第九十二話 幸せの中に幸せはないから
三章プロローグです。プロローグなのに短く収まらなかった……。
ひとつ前に閑話投稿してます。よければお読みいただけると嬉しいです。
では、どうぞ。
彼女――東雲桜の朝はとても賑やかに迎える。
目が覚めると同時に時計を確認して、一瞬で目が冴え渡る。理由は言わずもがな、というやつだ。
急いで身支度を整えたとき、ふと机の上に置いてあった桜のペンダントが目に入る。いつもつけてたっけ? と疑問に思いながらもつけるとしっくりときて、かすかに笑みを浮かべる。しかしすぐに時間がないことを思い出して階段を下りていった。
両親に半泣きでなんで起こしてくれなかったの、と言いながらも急いで朝ご飯を食べる。その席には保育園以来の幼馴染である望月梓の姿もあった。
梓にも抗議すると、彼女がスッとリビングに掛けてある時計を指さす。
彼女が自室で見た時刻は八時過ぎ。
しかし、リビングの時計はまだ七時半を指していた。昨日の夜から針が動いていなかった、ということになる。このことに気づいた桜は顔を赤らめながら俯くと、「なんでもっと早く教えてくれなかったのぉ!」と言いながら帰りに新しい目覚まし時計を買おうと心に決めた。
たまには早く出ようということで、勢いをそのままに支度を終えて彼女たちが通う詠月高校に登校する。
「なんで学校に投降するだろうね、梓ちゃん。刑務所と同じノリで」
桜が思い浮かべながら口にした言葉通りだと生徒と学生は全員虜囚であり犯罪者になるのだが、桜はそうとは気づかずにとりとめもなく思ったことを口に出していく。
時間に余裕を持ちながら教室に着くと、教室を見渡してからおはよう、と挨拶をして自分の席に着く。そして自然と笑顔になりながらいつものように左を向いて、その顔が引きつった。
空席だ。
そう思い出すも、違和感を覚えた。喉先まで出かかっているのに、あと一歩出てこない。
なんとなく首を横に振って朝のSHRまでどう過ごそうかと悩む。
――いつもどうしてたっけ?
そう疑問に抱きながら。
お昼は桜の母特製の愛情弁当を、梓や二人の幼馴染である篠田翔や橋本銀河と一緒に食べる。これは毎日のことだったし、違和感も覚えない。
ただ、隣の席が空席だったことには常に違和感を覚えていた。出席も全員揃っていたし、数え間違えもなく、桜自身の記憶通りでもある。
「ねえねえ翔くん、銀河。それに梓ちゃん。私の隣ってなんで空席なの?」
気になるものは気になる。思い立ったら吉日だと言わんばかりに桜が三人に問いかけると、三人は穏やかな表情をしたと同時に、お昼の終わりを告げるチャイムが教室中に鳴り響いた。
弁当を急いで片づけながら、桜はふと思う。
――まだ全然時間経ってなかったと思ったのになぁ。
しかし現実は全員席について、次の授業の先生も教壇に立っている。
教師の指摘に教室が笑いの渦に包まれ、顔を赤らめながら席に着く。梓や翔、銀河の顔をちらりと見るも、クラスの人たちと一緒に笑っているだけだ。手早く授業の準備をし、前を見る。
桜も顔を赤らめたまま体を小さくしながら授業の準備をして、よし、と気を取り直した。
授業は真面目に受けるもテストの点はまあまあ。そんな典型的な型にはまっている桜は、しかし午後の授業はそれ以降、意識は窓の外へ向かっていた。
流れる雲に、降り注ぐ暖かな陽光に。グラウンドから体育の授業を受けている生徒の声が平和だと心の中で達観し、安心する。
これが平和な日本で、桜が好きな日常。
友達と家族、幼馴染である梓と翔と銀河がいて。学校に通って一生懸命勉強して。帰りにはちょっと寄り道して駅前に出かけてショッピング。
争いといってもおばちゃんたちがおばちゃん言語でタイムセールの品を取り合うとか、そんなことだ。
だから。
