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006 もったいないは大事

 さてと、何にしようかな。

 作るものとか、まーったく考えてなかったのよね。

 でも一番初めだし、スープとかが無難かな。


 お腹がいっぱいになって、なおかつヘルシー。

 ってなると、ある程度具材を入れつつも野菜メインがいいわよねぇ。


 厨房の中を見渡すと、野菜の切れ端が目に入る。

 色鮮やかなその野菜たちは、おそらくその前の食事の際にでも使ったものの残りだろう。


「料理長、コレ使ってもいいかしら?」

「お、奥様、それは切れ端でして奥様が口にするようなものではないです」

「そうかしら。どうせスープにするだけだから、コレで十分だわ。だいたい、皮とかの方が栄養も豊富だし」

「それはそうかもしれませんが……」

「大丈夫、大丈夫。気にしないで」


 私は勝手知ったるとばかりにまな板の上にその切れ端たちをのせ、順番にテキトーにみじん切りにしていく。

 そしてみじん切りにした野菜たちはそのまま寸胴鍋の中へ。


 見た目はキャベツとか人参っぽいから、まぁ大丈夫でしょう。

 きれいに洗ってあるし、皮も問題ない。

 あー、でもこれだけだとダシが出ないのよね。

 それに野菜だけじゃあ腹持ちも良くないし。

 ヘルシーだけど野菜だけのお昼は嫌だなぁ。


「何か、肉っぽいもの入れたいなぁ。何か余ってるものないかしら。もちろん切れ端とか、そんなので十部なんだけど」


 さすがに肉の切れ端はこんなとこに出しっぱなしにはしてないわよね。

 いくら今日がそんなに暑くはないからって、腐ると困るだろうし。


「あの、ウインナーで良ければ本日は使わないものがありますよ」


 そう言って冷蔵庫から出して来てくれる。

 冷蔵庫とは言っても、電気があるわけではなくて中に魔石っていう魔法が込められた石が入っているのよね。


 便利なものみたいだけどこれが結構高価らしく、持っているのは貴族でもごくわずかって聞いたわ。

 さすがお金持ちよねー。

 これ実家(うち)にもあったのかな。


「こんなにいいものを使ってもいいのかしら」

「なんかミレイヌ様、たかってますよね」

「やっぱりそう思う? なんか私もそんな気がしてきたのよね」


 野菜の切れ端ならまだしも。

 肉を強要ってさぁ。なんか人としてダメじゃない?

 いくら自分のお昼ご飯だとは言っても、食材を強奪してる気分になってきたわ。

 だって、明らかにいつか使う用にとっておいたもののはずだし。


「明日は自分で食材買いに行こうかな、申し訳ないし」

「そうですね。それが無難ですね」

「ごめんなさいね、料理長」

「いえいえ。ここにあるものは、全て奥様が使っても大丈夫なのですよ。奥様はこの屋敷の女主人なのですから。そんなことをおっしゃらないで下さい」

「とは言ってもねぇ」


 あくまでココは彼らの職場であって、いくらランド様の妻になったからといって勝手をしていいわけではない。

 しかもご飯の献立なんかは、きっと前日から決めているはず。


 それがわからないほど私は子どもでもないし、申し訳なさしか立たないのよね。


 だからやっぱり自分で食べたいものは自分の足でゲッドしないと。

 私の気分的にも、それがいいわ。

 いろんな方面から物事を細かく考えるのって、得意じゃないのよね。


「それよりも奥様は何を作られるのですか?」

「んと、スープょ」

「えええ。もしかして、野菜クズのスープなのでは?」

「まぁ、そうとも言うわね。だけど野菜クズって言っても、煮込めばほぼ溶けてしまってなんでも同じだし、もったいないでしょ」

「ですが、奥様が口になさるようなものでは」

「大丈夫、大丈夫」


 貴族がもったいないとか、少し変かな。でもどうせただのスープなんだし、私が食べるものだから切れ端で十分なのよね。


 とは言っても、ダシと食べこたえのためにウインナーも刻んで入れていくんだけど。


 野菜クズは細かく刻めば煮込む手間も省けるからね。

 ウインナーは少しでも大きく思えるように、斜めに五等分にカットがいいかな。


 それらを全て鍋に入れ、浸るくらいの水を入れて私はふと止まった。


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