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*異世界恋愛*

腹痛王子の特効薬。



『婚約破棄された令嬢の行く先は限られています』

『それならわたしは、自分で生計を立てる道に進みたいのです』


 これが、魔法薬草園の門を叩いたときのローザの言葉だった。


 ステンドグラスから燦々と光の差し込む魔法薬草園の事務所は、まるで聖堂。

 その美しさを、ローザは今でもまざまざと思い出せる。





「ローザ。大事な話がふたつあります」


 事務所で記録簿を整頓していたローザは、すっと顔を上げた。

 

「ふたつ、ですか?」


 目の前には園長が公爵としての正装で立っていた。

 王城帰りだということが判ってローザは背筋を正す。


「えぇ。あなたがここに来て1年が経ちました。いつも真面目に働いてくださってありがとうございます」


 ローザの特徴は吊り目。 それを少しでもやわらかく見せるための丸眼鏡の奥、戸惑いが浮かんだ。

 濃い緑色の瞳に、ひとつに束ねた明るめの金髪。

 アイボリーを基調とした制服はパンツスタイル。ここで働きはじめてから、スカートの類は履いていない。


「待ってください、その切り出し方はまさか、解雇……」


 ローザの顔が蒼くなりかけたところに、園長が制する。


「落ち着きなさい、話は最後まで聞くものです。あなたが開発した虫刺され用の塗り薬のおかげで、この魔法薬草園の業績が好調なのは知っていますね?」


 はい、とローザは頷いた。

 初めて自分の力だけで調合した薬は、効能が高いだけでなく、香りも従来のような薬草くささがないということで評判がいいらしい。


「そこで、増産体制を敷くに当たって、新しく人を雇うことに決めたのです」

「新人、ですか」

「つまりローザの初めての弟子ということです」

「弟子……」


 園長が華やかな微笑みを浮かべる。

 ローザは幼い頃から彼を知っているが、少しも歳を取らない。むしろ年々若返っているような気がして、魔法薬草園の七不思議のひとつとはよく言ったものだとしみじみ感じる。


「入ってきてください、イーサン君」

「……失礼します」


 事務所へ入ってきたのは、背の高い青年だった。


(前髪が、長い。瞳が見えないから、まったく表情が分からない)


 それがローザの彼に対する第一印象。

 紺色の前髪は重たく、しっかりと瞳を隠している。

 少し猫背ではあるものの、園長より背が高い。体格も騎士のそれに近そうだ。


 緊張しているのを悟られないように、ローザは頭を下げた。


「初めまして、ローザと申します。どうぞよろしくお願いいたします」

「イーサンといいます。お噂はかねがね」


 やわらかくも深みのある男性の声。

 ローザはイーサンを見上げた。


「噂、とは」

「塗り薬はこの国の人々の生活を向上させたと評判です。僕はローザさんに学びたくて、この魔法薬草園を志望しました」

「……恐縮です」


(よかった。婚約破棄の噂じゃ、なかった)


 ローザは密かに胸をなでおろす。


「イーサン君。まずはローザのもとで、定型業務を学んでください」

「はい。よろしくお願いします。僕のことはイーサンと呼んでください」

「かしこまりました。わたしのことも、ローザとお呼びください」


 定型の挨拶を終え、ローザの緊張がほんの少しだけ和らいだとき。 


「それからローザ。もうひとつ、大事な話があります」

「何でしょうか」

「これは国王殿下からの厳命なのですが」


 園長からもたらされたのは、不思議な依頼だった。



 ――第二王子の腹痛に効く薬を開発してほしい――





 魔法薬草園の事務所の2階でローザは暮らしている。正確には、園長の厚意で間借りさせてもらっている。

 母方の親戚にあたる園長は、公爵家の三男。幼い頃からローザのことをよく知っている一方で、ローザが気にしている目つきのことを一言も口にしたことのない唯一の人間なのだ。


