(4)謎スキル
ギルドの受付に依頼品をのせる。受付のオヤジが俺たちに気づいて近づいてきた。
「おお、坊主たち思ったより早かったな。鑑定してやろう。……おお、想像以上に良い状態だな! やるなあ、おまえら」
魔法で血抜きをしたので毛皮に汚れは付いていないし満足のいく状態だったようだ。
「坊主たち冒険者レベルはどうだ?ちょうどおまえらのギルドカードができたところだ。そこにかざしてみろ」
オヤジはギルドカードを机にのせてから受付の端にある水晶球を示す。水晶球のなかには冒険者ギルドの旗印がゆらめいている。魔法がかかっているのか。
ワルドが先にギルドカードをかざすと水晶球に文字が現れた。
ワルド・オーキッド
冒険者レベル3
スキル:剣技2
連携スキル:スピードスラッシュ1
「ほぉ〜レベル1かと思ったが、今朝から始めてもう3か。もうひとりの坊主はどうだ?」
オヤジに促され俺も水晶球にギルドカードをかざしてみる。
クロノ・エンデ
冒険者レベル2
スキル:剣技1、魔法3、自己行動補正98
「自己行動補正?見たことねえスキルがあるなあ。しかもスキルレベル98てなぁ……」
これは、あれか?俺が1回人生を終えた未来の記憶を持ってるからか?とは言っても「自己行動」とか、地味そう。
「何の補正かよくわからないし役に立つスキルか怪しいなあ。それにしても、ワルドはレベル3で俺はレベル2か」
笑いながら俺はギルドカードをしまう。
「クロが俺の補助をしてくれてたから俺のレベルの方があがりやすかったんだろうな」
差はあるものの、お互いにレベルが上がっていることを喜ぶ。
ギルドの受付のオヤジにまた来た時におすすめの依頼を教えてほしいと伝え、俺たちはギルドを後にした。
次の目的は昼食だ。今の時間帯は昼食時を少し過ぎたくらいで、通りかかった料理店を外から見るとまだ混雑していそうだ。結局、価格も手頃なので屋台で売っている野菜と肉を挟んだパンを買い、路傍に座り込んで食べることにした。
「ギルドにあった球、すごいな。レベルとかスキルが見れるやつ」
ワルドは思い出したように感心していた。確かにレベルやスキルが見れるのは便利だと思う。
いつでも自分で見れたらいいのになあ。そもそも何の魔法だろう。解析魔法か?解析と具現化を同時にかけれたら再現できるだろうか。ちょっとやってみたくなった。
「ワルド、ちょっと試してみたい。ギルドカード、貸してくれないか」
2人分のカードに意識を集中させる。カードがわずかに光り、俺の周りに魔法陣が浮かぶ。
所有者に限定してリアルタイムに解析を行いカードに表示させるよう魔法を走らせる。
うまくいったようで、俺の手元のギルドカードのうち、俺のものだけ詳細情報が現れている。もう一方をワルドに返すとワルドが目を丸くして驚いた。
「クロ、魔法何種類使えるんだ?ラビットバード捕まえに行った時はそんなにあれこれできるようなことは言ってなかっただろ」
「教えてもらったのは、加速と治癒の基礎、索敵くらいだなあ。ソレにかけたのは解析の魔法だけど」
「解析も教えてもらったのか?」
「いや、見たこともない」
「……何で使えるんだよ?」
ワルドの疑問は当然のものだ。そもそも自分で見聞きもしていない魔法が使える理由がわからない。
何故か、当然のように使えるんだと感じた。
俺は手元のギルドカードを眺めながら頭を捻る。思い当たらないけど、怪しいのはやっぱり――
「あ、『自己行動補正』?」
ギルドカードに浮き出ているよくわからない自分のスキル名にさらに解析の魔法をかける。
自己行動補正――行動を遂行するために効果を生むあらゆるスキルを習得し行使可能にする。対象は自己に限る。――
……地味そうだと思ったスキルは、とてつもなく便利すぎるスキルだったようだ。