小さなため息と一緒にスマホをポケットへ押し込む。来ない連絡を待つ時間も、あきらめるまでの迷いも、すべて独りの空想のなか。遠くから近づいてくるエンジンの音に、わたしは静かに立ち上がった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
日常のふとした隙間時間に生まれる静寂や、小さな迷いの感情が少しでも心に届いていれば幸いです。