 窓を開けると、広大な薬草園が一望できる。ガラス製の温室が朝焼けに照らされる様は、まるで宝石のような輝きを放っていた。


(イーサンは、わたしのことを知っているのかしら)


 王立学院の卒業パーティーで、婚約者だった伯爵令息から告げられたのは一方的な婚約破棄だった。

 ありもしないいじめの事実を捏造され、加害者だと糾弾された。

 理由は分かっている。


(愛想のなさと、吊り目。瞳がきついというだけで、これまでどれだけ誤解されてきたことでしょう)


 架空のいじめの被害者とは話したことすらなかった。

 ローザは戸惑い言葉を失った。

 そして伯爵令息は、自称被害者と婚約を結び直すと宣言したのだった。


 一方的な婚約破棄に、ローザの父親は激怒した。

 伯爵令息にではない。自らの娘に対してだ。男爵家の地位を辱めたとローザを非難した。

 

 このままだと自分の行く末がどうなるか分からない。

 身の危険を感じたローザは、家を出ることに決めた。

 この国は魔法薬草が産業の中心。ローザの卒業研究も魔法薬草に関するものだった。

 男爵令嬢とはいえど、ほぼ平民に近い生活をしていたので、労働は選択肢のひとつだった。

 思い浮かんだのは、魔法薬草園で働くこと。そして今に至る。


(仕事がある。労働の対価を得られる。なんてありがたいことなんでしょう)


「今日も一日、がんばりましょう」


 気を引き締めて、ローザは制服に袖を通す。





「おはようございます、ローザ」


 1階の事務所の扉を開けると、既にイーサンがいた。

 やはり前髪は重たく表情は分からない。


「おはようございます。そんなに早く出勤しなくても大丈夫ですよ?」

「いえ、ひとつでも多くのことを覚えたいので」


(わたしが、教える側なんだわ)


 ローザは声のトーンを少し上げて、なるべくきつく聞こえないように試みる。


「それでは早速、朝の業務を教えますね。温室の気温と湿度を記録しに行きましょう」

「分かりました」

「今日の担当は東の温室です。痛みを和らげる効果のある薬草が多いので、ちょうどいいですね」


 ふたりは連れ立って事務所を後にする。


(こういうときは何か、世間話を振ればいいのかしら)


 魔法薬草園で働けるということはそれなりに身分の高い人間である筈、という推測から、ローザは質問した。


「学院での専攻は何を?」

「経済です」


 意外な回答に、ローザはもごもごと口を動かした。

 それでも会話を続けようとなんとか試みる。


「そうなんですね。魔法薬草学の講義は履修されましたか?」

「一般教養で、なら」

「タレス先生ですか?」

「そうです」


 当たり障りのない会話の途中でローザたちは温室に到着した。

 管理された温室内には整然と魔法薬草が茂っている。

 イーサンが静かに感嘆を漏らした。


「……すごい。とても快適な空間ですね」

「魔法薬草にとって快適な空間は、人間にとっても過ごしやすいようになっていますから」


 畝と畝の間は人間が通れる幅。そこを歩きながら、ローザは言葉を続けた。


「基本的には魔力で管理されているので、異常な数値が出ていないかを目視すれば十分です」

「はい」

「ですが、魔法薬草は植物です。数字だけでは分からない部分を、きちんと観察していきましょう。たとえばこのオッハという魔法薬草は、日照不足だと色が黄色味を帯びてきます。それから――」


 ローザは温室内の魔法薬草について一通り説明をした後、はっと気づく。


「……すみません。一度に伝えても覚えきれないですよね。何度でも尋ねてください」

「ありがとうございます。このイエというのが、痛みを和らげる効果を持っているんですよね」

「はい」

「暗記は得意です。応用が苦手なので、不明点は質問します」

「は、はい」

「イエ、ブラット、フォーリャ、……」


 するとイーサンは、鎮痛効果のある魔法薬草をすべて諳んじてみせた。


(一度の説明だけで完璧に覚えるなんて、何者……!?)


