表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

作者: 461犬

 あれ••••••俺、今死んだよな。学校の体育館で。

 あ、俺の死体が床に倒れてる。でも皆が、注目してるのは"俺だったもの"ではなく、"俺"だ。


 不思議と、皆は俺のことが見えているようだった。


「なあ、俺死んじゃったっぽいんだよね。そこに死体あるじゃん」



「あー、でもお前今ここに居るし。俺もお前のこと見えるし、会話も出来るよな」



「何でだろうな。まぁいいか••••••あれ?」


 急に皆が俺から視線を逸らす。あんなに注目されていたのに、一瞬で、全員が。今更だけど、そもそもこいつらは誰だ? 初めて会った奴らだ。でも、何故か初対面って感じがしないんだ。


「おーい、おーい!」


 反応がない。まるでさっきまで見えてた俺の姿、聞こえてた声。その全てが見えなく、聞こえなくなってしまったかのように。


 ふと、"俺だったもの"。に目をやると、無くなっている。先程まで倒れていたはずの肉体は消滅した。今思えば死因はなんだ? 分からない。何も。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 急に場面が切り替わった。ここは、外? さっきの体育館とは別の場所に何故か移動した。でも、見覚えがない。何処なんだここは。


「ちょっと」


「おーい」


「見えてる〜?」



 街行く人に手当り次第声をかけるが、誰も反応をしない。誰も、俺の事を見えてないし声も聞こえてない。


「よう!」


 と、明るく声をかけたが、俺が知らない子だった。でも、先程同様、初対面って感じがしない。知らないはずなのに、知っている人な気がする。


 そのメガネをかけ、制服を身につけた女の子は、中学生、高校生くらいだろうか。



「ん? なに? ○○」



 え••••••。今俺の名前を。でも、なんて言ったんだ。なんて言ったか聞き取れなかったけど、何故か俺の名前を呼んだ。俺の声に反応した。それだけは分かる。この子は間違いなく俺を認識している。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 また場所が変わった、今度は彼女も一緒に。そしてこの店は、また知らないところだ。こんな店、見た事がない。でも、何故か既視感がある。少し気持ち悪さすら感じる。


「なあ、俺の事見えてる?」



「もちろん。見えてるよ。他の人は見えてないらしいけど」



「俺、死んだらしいんだよね」



「知ってるよ」



 ここから先の会話は、全く記憶がない。でも、分かったことは、この名前すら分からない不思議な女の子。彼女以外に、俺は認識が不可能だって事だった。


 お店で買い物中の彼女に俺は着いて回り、会話を続けていたけど、内容は何も分からない。でも、彼女は周りの人からすれば、見えない何かと会話する頭のおかしい奴に見えたと思う。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 また場面が切り替わる。ここは、教室? 気づいたら、何故か制服を着て、机の前で着席していた。何故か彼女も俺の左斜め後ろの席に居た。


 窓の方を見てボーっとしている彼女を見ていると、視線に気づいた彼女がニコッと可愛らしい笑顔見せ、手を振ってくれた。正直惚れかけた。相変わらず、彼女以外俺には気づいてないらしい。


 改めて周りを見ると、知らない教室だけど、周りに居るのは••••••みんな、中学校の時の同級生たち。見覚えがある。



 ガラガラ



 そんな音と共に教室のドアが開くと、ジャージ姿にスリッパ、そしてガタイもが良くガッシリしている、例えてみるとゴリラ。いかにも体育系、というような教師が入って来た。



「○○ー!!! お前生きていたのか!」



 こちらの方を見た瞬間、走って来て、急に肩を掴まれ、そんな事を言われた。正直呆然とした。

 その瞬間、クラス中の視線が集まる。この教師も俺のことが見えるらしい。

 そして、生きていたのか。というセリフ。俺が死んだことを知っている。



「あ、○○だ」



「ほんとだ。○○だ」



 クラス中からそんな声が聞こえる。何故か急に皆が俺を認識できるようになったらしい。よく分からない。全て、何もかも。


 こんなに視線を集め、騒がれると普通は不快なものだが、何故か今回だけは、ホッとした。むしろ嬉しかった。



 そしてその瞬間、俺は目を覚まし、現世に戻ってきた。



 結局何がなんだがサッパリではあるが。

 最初の死体が無くなった時点で、俺という存在が最初から無かった事にされた。それによって、最初から無かったから死体もないし、俺も認識できないし、皆の記憶からも俺という存在は無くなる。


 じゃあ、何故あの女の子と教師だけは俺を認識できたのか。それは俺にも分からない。


 そして、最後、なぜ急に皆が俺の事を認識できたのか。


 多分、教師が俺の名前を呼び、生きていたのか。と発言した事で、そもそも俺が存在すること、俺が死んだ事、そしてそれを皆が認識した事で、俺という1つの概念が生まれ、それによって、"俺"という存在が証明され、あったことにされたことで、皆が認識できるようになった。

 と考える。



 これは、実際に作者が見た夢の話である。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 死んだあとの夢かあ・・ 死にそうになった夢は何度か見たけど・・
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