――誰も死なない、とても綺麗な世界だね。
世界は、桜の世界はとても綺麗だ。だからこの世界がずっと続けばいいと願うと同時に放課後になった。
放課後になれば自然と彼女の周りに人が集まってくる。その中には必ず梓と翔、そして銀河がいた。
会話は二転三転としながらも盛り上がり、だんだんと夕日が藍色に染まり始める。すると、徐々に人は減り、最後には翔と銀河も用事があるということで帰ってしまったことで、梓と二人きりになった。
外からは野球部とサッカー部がそれぞれ声出しをしている。その声が夕焼け空と相まって心がきゅう、と締め付けられるように切ない。
「そろそろ、帰ろっか。駅前にも寄るけど、梓ちゃんも行く?」
片づけをしながら問いかけたとき、なんとなく隣の席に視線がいった。
誰もいない席。不自然に置かれてある上に、転校生が来るわけでもない。だというのに、生徒はどころか教師も片づけようとはしない。本当に不思議だ。
なんとなく視線が外せなくなって、緩慢な動きで立ち上がり、そっと机を撫でる。
「っ!」
微かに痛みが手に走り、反射的に手を引く。
「なん、だろうね……これ」
とても大事なことなのに、思い出せない。
いや、違う、と。桜は自分自身で拒絶しているんだとすぐに悟る。
そして、それはこのまま拒絶したままの方がいいんだとも。
「……あずさ、ちゃん?」
彼女は黙ったままハンカチを桜に差し出していた。それを受け取ろうか悩んでいることに焦れたのか、差し出していたハンカチを桜の頬に当て、そのまま目のあたりまで滑らせた。
そのときにようやく、桜は泣いていること知る。そして知ったと同時に、とめどなく涙があふれた。
その理由はわからない。だけど、この机が関係しているのは明白だ。
袖で涙を拭うと、もう一度机と向かい合う。
「……」
真剣な眼差しで、机にゆっくりと手を近づける。そして触れた途端、今度は最初よりも強い刺激で手を弾こうとする。教室中がガタガタと揺れ、机は普通ではありえないほど蒼い光を放ち始めた。
やがて激しく拒絶するような刺激は徐々に弱まり、最後には静電気ほどの痺れとなる。それも数十秒続いた後、全ての現象が落ち着いた。
その間、桜は泣いていた。しかし拭うこともせず――もしくはできず――ただただ何かを必死に受け止めていた。瞼を閉じ、眉間に八の字を作り、顔を歪める。
刺激がなくなっても、彼女の瞼は開かれることなくただただそこに佇むだけ。
「そっか」
少しした後、彼女が最初に漏らした言葉はそれだけだった。しかし、その言葉は誰かを思わせる使いまわしで。
そして、また誰かを真似するかのように、目を開いて大げさにため息ついた。
「ありがとう、梓ちゃん」
一度礼を言って、涙をふくと、
「ここは、夢の世界なんだね」
なんて呟いて壊した。
桜が振り返ると、そこには誰もいなかった。どころか、さっきまで聞こえていた音や微かなざわめきすらも、何も聞こえない。
「……ありがとう、みんな」
それは、この夢の世界のみんなへ。
「ごめんね、文くん」
それは、忘れてしまっていたことへの謝罪なのだろうか。
「ごめんね、みんな」
この謝罪は夢の世界から出るつもりがないからなのだろうか。
「ありがとう、文くん」
その感謝は、停滞した世界で楽しい日々が過ごせることへの感謝。
きっと文くんも喜んでくれるはず。そう思い、桜は夢の続きを見ようといつのまにか持っていた本を机の上において外に出ようとしたとき、突然パチンと指をこすり合わせて鳴らした小気味の良い音が聞こえた。
え、と桜が声を漏らすと、同時に場所が教室から狭い部屋へと変わっていることに気づく。本棚に机、エアコン。それに校長室にありそうなふかふかの椅子にソファ。なんとなくだが、桜には見覚えがあった。
「ここ、文くんが部長の文芸部だ……」
