ねこまんま
公園の真ん中に立っている柳の木が、
春の光にやさしい風に
緑の糸が、さやさやゆるる
その葉の風に揺れるさまに
ついつい夢中で遊んでいると…
いつのまにか、カナカナカナ………と
いう声が、
夏の西日に染まりはじめた砂場を横目に、
寝床のすべり台の下をくぐると
涼しい夕方の風が火照った毛皮を撫でる。
「ハアハアハア、、、、」
「てえへんだ、てえへんだ!」
「にゃぁ~?なにが大変なんだ?」
「総菜屋のバアさん、ギックリ腰で入院しちまったんだってよ~」
「ええええーーーっ!」
「じゃあ、おいらたちの飯はどうなるのさ。」
「あの総菜屋の売れ残りが貴重な”おまんま”なのによー」
「また、別の家を探すしかないのかねぇ~」
「そうだな~」
「あそこん家、バアさんは良い人なのに………。」
「鬼嫁がどうにも、、、な………。」
「だよな、だよな!」
「オイラ、バケツで水、ひっかけられたあ」
「容赦ねぇからな~」
「バアさんが帰って来るまで、どっか探さなきゃ、、、な、」
「あゝ、、あの鬼嫁が入院すればよかったのになぁ」
……そんな、猫の集会に出会うこともある公園。
砂場にはご注意を………。
「ママー、トンネル~ほるう」
「ママーなんかあうーーー」
柳には「遊び草」「風見草」など、その葉の風に揺れるさまからの異名が多い。
ねこ遊ぶ 緑の糸や 風笑う
朝子