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ダイエットは明日から。転生白豚令嬢は、愛する夫との初夜希望です‼  作者: 美杉。(美杉日和。)6/27節約令嬢発売中


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028 たまには失敗もある

「うん……薄くてマズイ」

「あー」


 米はなんとか白米まではいかずとも、食べれるレベルに(もみ)を除去出来たっていうのに。

 うろ覚えでしかない、香辛料から作るカレーにあっさり失敗してしまった。


「カレーっぽくはあるけど、これじゃあなぁ」


 いつもの厨房、いつものメンバーで味見したのだが、やはり皆の反応は悪い。

 元々初めて見るような香辛料ばかりだったから、食べる前からシェフたちの反応は微妙だったのだけど。


 それにしても、だ。


「スープカレーにしても、これは酷いわね」

「スープとしてなら、まだ……たぶん、マシかと?」

「ん-。そうね。でも、米と合わなさすぎる」


 薄くなってしまった分、カレーがまったく米に絡まないのよね。

 しかも香辛料がトゲトゲしちゃっているし。


「難しい~。でも、大量に出来ちゃったから、どうにかしないと」


 ここまで失敗すると思わなかったから、いつも通り寸胴鍋にいっぱい作ってしまったのよね。

 さすがにみんな反応が微妙だから、味見以上に進めるワケにもいかない。


 だけど一人で消費するには量がなぁ。

 かといって、勿体ないから廃棄したくもない。


 どーしたものか。

 って、どう頑張ってもリメイクするしかなさそうね。


「パエリアとか作れたらカッコイイんだろうけど。アレって何入ってるかよく分かんないし。思いつくのって、雑炊しかないのよね」


 一杯分のカレースープを小さい鍋に移し、そこにご飯を入れる。

 そのままグツグツと煮込み、米にスープを吸い込ませていく。


「ミレイヌ様、見た目……」

「そういうこと言わないの。風邪ひいたときにミルク粥とか食べるでしょう?」

「あれってスープに細かくして固く焼いたパンを入れるメニューじゃなかったでしたっけ」

「あー、そうだっけ?」


 私って、案外丈夫に出来てるから風邪とか引いたことないのよね。

 だけどミルク粥って名前だけで、勝手に米入ってるイメージしちゃってた。


 でも米はこの国主流じゃないんだから、確かにコレはグロテスクに見えるかな。

 とは言っても、食べたら案外美味しいかもしれないし。

 やれるだけやるしかないわよね。


「あとはこれに卵を溶き入れたら完成よ」


 シェフから卵を受け取ると、それを割って素早く溶き入れる。

 蓋をして一度強火にしたら、すぐ私は火を止めた。


 蓋の隙間から白い湯気と、美味しそうな香りが漏れ出す。


「大丈夫だと思うんだけどなぁ」

「それ、そのカレーとやらが出来た時も言ってましたよ?」

「シェナって根に持つタイプ?」

「そう見えます? それならずっとこの失敗を言い続けますけど」

「もー」


 誰だって初めてはあるのよ。

 それが全部成功するなんて限らないじゃないの。


 それに失敗は成功の基とも言うし。

 失敗したって、そこから学べばなんとかなるはず。


「あああ、チーズ入れても良かったなぁ」


 そうすればリゾット風になったかも。

 ただのカレー雑炊よりも、そっちの方がみんなの口には合ったかもしれないわね。

 和食文化なんてないんだし。


「チーズは太ると思いますけど?」

「私の分じゃなくて、みんなのって意味よ。ほら、一口ずつ取り分けるから味見してみて? なんならその時にチーズ入れてみて?」


 蓋をあけると、綺麗に卵に火が通っている。

 私は何度かかき混ぜたあと、それを小皿に分けていった。


 匂いは安定にカレーそのもの。

 さてさて、あの薄い味は少しは良くなったかしら。


 私が一番にカレー雑炊を口に運ぶと、他のみんなも恐る恐る口に運んだ。


「うん。さっきよりは、マシね」


 もっとも、すごく美味しいとはまた違う気がする。

 たぶん雑炊にするにはダシが足りないんだ。


 あっちの世界だったら、簡単な粉末があるのに。

 こっちにはまずもって、昆布とかかつお節とかそういったものは見たこともないし。

 ましてやあんな便利なモノあるはずもない。


「難しいなぁ。やっぱり食べるだけのダイエットは無理があるかな」

「さっきよりは、まだマシですけどね」

「奥様、チーズ入れたら美味しいですよ。米を初めて食べましたが、本当に人が食べれるのですね」

「そうね。これは元々は人が食べる用だったのよ。でも作り方をみんなが知らないから、家畜の餌になってしまっていただけで」


 そう考えると知識も大切なのよね。

 米を家畜の餌だけにするのはもったいないし。

 もっと上手に活用出来たら、ダイエットにも役立つはず。


「動いておられるので、一時期よりはだいぶお痩せになりましたけどね」

「でもねぇ。それじゃあ足りないのよ」


 シェナに慰めてもらっても、現実は変わらない。

 ランドが本当に私のことをどう思っているのかも、まだ聞けてはいないし。


 どこかで妻として失格だって自覚はある。

 あるからこそ、痩せたいって思うんだけど。


「はぁ。ダイエットも大事ですが、まずはちゃんと話し合ったらどうですか?」

「話し合う……」


 何をって聞かなくても分かってる。

 でもそれが一番、今の私には難しい。


 関係のない人間たちに何を言われても、どう思われててもなんとも思わないけど。

 ランドにどう思われているのか。

 聞きたいようで聞けない。


 目をそらし続けている現実は、何よりも私の頭を悩ませた。

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