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2-4


 幼い兄妹の去ったあと、魔女は庭先で泣いていました。白いきれいな鳥が歌いながら、魔女の気分と対をなしているかのように飛びまわっていました。


「あんなにちいさくても、やっぱり人間には変わりないのね……」


 やがて、魔女の目の前に白い鳥が降りたって、すぐにまた、ばさっという音をたてて飛んでいきました。その影を追うように魔女が顔をあげると、


「あなたたち……」


 さきほどの幼い兄妹、ヘンゼルとグレーテルが立っていました。



 魔女はよろこんで、ふたりをお菓子の小屋のなかへ招待して、お菓子をふるまいました。

 ヘンゼルとグレーテルは、魔女に言い訳をしました。


「ごめんなさい、さっきはびっくりしたものだから」


 きれいな魔女は笑ってゆるし、


「いいのよ。こうして戻ってきてくれてうれしいわ」

「お姉さんは、悪い人じゃないって思ったから」


 上目うわめづかいの幼子たちに、気分もいっそう楽しくなりました。


「ねえお姉さん、どうしたらそんなに、きれいになれるの?」

「まあ、おじょうずね」

「ねえお姉さん、私もきれいになれるかしら」

「ええ、きっとなれるわ」

「ねえお姉さん、それなら僕も、ハンサムになれるかな」

「ええ、もちろんよ」

「もしそうなったら、僕と結婚してくれる?」

「あらまあ、そんな」


 三人は楽しい午後を過ごしました。

 そして、夕方になり、


「僕たち、泊まっていってもいいかなあ」

「おひさまが沈んじゃって、お家に帰れないわ」


 魔女はすこし困ってしまいましたが、それでもこころよくこれを受けいれました。

 グレーテルはひとつ、魔女に約束を取りつけました。


「お姉さん、明日は私たちに、お菓子作りを教えてくださる?」

「いいことよ。けれど、また遅くならないうちにお帰んなさいね」



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