何回か突撃したときにだろう。窓際の椅子に座っていた文に怒られて以降訪れることはなかったが、そのときと物の配置は変わっていない。
と、そこでここが夢の中だからかと思い直す。
だけど、と一抹の思いから桜は文が来るたびに座っていた席へと視線を送り、ドクンと心臓が跳ねた。
(誰か、座ってる……)
夕陽に晒された椅子は窓の方を向いていたが、左右にゆっくりと揺れていたのだ。
「ふ、文くん!」
思い切って呼んでみる。勘違いかもしれない。本当は幻覚で、風で揺れているだけかもしれない。そんな思いに駆られながらも、桜は椅子に向かって声を掛けた。
すると、ぴたりと椅子が止まるも、それ以上の反応は返ってこない。
誰かいるというのは確実になった。
だから振り返るのを待てずに近づこうとする桜に、
「はじめまして、になるんだね。桜……さん」
幼げな女の子の声とともに椅子がくるりと回転して、正体があらわになった。
「おんな、のこ?」
小さな女の子だった。十歳ぐらいの子で、とても艶やかな、桜に負けないほどの黒髪を持っていた。
しかし、桜はがっかりした様子であまり目の前の子に興味を持てず、力なくうなだれていた。当然だ。文だと思ったらどこの誰とも知らない女の子だったのだ。
(やっぱり――)
「やっぱり文君は死んだ、って思ってるんでしょ? だから夢の世界に引きこもって……。でもね、桜お……桜さん。こんなところにいても体に悪いだけだよ?」
「でも、私……文くんが死んだって聞かされて、夕方まで一緒に街にいたのに、楽しかったのに……!」
あふれてくるのは、とめどない、文との日常。
「朝おはようって挨拶すればおはよう、って返してくれて。それで、文くんは何でも知ってるから、だから私のこともちゃんと理解してくれるの。お昼ご飯は妹さんの手料理だって話を聞いたり、勉強も教えてくれた。ショッピングも……文くんがいいよって言ってくれたらついてきてくれたの」
常に過ごす日々を日常というのであれば。
「でもね、でもね。カスティリア王国についてから、私、怖かったの。文くんが時々教えてくれた。ここは人がいっぱい死ぬんだって。クラスメイトの人も死ぬんだって……!」
死ぬ人が現れるのは非日常と言えるのかもしれない。
また泣きながら最後まで言うと、少女は「確かにそうかもね」と頷いた。
人は死ぬ。それが異世界であるならなおさらだ。
「桜のペンダントやきつねの髪飾り……他にもいっぱい、いーっぱい、文くんにもらったのに、なのに、なのにぃ……文くんには何にも返せてない。返そう、ってがんばったよ……頑張ったけど、でもぉ……」
死んじゃった。
最後にそう言って桜はすすり泣く。
少女は「うーん……」と頬に人差し指を置いて首を傾げる。そして「でも」と少女は確信を持った言い方で一つ桜に言う。
「文君はだからこそ、一番警戒していたと思うよ。死なないようにーって」
「でも、し、しん……死んじゃったよぉ……」
「そう思う理由は?」
「王様が、そう発表したから――――」
「盗賊王フィンガーだっけ? えぇっと……」
軽く右手でパチンと指を鳴らすと、一枚の手鏡ほどの小さな画面が現れた。
『盗賊王フィンガーが昨夜現れ、無情にもそなたらの同胞、アンジョウフミが殺された。本当に申し訳ない』
「桜さんが見聞きしたのはこれだけだったね」
「う、うん……」
「これだけで夢の世界に引きこもり。うん、桜さん、文君のこと大好きだもんねっ!」
満面の、しかも邪気のない笑みで言われた桜は久方ぶりに思わず頬を赤く染めた。
しかし、ウィズの次の言葉ですぐに顔を引き締める。
「じゃあこの王の不審点をまずは三つあげてくね!」
そう言ってどこから出したのかぐるぐる書かれて絶対前が見えてなさそうな眼鏡と、茶色のベレー帽をかぶった少女は「ふぉふぉふぉ……」とのどを鳴らす。