 ローザはただただ呆気にとられるばかりだった。





 数日後。


「記録簿、書けました」

「ありがとうございます」


 イーサンから手渡された記録簿を確認する。

 温室での出来事通り、弟子の物覚えはすばらしかった。

 ローザは筆跡をなぞるように、そっと記録簿に触れる。


「イーサンは字がきれいですよね」

「え?」


 予想外だったのかイーサンが驚いたような声を漏らした。


「……ローザは、瞳がきれいですね」

「え?」


 今度は、ローザが驚く番だった。


(きついとか、こわいとか。悪い感想しか、貰ったことがないのに)


「すみません、不快にさせてしまったでしょうか」

「い、いえ。褒められたことがなかったので……」

「何故? こんなにきれいだというのに」


(また褒めた!)


 驚きを通り越して、みるみるうちに頬が熱くなるのが分かった。


「澄き通った、深い緑。まるで魔法薬草みたいです」


 おべっかを使っているようには聞こえない言葉。

 イーサンの表情は前髪のせいで分からない。

 ただ、瞳は見えなくても、見つめられているのは分かった。


「ひとつ褒められたら、ひとつ褒め返す。それが挨拶だと教えられて育ちました。ですが、それとは関係なく、生まれて初めてきれいという言葉を口にしてみたくなりました」

「あ、あの……」


 戸惑うローザの頬は熱を持っている。

 ふたりの間を窓からのそよ風が通り抜けていった。 


「……」

「……」


「サンドイッチを買ってきましたよ。ふたりとも、お昼にしましょうか」


 そこへ現れたのは、園長だった。

 ローザは勢いよく園長へ体を向けた。


「お疲れさまです。では、わたしは紅茶を淹れますね!」


 イーサンから離れて、ローザはミニキッチンの前に移動する。

 お湯を沸かしながらケトルに視線を落とした。


(ひとつ褒められたら、ひとつ褒める。それは貴族の作法)


 紅茶の缶を開けながら、ローザは男性ふたりの会話に耳を傾ける。

 イーサンの声は淡々としていて、ローザひとりが動揺しているようだった。


 3人分の紅茶と共にローザが席に着くと、様々なサンドイッチがテーブルの上に並んでいた。


「ありがとう、ローザ。あなたの淹れる紅茶は渋みがなくて美味しい」

「園長が教えてくださったからですよ。さぁ、食べましょうか」


(園長から褒められるのは素直に受け取れるのに……)


 ちらり、とローザは隣のイーサンを見遣る。

 サンドイッチを持つ仕草すら優雅に見えてきて、ローザは疑問符を浮かべた。


(食べる所作もきれいだし、イーサンって何者なんでしょう)


 昼食を終えたところで、園長が尋ねた。


「ところで、腹痛の薬は順調ですか?」

「準備しているところです。ひとつ、訊いてもいいでしょうか」

「何でしょうか」

「腹痛といっても色んな症状があります。ただ痛みを和らげるだけならたくさんの鎮痛薬があります。それに、王族専用の魔法薬草園だってあります。わざわざこの魔法薬草園へ依頼してくるというのは、何か理由があるのでしょうか」

「国家機密ですよ」


 園長は人差し指を自らの唇に当てた。


「殿下は緊張すると腹部が痛くなるそうです。だから、人前に出ることができないのだとか」


(たしかに、第二王子のお姿って拝見したことがないかもしれない)


 王立学院でも王族は生徒会に入ることが多い。第一王子は生徒会長を務めていた。黄金の瞳で雄弁に語る様は、まさしく次代の国王に相応しいものだった。


「そのような事情がおありなんですね」

「はい。第二王子としてこのままではいけないと国王陛下が命を下されたのです」


(だから王家直属の魔法薬草園には依頼しなかったのね……)


