第七十六話 ベターなバッドエンド
「なんで、なんで――――!」
ふと気づくと、燃え盛る家の中で涙を流しながらその場で失禁している、六歳ぐらいの男の子がいた。
がらりと音をたてながら次々と子供の大事なものを飲み込んでいく。
家族で映っている写真。
母親と一緒に作った、少し不細工な怪獣の顔。
父親とよくキャッチボールをしたボール。
お姉さんに貰った帽子とぬいぐるみ。
プラスチックのスコップや新しく買ったランドセルすらも、全部火の中へ呑み込まれていった。
子供はずっと泣きじゃくって、その場でへたり込んでいる。
僕は少し離れた所からその様子をぼぉっと眺めていた。
これは夢だ。
だって、身体があるという感覚はないし、どこか俯瞰している感じがある。
ウィズがいつもやってくる夢ではない。もしウィズがなにか僕にしかけるなら、絶対に身体は実体化させるはずだから。
でも、夢と自覚するした今でも、勝手がわからないからここから抜け出す方法は思いつかない。思考もそれほど働かないのもあるけど。
ただただ、今起きている事象を眺め続けるだけ。
子供はずっとその場で泣き崩れている。変化があるとすれば、燃え盛る炎で崩れ落ちる家ぐらいかな。
「お父さん……お母さん……!!」
子供がそう言って、僕はようやく二人の大人が倒れている事に気づいた。
なんとなく回りこむように意識すると、三人分の全体像が見て取れた。……二人の死に方に外傷はない。
なんで死んだんだろ? 二人揃って煙を吸い込んで死んだ、なんていうのは考えられないし。そもそも二人が同じ方向で、しかも折り重なって死んでいるという状況は、あまりにもおかしい。
ゆっくりと、この子供の頭が向いている方向に視線を向ける。と同時にこの子供も顔をあげて同じ方向をみたのがわかった。
「――♪ ――――♪」
燃え盛る炎にまったく似つかわしくない、澄み渡るような鼻歌を歌う三つ編みの女の子がいた。玄関の近くで、青空じゃなくて炎の中で歌っているこの子を見た瞬間、今身体がないというのに、物凄い郷愁の念と寒気に襲われた。
理由はわからない。わからないから、うっすらと恐怖すら感じた。
普通の、八歳ぐらいの女の子なのに。……いや、普通じゃないといえば普通じゃない。火事のど真ん中をまるで通学路のように歩いているのだから。
子供の目の前まで来ると、やっぱりというか、周りの状況を全く把握していないような穏やかな笑みを浮かべた。
「ねえ――くん」
声はボイスチェンジャーにかかったようなヘリウム音でわからないし、子供の名前もぼかされてわからない。
この子供は何も答えない。だから、女の子が喋る。
「――くんって、今どんな感じ? ……って聞いてもわからないよね」
何が面白いのか、くすくすと笑うと、「私から見ると」っと口を開く。
「可哀想だね。悲しそうだね。辛そうだね。泣きそうだね。憎そうだね。焦ってるね。……焦ってる? なんで焦ってるの? お父さんとお母さんが死んでるから? 暑いから? 焼かれそうだから? 自分が死んじゃいそうだから? それとも潰されそうだから? ねえ、ねえ。いつもみたいに教えてよ。公園で教えてくれるみたいに私に教えてよ」
――――狂ってる。
僕が気持ち悪いと思うほど、この女の子は狂ってる。
でもこの子供は、
「わからないよぉ……」
なんて普通に受け答えしている。
この子も大概だって少し思ったけど、目の前で親が死んでるから案外心が壊れていてもおかしくはないかも。小さい分、親の影響力は強いから。だから、異常者同士で話ができるということか。
女の子は男の子の答えに暫くきょとんとした表情をしていた。その姿は、僕からみたら間抜けもいいところで、まるで豆鉄砲を食らったような顔をしていた。
「――くんは…………」
そこで言葉が区切られると、いきなり上空を見上げた。
いや、違う。
――――明らかに僕を睨みつけていた。
「ふぅん……」
さっきまでとは違って機嫌が悪いような呟きに、身体の芯が冷える思いをしたまま数十秒。
「どっかいっちゃえ」
スッと女の子が手を上空に伸ばした瞬間、目の前が真っ赤に染まって僕の意識は再び真っ暗になった。
「…………」
次に目が覚めた時、僕の身体は汗でびっしょりだった。
夢見が悪いのあったし、僕の上に布団が何枚も重ねられていたせいだというのもあるかも。
「…………いや、それよりも」
あの夢はなんだ?
ウィズのときもそうだったけど、夢は僕が今までにみたことがあるか経験したことのあることを基軸にして脳が再構成する。だから、今の夢はおかしい。
だって僕は、火事に遭ったことなんてないのだから。
しかも両親が死んだとしても、外傷もない状態で、二人が折り重なるように死ぬだなんて、そんな綺麗な死に方なんてあるわけがない。
そう考えると、あの夢は……僕のものじゃない?