「一つ、いきなりフィンガー言われても誰なの? ってこと。突然現れて、殺しました? はい、問題です! 一体どこに現れたんでしょう? 答えはCMのあとだぁっ!」
言われてみれば確かに、となんとなく桜は納得する。ついでに、一年前にテレビCMでやっていたカカオとココア百パーセントのオレンジジュースのことをふと思い出す。そしてたぶんこれはオレンジの味がするんだろうと一年越しに結論付けることができた。
「二つ目! 文くんが殺された場所、理由を詳しく言ってない。これは凡ミスかなぁー?」
そういえばあの時文くんはなんで殺されるような場所にいたんだろう? そんな疑問が生まれ、王に疑いの心が芽生える。
「そして三つ目はー……アンジョウフミなんて文君は自己紹介で言わないよね?」
「……あっ!」
物凄いカタカナ発音だし、そもそもこの世界は名前を先に言うはず。だというのに日本のように名字から文の名前を述べた。
「明らかにおかしいねー。きっと名前より気になることがあったのかも。そして最後にサービスっ!」
そういって先ほどの手鏡を桜に机越しに渡すと、再び先ほどの再生をする。
『盗賊王フィンガーが昨夜現れ、無情にもそなたらの同胞、アンジョウフミが殺された。本当に申し訳ない』
最後お礼をするところで、一時停止の表示が鏡に映る。
「はい、ここだよ、桜さん。よぉっくこの王の顔を見てね」
言われて桜はじっと見つめる。
「……あっ!」
口元が弧を描いている。謝罪しているときではありえない姿だ。
「王は笑ってるけど、でもね、本当に笑っているのは誰だと思う?」
「文くん!」
どうしてか、桜は少女の問いかけに即答した。それも、先ほどまで死んだと思っていた文の名を口にする。
活発さを感じる笑みを見せた少女は、ぎゅるんと椅子を一回転させると口を開く。
「実はこの王以外にもこのときいろいろおかしな点がおきているんだけど、もうそろそろボクも戻らなきゃいけないの。だから、ね」
少女は三度パチンと指を鳴らすと、出口を二つ作った。
一つは部室の扉。停滞し、ずっと笑顔でいられる夢の世界。
二つ目は本。前へと進む、疑惑の渦にあふれた現実の世界。
「ボクは何も言わないよ」
そういって両手を広げて見せた少女に、桜は逡巡する。
が、それも一瞬だった。
「私は……」
少女に背を向けると同時に開いた扉の先には、梓を筆頭にした幼馴染、友達、そして家族がいた。
「……」
黙って見つめる桜に、一歩前に踏み出して笑みを浮かべながら手を差し出す文の姿も見える。とても幸せな、夢の世界に桜は自然と足が踏み出してしまう。
さらに数歩踏み出し、文の前で歩みを止める。
そしておもむろに手をあげて――――自分の頬を思いっきり押しつぶした。そして数秒力いっぱい押すと、そのままの勢いで文を押し飛ばす。
「私は行かない」
ツカツカと少女の元まで歩み寄ると、机の上にあった本を勢いよくつかみ取った。すると、本が光を帯びたかと思うと、勝手にページがめくれる。
「おかえり、だね。桜さんっ!」
とびきりの笑顔でそう言った少女に、桜も笑みを作る。
「うん。ありがとね」
「もっと褒めて?」
「ほんとのほんとのほんとーに、ありがとっ!」
「えへへ……」
嬉しそうに笑う少女はひとしきり照れると、椅子の上に立つ。そうすると自然と少女は桜を見下ろす形になり、桜は負けじと背伸びをする。
「私も負けないもんっ」
「文君は肩ぐらいの子が――だから桜さんぐらいの子が好みだと思うよ」
「え、そうなの?」
「うんっ♪」
ここに文がいれば勝手に人の性癖を決めないでよとお小言の一つはきそうだが、あいにくと訂正できる人間はここにはいない。いたとしても聞き入れられた可能性は限りなく0だろうが。
