プロローグ
突然だか俺は世界を救ってきた
テンプレ的に召喚され、チートを貰い、魔王の討伐を王様から依頼され、敵を倒してレベルを上げて、旅の途中で仲間を集め、ときに苦戦し、葛藤し、ときに人々を助け、仲間たちと喜び合い、最終的に魔王を倒して、送還魔法とやらを使って地球に帰してもらった
。その時召喚した時から地球では時間が経過していないという所まで徹底してテンプレだった。
あっちの世界の人達には不謹慎だがあえて言おう、めちゃくちゃ楽しかった。魔法とかの未知の力を使うのはそれだけで楽しかったし、レベルという概念は自分が強くなっていく過程が目に見えて分かった、得た力を使って人々を助けるのはなんとも言えない充実感があったし、信頼出来る仲間と共に困難を乗り越えて行く達成感は俺の一生の思い出になった。
とにかく、本当に最高の旅だった。もし、明日死ぬとしても何も思い残すことは無いと言えるほど満ち足りた旅だった。
そんなこんなで俺の物語は終了したはずなんだが、最近のテンプレだと寧ろここからが本番っていう事だってある。
自分が気づいていなかっただけで地球にも悪の組織みたいなものがあって、それと戦っている正義の組織みたいなものがあったり、妖や、悪魔たちと戦っている陰陽師や、エクソシスト的な組織があったり、宇宙からやってくる謎の外敵から地球を守る謎の超能力集団があるかも知れない。
幸いなことに、向こうの世界で得た力は問題なく使えるようだ。
だったらやることは一つ!向こうの世界で得た力を使って、こっちの世界も楽しみ尽くしてやるしかない!
それからの俺は世界中のあらゆるものを調べまくった。空間魔法を使って世界中のパワースポットに行ってみたり、隠密を使って、世界中の重要な機関に潜入してみたり、人々を片っ端から鑑定していって魔法が使える人がいないか探したり、意味もなく魔力を解放して反応を伺ってみたり、ネットやSNSに乗ってる、どんな嘘くさい情報でも徹底的に調べたり、自称超能力さん達に会いに行ったりもした。
が、調べれば調べるほど突きつけられる現実・・・謎の組織も、妖も、超能力も魔法も無かった・・・世界は現実で満ちていた・・・
うん、まぁ・・・いいよ、俺はもうあっちの世界での旅を充分楽しんだから・・・これからはこの力を使ってちょっと楽をしながらこっちの世界での平穏な日常をのんびり楽しんでいくよ・・・
こうして俺の非日常は幕を閉じ、また平穏な日常が始まりを告げるのだった。