第一章:内務省
前回の続きです。
タウソンにある小さなアパートで僕は母から届いた小堤を眺めていた、それにはZENSIERTと何やら日本語が書かれていたが高校で日本語の成績はFだったから漢字など読めるはずがなっかたーー落第したと言っても僕は戦前に生まれ高校で急遽、日本語の授業必修科目となり頭に入る筈がなかった。
母は東側にいるので普段物なんかは送らない。母が僕に荷物を送ったのは僕が先週クビになったからだ。タナカが考えた、ヘマした回数を記録して何回か溜まったところに何かペナルティを課すという馬鹿馬鹿しい制度に意味がないと愚痴を言ったらどういうわけかリストラされたのだ。タナカは日系二世で彼の父親は恐らく収容所にいたのだろう、その話を聞かされたせいか白人を快くは思っていなかった様だ、しかし僕のリストラはどうも腑に落ちない、タナカの顎の緩い口の端に唾液の着いたあの顔を見ると一発殴っておけば良かったかなーー
そんな事を考えながら小堤を開けるとそこには手紙と何故か鮪の缶詰が入っていた。
手紙を読み気持ちが少し前向きになったところで、時間も時間だったこともあり缶詰を開けようと持ち上げてみると缶詰にしては少し重すぎる事に気が付いた。 僕はいささか不安になったが開けてみることにしタブに指を掛け引っ張った、すると粘土のような匂いがし中は灰色のものが隙間なく敷き詰められていた
潤滑性粘土鉱物はX線を通さないと聞いたことがある、すると母は何らかの税関を通してはいけないものを隠した可能性がある、僕はスプーンで苦労しながら”発掘”をしてると何やら硬いものにスプーンの先が当たった少し焦りながら取りだすと何やら透明で四角い物が出てきた。
一見、結晶か何かのように見えるがどこか機械的でよく見ると番号が彫ってあり金属製の接続部とみられる様なものもある、それに僅かながら光を発していた。