徐々に強くなる光が部室を満たすと、本は形を変えて人ひとりがしゃがんで通れるほどの扉に変わった。
「これで、帰れるんだね?」
「うん。あ、でも桜さんの場合は目が覚めるんじゃない?」
「あ、そっか!」
夢の世界だもんね、ファンキーだもんね、といつもの調子を取り戻し始めた桜を少女が優しい眼で見守っていた。が、ぎゅっと一度目を強くつぶると、それじゃあ最後に一つ、と口にする。
「目が覚めたらアクセサリー屋さんにすぐ行ってね。外に出るときは夕花里お姉ちゃんとリリルお姉ちゃんを頼るといいよ」
「え、夕花里ちゃんとリリルちゃんに? え、ええ? なんで?」
疑問符を連発して元気に小首を傾げまくる桜に、にこぉ、と笑い姿をくらませた。と同時に扉がひとりでに開き、二倍、三倍と大きくなると、そのまま桜に向かって倒れだした。
「え、ええ!?」
びっくり仰天とばかりに逃げ出そうとするが、そもそも地面がない。走ろうとしても空をもがくだけで、余計に混乱を極め……そのまま扉に飲み込まれた。
どこかへ流れゆくような感覚に襲われながら必死に手を伸ばし、無意識に『外』へと向かう。あらゆる痛みは体なのか、それとも心なのか。もしくはその両方が桜を襲う。
だが、痛みが走るのと同時にヒールを当てられたかのような安堵感を得ていた。ほつれたところを直すように、痛みが引いていく。
徐々に流される感覚から浮遊感に変化していくのを感じ取りながら、桜はゆっくりと瞼を開いた。
そこは、最近見慣れた天井だった。日本にある自室のかわいらしい天井ではなく、少し豪奢に作られた、精巧な造りの天井。
ぼぉっとした頭のままゆっくりと体を起こし、外から浴びる明るい月光で今は夜なのかな、と思う。
周りにはだれもおらず、桜は一人でこの部屋――この世界の自室――にで寝ていたことを遅れて理解し、どうしてここで寝ていたのかを思い出そうとして――胸に激痛が走った。
「――っ!」
文が死んだ。好きな人が死んだ。その報を聞いて、それで意識が。
ふらりとまた意識が飛びそうになるのを耐え、ううん、とうなるように言葉を発し、頭を横に振る。
「本当のことじゃない、かも、だよね」
夢の世界でのことはすべて覚えている。幸せだった夢の世界でのことはもちろんのこと、黒髪の少女とのことも。そして、話したことも。
疑うことを覚えた。だからこそ、桜はカスティリア王に疑いを持つ。『文は本当に死んだのか?』と。
そしてその真実は、初めて王都に行った日に訪れたアクセサリー店にあると、桜はなぜかそう思えてしかたがなかった。
そういえば、と右手につけた桜のペンダントに触れる。
「夢の世界でもあったなぁ。このペンダント」
文がくれたプレゼントを優しく握りしめる。そしてぎゅっと目をつぶると、回復魔法を自分にかけた。
軽い疲労と体力が回復するのを感じ、勢いよくベッドから抜けだした。
手首には桜のペンダント。ポケットには赤く染まった狐の髪飾りとスタンガン。
文からプレゼントされたものだけを持って、真実を知るために桜は部屋を出て行った。
まずはぎゅるぎゅると恋する女の子らしからぬ空腹音を収めるために、美味しそうなにおいを追いかけて。
お読みいただきありがとうございます。
おさらい1:桜、ついに目覚める。
おさらい2:黒髪の十歳位の少女は誰だろうか。
書きたい閑話があったのですが、今の自分ではうまく書けなかったのでゆっくり書いて、書き終わったら投稿します。温泉のとき、どうしてピミュさんたちがつかれていたのか、というところの話です。フェンの筋肉が輝いているところは詳細にはやりませんのであしからず、です。
次は文くん・ジ・オリジンが出てくる予定です。出てこなかった場合、この世界で桜は夢の幸福な世界を選択してきゃっきゃうふふあららまあまあ、な世界の文くんですね。