「分かりました。必ず、薬を作ってみせます」





 作業台の上に並べられた魔法薬草。

 そのままのものもあれば、乾燥させたものもある。


「魔法薬草から薬を調合します。やったことは、ありますか?」


 イーサンは首を横に振った。


「せっかくなのでやってみましょうか。水晶製のすり鉢とすりこぎです。これで、この魔法薬草をすりつぶしてください」


 ローザはテーブルの上に置かれた小さな道具を示した。

 イーサンがすり鉢を手に取ると、掌中にすっぽり収まってしまう。


「こうですか?」

「はい、そうです」


 果たしてちゃんと見えているのか不安だったが、イーサンはきちんと魔法薬草をすりつぶした。

 ローザは静かに見守りながら、考える。


(この前髪の下にどんな表情が隠されているのか、知りたいと思ってしまう。……わたしに、誰かを想う資格なんてないのに)


 想いを打ち消すように首を横に振り、ローザは口を開く。


「器用ですね。初めてとは思えません」

「ありがとうございま」

「あっ、褒め返しは結構です」


 ローザは思わず両手をイーサンへ向けた。

 すると、イーサンは顔を横に逸らして呟いた。


「……王子なのに緊張で腹痛を起こす、ってあるんですね」

「不敬発言ですか?」


 珍しくイーサンの言葉に荒さを感じて、ローザは首を傾げた。


「いえ、そんなつもりは」

「わたしはそんな風には思いません。女だから優しく、とか、王子だからしっかりしている、とか。そんなものはただの思い込みです」


 思わず本音を零してしまったローザ。

 そのまま丸眼鏡に手をかけた。

 水仕事、棘のある植物もある。男爵家で生活していた頃は滑らかだった筈の手は、1年かけて荒れたものに変わっていた。


「すみません。わたしも、この瞳のせいでいろいろと苦労してきたので……。表情がきついとか、性格が悪そうとか。だから、第三者が知りもしないのに勝手に決めつけるということが、納得いかないのです」


 ローザは顔を上げた。


「余計な話をしてしまいました。忘れてください」

「……それでも」


 ほんの少し躊躇ってからイーサンは言葉を紡いだ。


「僕はローザの瞳がきれいだと、見る度に思います」


 試行錯誤の末に出来上がった薬は、園長によって王家へ献上された。





 魔法薬草でつくられた第二王子のための薬は、どうやら気に入ってもらえたようだった。


「わたしが、ですか?」

「えぇ。王太子殿下主催の夜会。そこに、第二王子が数年ぶりに参加されるとのことです」


 園長が手にしているのは王家の蝋で封された一通の手紙。

 突然の誘いに、ローザは眉を下げる。


「ですが。父が何というか」

「男爵には私の方から話を通してあります。王家主催の夜会に参加するという名誉を、たいそう喜んでおられましたよ。ドレスも新調させるから近々採寸係を寄こすと仰っていました」

「はぁ……」


(どこまでいっても、わたしは政治に利用できるかで父の評価が決まるんだわ)


 ローザは俯いた。

 自分自身も、結局は男爵家の令嬢なのだ。拒否はできない。


「……承知しました、園長」

「たまには昔のように、伯父さまと呼んでくれてもいいんですよ」


 顔を上げたローザの頭を、園長がそっと撫でる。


「ありがとうございます、伯父さま」





 瞳の色に似せた濃い緑色のドレス。

 髪の毛も結い上げられ、ローザは卒業パーティー以来の社交場へ足を踏み入れた。


 ちらちらとローザに送られる視線に、小さく溜め息を吐き出す。


(……壁際で、静かにしていよう)


 すると入り口付近からローザに向けて誰かが大声を上げた。


「ローザ嬢、久しぶりだな!」

「……ディランさま」


(よりにもよって、どうして)


 パートナーを伴って現れたのは、かつての婚約者だった。


(どうして、わざわざ声をかけてきたの)


 なんとか矜持を保とうと、ローザは自ら元婚約者へ近づき、頭を下げた。


「ご無沙汰しております」

「相変わらず怖い顔をしているな。性格のきつさが表情に現れているぞ」


 ローザは唇を噛み、拳を握りしめた。

 くすくす、とどこからともなく笑い声が聞こえてくる。

 不名誉すぎる注目。


(耐えるのよ、ローザ。ここを乗り切れば、あとはなんとかなる……)


 ――そのとき。


「性格の悪さが顔に現れているのは、あなたの方では?」


 まるでローザを守るように、誰かが横に立った。


(えっ?)


