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痛み
生まれてからの思い出は
全て病院の中
治療法のない謎の痛みで体を動かす事も出来ない
時折激しい痛みが全身をおそう
痛み止めを打つが、
もう、その効果も効かない
「お兄ちゃん···」
一年前両親は病院から帰る途中に事故で亡くなった
落ち込む私を励まそうと、前より病院に来てくれる。
「どうして···綾なんだ···?
あの子は、まだ小学生なのに
両親は1年前の事故で亡くなってしまった
綾がいなくなったら、俺は···」
ドアの前で涙をふき
取っ手に手をかけると、かすかに部屋の中から声が聞こえる。
「痛い···
痛いよう···
お兄ちゃん いたい いたい
ママ···パパ···助けて···
お兄ちゃん···
ごめん
でも、もう疲れたよう
もう 死にたい
ごめんね、お兄ちゃん···」
扉の前で、震える体を押さえ込み
慌てて音をたてずに外に逃げ出す途中
いつもにこやかに接してくれている
看護師さんとすれ違う
頭を下げ横を無言で通り過ぎた俺を見て
驚いた様子が見てとれた。