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記憶喪失からの旅  作者: 昴
2/2

二話


 「あんまり無理して食うなよ?腹、壊すぞ?」

 「大丈夫。もう食べ終わった。」

 「あっそう?」


 どうも、相変わらず自分の名前が分からない謎の男です。

 あの後、空腹で倒れた俺を心優しい蜥蜴っぽい人に介抱してもらい、助けてくれたお礼と言われ飯をご馳走してもらい丁度食べ終わったところです。


 「本当に助かった。もうすぐで餓死するところだったかもしれない。」

 「いやいや~、オレだって荒くれ者連中に襲われてたところを助けられたんだ。このくらいじゃ足りないと思ってるくらいだぞ?」


 最初は、あまりに自分と違う外見だがこうして話すとなかなか良い奴じゃないか。顔は完全に蜥蜴だけど表情が分かりやすいくらい変化するし。

 身体は少し光沢のある緑青色の鱗に尻尾は短め。目は赤色で

かっこよく感じるが、愛嬌があってどうにも憎めない奴、そんな印象を受ける奴だな。


 「そうだ!名前を言ってなかったな。俺の名前はグリシャって言うんだ。よろしくな!」

 「あぁ、よろしく。」

 「で、あんたの名前は?」


 どうしよう、記憶がないから名前が分からないし、言い訳をするにも適当なものがない。しかも自分の知らない場所だから下手なことも言えない。

 でも、この蜥蜴いや、グリシャは話しただけでも結構良い奴だし話してみるか?

 

 「えーっと、どうかしたか?」


 心配そうにこちらを見てくるグリシャ。

 とりあえず、警戒だけはしておくかな。飯をご馳走してもらって失礼なことだが。


 「その、実はな・・・。」


 グリシャには俺が記憶喪失の事を話して何も覚えてないし、ここが何処かも分からず、名前も分からない事を話してみた。


 「あ、あんた。記憶喪失の割には結構落ち着いているんだな?」

 「自分でもその事には内心、ビックリしている。」

 「矛盾してない?」

 「俺もそう思ってた。」

 「「・・・・・・。」」

 ((こいつ、なんか気が合うかもしれない。))


 なんか、心で繋がった気がする。よくわからないけど。


 「しっかし記憶喪失か~。本当に何も覚えてないのか?他になにか思い出せないのか?」

 「うん。残念なことに。」

 「だとしたらすげぇなぁ。さっき襲ってきた奴一人で倒したんだろ?右も左も分からないのにいきなり襲ってきたのを返り討ちにするなんて並大抵なことじゃないぞ?」

 「むぅ・・・。」


 さすがに怪しまれるか。それにいかにもな悪人面と戦った時槍を構えてそれっぽい感じの事を言ってたけどほとんどがむしゃらにやってただけだしな。最後の二人を倒した時に槍が折れていたし。いや、そんなことより今は目の前の事だ。


 「すまん、信じるにも荒唐無稽な話しだよな。」

 「・・・・・・。」


 沈黙はいろいろと耐え難いな。すぐにでも出ていった方が良いか。これ以上お世話になるのも失礼だしな。


 「よし!決めた!!」

 「!?。なっ何を?」

 「あんた、オレと一緒に来い!そして、旅をしないか!」


 何がどういう事だ?


 「いやー、何だそのあんたは命の恩人だ。助けてもらって今のオレがいるんだ。そしたら助けてくれた奴が困っているのに助けないなんて道理はないだろ?信じるぜ!あんたの話し!」

 「いっ良いのか?どこの誰かも分からない奴だぞ。俺は?」

 「問題無し!まぁ、一応オレはこれでも商人だ。条件をつけるぜ。」


 やっぱり何かあるのか?

 いったい何だ、条件とは?


 「あんたは腕が立つみたいだからな。オレ専属の護衛をしないか?」

 「護衛?」


 護衛かぁ。ある程度は戦えるって事はわかっているけど守るとなるとどこまでやれるか。

 下手に安請け合いするのは危険かもしれないな。


 「今なら三食昼寝付き、服や防具、武器なんかもしっかりとした物も用意してやる!住む場所はその日の稼ぎや日程で野宿するかもしれないがアフターケアはしっかりしてやる!もちろん給料も出るし働き次第ではボーナスも出してやる!どうだ!」

 「やります!というかやらせてください!!」


 駄目だ、俺チョロ過ぎるだろー。


 「本当に良いのか?」

 「いいよ、いいよ。それにお前とは会った時から気が合いそうだなーと思ってたしな。」

 「あっ、俺もそう思ってた。」

 「だろ?」


 ニッと笑った顔がなんかもうすごいかっこよく感じる。

 俺、この人に一生ついていこう。

 どうせ覚えてないし、せっかく知り合った人だ。話せる人といたほうがいい。


 「よし。後はあんたの名前だな。どうする?自分でつけるか?」

 「いや、好きに名前をつけてもいいぞ。」

 「じゃああんたの名前はジャックだ!」


 ジャック、ジャックか。うん。いい名前だな。

 生まれ変わったような気分だ。

 名前が思い出せない時とは大違いだ。


 「これからよろしくな。ジャック。」

 「こちらこそ、よろしく。グリシャ。」

 「善は急げだ。馬車に乗りな。まずは街に行くぞ!」

 「了解っと。」


 いまだによくわからない場所だけど信用できる人ができて、そして名前ももらった。

 今思うとこれって俺の新しい人生の始まりと言っても過言ではないな。

 これからどうなっていくのやら。

 ・・・・・・あっ、この世界の事とか聞くの忘れてたな。

 後でじっくり聞くか。とりあえず街に着いてからかな。


 

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