 その声の主をローザは知っていた。

 しかし、この場にいる筈がない。

 驚いて横を見ると、正装の男性。顔をさらに上へと向けて、ローザは声を失った。


 先に言葉を発したのは元婚約者だった。


「で、殿下……っ」


(待って)


 同時にローザは気づく。

 声の主。

 あんなに重たかった前髪が眉の上で切り揃えられた、イーサン。

 その、瞳の色は。紛れもなく、眩いばかりの黄金で。


(黄金の瞳は、王家の人間である、証……)


 ローザは、いや、その場にいる誰もが息を呑んでイーサンを見つめていた。

 公の場に現れることのない、そして、今日数年ぶりに現れる予定だった第二王子のことを。その堂々たる様を。


 イーサンの声が会場内に響き渡る。


「ここの空気は澱んでいる。外へ出ようか」


(誰!? イーサンだけどイーサンじゃない!!)


 ローザはただただうろたえるばかり。

 そのままバルコニーに連れて行かれ、改めてイーサンの姿を確認した。

 初めて目にする整った顔立ちは、紛うことなき王家の人間。


「……イーサンさま。数々の不敬、心からお詫び申し上げます」

「ローザ」

「はい」

「最初に会ったときに言っただろう。()のことはイーサンと呼んでほしいと。敬称は要らない」

「ですが」

「ずっと人前に出ることができなくて、それが精神的負担になって、悪循環に陥っていた。その環を断ち切ってくれたのが、ローザ。君だ。薬の効果は抜群だ。そして」


 イーサンの黄金の瞳が、ローザをまっすぐに見つめていた。


()にとっては薬以上に、君の言葉が効いたんだ。ありがとう」





 正体を明かしてからも、イーサンは魔法薬草園で働いていた。

 イーサンの魔法薬草に対する興味は尽きないようで、今日も成分研究に余念がない。


「伯父さまは知っていたのですね」


 ローザは頬をふくらませたが、園長は片目を瞑ってみせるだけだった。

 夜会以来、イーサンは魔法薬草園に来た頃とまるで別人のようだった。


 ――僕は、人前に出ること以外なら何でもできるんだ。


 言葉通り、イーサンは多才な青年だった。

 正体を明かした後に園長が用意した彼専用の研究室から勢いよく飛び出てくると、少年のようにあどけない表情でローザへ笑いかけた。


「ローザ。手を出して」

「……はい?」


 黄金の瞳がローザに向けられるたび、ローザはなんとか平常心を保ってみせようとする。


(ときめかない、ときめかない)


 そんなローザの手の甲に、イーサンはクリームを落とした。


「塗ってもいいかい」

「お、お願い、します」


 イーサンは両手でローザの右手を包み込み、丁寧にクリームを塗り込む。


(睫毛、長い……)


 頬どころではなく耳まで熱くなるのが分かったが、ローザは目を逸らせない。

 薬草のほのかな甘い香りが鼻をくすぐる。

 この1年馴染んできた、心地いい香り。


「初めて僕だけで作り上げた薬だ。手荒れに効くように、調合した」


 そして、そのまま。

 イーサンはローザの甲に、そっと口づけた。



 ――そのハンドクリームはやがて、第二王子の結婚にあやかって人気商品となるのだが、それはまだまだ先の話。

 

 

 

 

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 発端の婚約破棄以外はほのぼのムード一色の癒し系(薬草園らしく?)のお話になっていること。 [一言] 彼女は職場で彼と初めて出会ったようですが、彼はどうだったのかしらん?  「伯父様」のお節…
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