「トレイダー」
今回からはしっかり物語として成立させていきます
ぜひご覧ください!
マーダーロベリー 1話
あの後刑務所から公安の特権で出してもらったまま数分そのまま歩いた。そしてジェイは当然のことながら、驚きがまだ隠せずにいた。
「なあ、お前、何やらかしたんだ?」
ジェイがはったりで仕掛けただけでうろたえたような男である。きっと何か隠しているに違いない。
そして彼は一言。
「僕のことはきちんとトレイダーって名前で呼んで。いつまでもその呼び方では鬱陶しいでしょう?」
うむ、この男、案外真面目だな。名前からしてもっと破天荒な性格と思っていたんだがな
そう意外な感想をジェイは抱いた。
「そうか。トレイダー、これから色々世話になるが、よろしく頼む!」
「こちらこそよろしく!。ジェイさん!」
そして俺たちは握手を交わした。性格に反して外見は名前の通りがっちりしていて、手も大きく自分の手が包み込まれてしまいそうだ。
するとトレイダーは白い手帳を取り出した。公安の手帳か何かだろう。
「この通り、私は公安で今回はジェイさんを取り調べする目的で刑務所へ来ていました。しかし、それ以外の目的もあったんです。」
「目的?刑務所の戦力調査とかか?」
今の俺にはこれくらいしか思い浮かばない。まずは探ることが先決か。
するとトレイダーはこちらの狙いを見抜いたのか一瞬笑みを浮かべて
「はは、ジェイさん、ちゃんとお話ししますよ。実は私、公安と同時にとある組織にも所属していまして…」
彼はすっと黒い手帳を見せてきた。公安の物とは真逆の色だ。これは組織の遊び心なのだろうか。いやいや、今はそんなこと関係ない。
もう一回、手帳をまじまじと見つめた。そこには____
[イーブル邪悪公社]
おお、これは例の巨大組織様ではないか。この男、さすがだな
「これはすごいな!だが、今この状況でかくまってもらえるのか?太っ腹だな!」
率直な感想だった。しかし帰ってきた答えはジェイの期待を失望へ変えさせるものであった。
「あー、ジェイさん、実はですね、大変申し上げにくいんですが、えーっと、」
あ、これ確実にだめなやつだよな?!もうやだこの先聞きたくない絶対こいつやらかしてる。
もじもじするトレイダーから言葉が発せられる。
「実は、さっき公安で、『ちょっと職権乱用して囚人そっちにしょっぴきにいくからかくまってね☆』って仲間に送っt」
「おい?!?!?!すでに雲行きが怪しい以外の何物でもないんだが?!いったい何をやってくれたんだ?!」
すると「いやあ照れるなあ」とばかりに笑いながらうねるトレイダー。そんなとき
「ピロン」
彼の端末が鳴った。彼が慌てる
「どうやら、組織からたったいま返信が来たようですよ」
「おう、そうみたいだな。」
端末を凝視するトレイダー。内容はどうだったのだろうか。端末から目を離し、やつの顔に目線を向けた
すると、顔をまっさおにしたトレイダーが端末を差し出しながらこっちを涙目で見ている!!よっぽどボスが怖いのだろうか。
この時点で俺はもうそれはそれは最大級の走って逃げたい衝動に襲われたが、涙目のこいつを捨てるなんて………いや、こんなポンコツ置いて行っても困らないか?
いやだめだだめだ。いくらこんな人間でも今は貴重な仲間なんだ。いやでもこいつがいて利益とか俺にあるのか…?うーんもしやこいつ真面目なんじゃなくて天然すぎるだけなのでは?!
あれこれ考えた後に俺も仕方なく端末を見ることにした
そこには簡潔に
『きみー、昔から不手際多かったよねー?何やってるのかな?
あと君今回目的の持ってくるの忘れてるよねー?あれは重要なのに、何やってくれてるのかなー?
言い訳はアジトの拷問室で聞くね☆
ボス』
…………………………………………………。
言葉が出なかった。
え?俺は何を見せられてるの???
あ、すまんどっかにいるボス、俺が一瞬でもあんたのこと怖いと思ったのが悪かったです
よくよく考えてみたらこいつ、今回の仕事何もやらずに俺連れ出しただけだよな。
しかもなにこいつ、普段から不手際ボスに認知されるほどやらかしてるの????
こいつただの足引っ張るやつじゃねーか。
「チェンジ」
「僕の事捨てないでくださいいいいいいい」
化けの皮がどんどん剥がれやがるなこいつ。
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「んで、これから俺ら、どうするんだ?」
まあ、悔やんでいてもしょうがない。ここは次の作戦について考えるのが無難だ。
「それなら、あてがあります。昔の僕の友人のところにかくまってもらいましょう」
お、これは期待。こいつにも一般人(?)としての才能(??)はあるようだ
「その友人とやらは、どんな奴なんだい?」
あらかじめその友人について知っておかないといけないな。
こうやって事前調査するのは犯罪人として当たり前のことだ。協力者といっても、いつ裏切るのかわからないのが人間。なるべくこのように情報収集をして緊急時にも備える。また、話術も鍛えられるし学びとしても絶好の機会だ。
まあ、目の前に自分以上の犯罪人がいるわけだが。
彼らの組織は殺しや拷問を好むため、自分の理念とは反する。実際この男も何人かは経験があるだろう。
そして間を置いてトレイダーの返答が返ってきた
「彼は、国会議事堂を爆破したことがある一時期時の人となった、『爆破さん』『議事堂』『自爆』『爆破狂い』こと、ディーマンさんです」
彼は、ますます彼のことが不安になった。
次回は、少しずつ、例の「爆破」について掘り下げられたらなと思います!