ルーク・シェラード-1
サブタイトルは後で変えるかもしれません_(._.)_
――今から15年前。
ボクは貴族シェラード家の3男1女の末っ子としてこの世に生を受けた。
貴族といっても爵位は子爵であり、階級は男爵についで下から2番目。
アリティア王国の貴族社会の中では下級貴族に属している。
そんな平民に少し毛が生えた程度の貴族ではあったのだけれど、領民や他の貴族たちの知らない秘密がこの家にはあった。
それはボクの生まれたこのシェラード家が実は暗殺や諜報活動などを秘密裏に行う王直属の特殊任務部隊の一族であるという事。
なぜ貴族の中でこのシェラード家だけがこのような任務を任されているのか疑問に思ったボクは一度だけ母様に尋ねたことがあった。
「――このシェラード家はね、特別な一族なの」
「特別?」
「そう、特別。私にも理由は分からないのだけれど、どういう訳か、このシェラード家に生まれた者の多くがユニークスキルを授かるの」
”スキル”
それは15歳の成人の日、この世界に生まれたすべての人々が神様から等しく授けられる才能や能力のこと。
スキルには多種多様なものが存在し、戦闘に関するものから、鍛冶や木工といった生産に関するもの、更には洗濯や料理なんてものも存在する。
ユニークスキルはその中でも10万人に1人の割合で授けられる希少なスキルでユニークスキルを手にした者はその瞬間から運命が一変すると言われている。
ただの農耕民だった少女がスキルを手にした次の日には宮廷魔導士として王国に召し抱えられ、そこいらにいる様な極普通の木こりが後に伝説に残るような英雄になったとか、まるで夢物語のような話だ。
母様曰く、そんな希少なユニークスキルをなぜかシェラード家に生まれたものは授かる事が多いという。
確かにシェラード家の長男であるコンラッド兄さまは“剣神の寵愛”、次男であるヴァレイ兄さまは“空間跳躍を、そしてシアナ姉さまは”魔力の泉“というユニークスキルを持っている。
そんな特殊な環境の家にボクは生まれた。
シェラード家に生まれた者は、本人の意思に関係なく、物心がつく前から剣や杖を握る。
将来、王家に仕える為、様々な知識や戦闘のイロハを徹底的に叩き込まれて、食事と睡眠以外のすべての時間をそれに費やすことになる。
周りの同年代の子供たちが友達と楽し気に遊んでいる時も、ただひたすら王国の為に剣を振るうのだ。
太陽が地平線から顔を覗かせ、さっと引き払うように闇を消し去る頃、コンラッド兄さまの空気を切り裂くような素振りの音が裏の庭園から聞こえてきた。
ボクはいつものようにその音で目を覚ますと、ベッドの上から身を乗り出し兄さまの姿を窓越しに眺めていた。
しばらくして剣を携えたヴァレイ兄さまとシアナ姉さまが合流する。
3人はそれぞれしばらくの間、黙々と素振し一息整えた後、代わる代わる剣の手合わせを始める。
剣の腕でコンラッド兄さまにかなう者はこの屋敷には一人もおらず、二人掛かりでもいとも簡単にあしらわれてしまう。
金属と金属が激しくぶつかり合う音がもうかれこれ数十分は続いただろうか、気が付けば朝の明るさが加速度を増して広がり、シェラード家の屋敷全体を照らすとそれを合図に兄さまたちは朝の鍛錬を終わらせる。
「ルーク!」
額の汗を拭っていたシアナ姉さまは窓から眺めていたボクに気付くと、名前を呼んで手を大きく振って見せた。
訓練を終えた兄さまたちはそれからいつものように裏庭の掃除を始め、隅々まで綺麗になったのを確認すると、朝食の為屋敷の中に戻っていく。
ボクは三人の姿が見えなくなると、枕元に置いてあった一体の子グマの人形の頭を軽く小突き再びベッドの中に潜り込んだ。
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