その可能性はありえる、けどなんとも腑に落ちない。
「……それに、僕の意識がはっきりしすぎていた気もするけど……」
「んーそうね。私からみたらボーっとしているように見えるけど」
「え、エレさん! びっくりした……」
「びっくりしたのは私の方よ。どうしてここにこんな美少女がいるというのに全く気づかないのかしら……」
よよよ、と泣き崩れるエレさんだけど、その手はまるで皮むきマスターであるかのように物凄い勢いでりんご皮を生産していた。
「美少女は自分で美少女だなんて言わないと思います」
「じゃあ私が初めてってことかしらね」
なんでそうなるのかな。
まあでも、異論はない。
そもそも、エレさんは適当に会話しているようにも思えるから、そこに深く突っ込むつもりはない。
「……それで」
「待って。私がこのりんご皮で魔物を殺すまで本題に入れない」
「全然関係ないよね!」
「私には大ありよ。今剥いているりんごで百四十五個目よ」
「結構切ってる!? ……ってうわぁ」
エレさんの後ろは見なかったことにしよう。
それからエレさんが皮を剥き終わるのを待って、再び話しかける。
「それで、エレさん。あれからどうなったんですか?」
「……それは」
少し顔に陰りを見せると、ベッドの下からくす玉を取り出した。
「実はね……」
「防衛は成功しました、パンパカパーン。……とかやるわけじゃないですよね?」
「フミさんはエスパーかしら!?」
驚きつつもきちんとくす玉を引くエレさんはさすがだと思う。
ため息をついて床に足を下ろすと、エレさんの瞳を覗きこむようにジッと見つめた。
「話を逸らさないでください」
「…………」
仮面が剥がれた、という表現が今のエレさんにぴったりと当てはまる。
明るく振舞う姿はただそれだけしかなくて、いつも感じる不敵さは微塵にも感じなかった。
そこから導き出せることといえば、
「何か、エレさんがまずいということでもあった、ということですか?」
「…………ええ、そうね」
沈痛な表情を浮かべて足を組むと、ぽつぽつと、でも紛れもない事実を語り始めた。
「さっきみせたくす玉の通り、レーリスの街の防衛は成功したわ。そこには多勢の冒険者と兵士の死者が積み重なった上での成功……いえ、死者の数だけをみるなら成功とは到底言いがたいわね……」
「でも、成功は成功ですよ」
「……そうね。でも、今回防衛成功の鍵は、フミさん、貴方。そして最近噂になっていた勇者の二人よ」
「勇者!?」
思いもよらない単語が飛び出てきて、思わず声が裏返った。
「あ、あーっと、その勇者二人は今何処に……?」
「その二人なら先ほどまでこの建物の中にいたけど、突然飛び出して行っちゃったわ」
「へぇ……。あれ? そういえばここってどこなんですか?」
「あら、忘れたのかしら?」
クスリと、久々にみた不敵な笑みに場違いにも少し安心して表情を崩し――
「私とフミさんの愛の巣――」
「あ、そういうのは結構です」
「――もぅ、つれないわね。……言います、言いますから。その面倒くさいものを見るような目はやめてもらいえないかしら?」
だったら早く言って欲しいのだけれど。
「冒険者ギルド二階にある仮眠室、といえばだいたいわかるかしら?」
「……それ以上何をわかれというのかがわかりませんが、大体場所は察せました」
僕が気を失った所から冒険者ギルドまで運び込まれて、時間はわからないけど、外が暗くなるまでは気絶していた、ということか。
だったら納得。
『長時間僕を看病するぐらいなら、街のために少しでも働け』とかなんとかで、少なくともフェンはどっかで働いているんだろうね。ウィズは……わからない。
「……いくつか質問したいんですけど、僕ってどれだけ寝てました?」
「大丈夫よ。まだ日が暮れてからそれほど時間は経っていないわ」
「じゃあ次。勇者はこの部屋に来ましたか?」
「いえ。フミさんが運び込まれて暫くした後に来ましたし、そもそも一階でずっと勇者業してたもの」
勇者業って……。勇者教でも作るつもりなのかな。
「じゃあ最後に…………エレさんが今一番気にしていることって何ですか?」
少し躊躇いがちに問いかけると、一瞬、ほんの一瞬だけ顔をしかめてから立ち上がった。
そして真剣味を帯びた表情で僕をグッと引っ張って立ち上がらせると、りんごを一つ僕に持たせて部屋からいきなり閉めだされた。
……なんで?
「エレさん……?」
「フミさん」
そんな、恋人のような名前の言い合いっこがしたいわけじゃなくてさ。
なんでいきなりこんなことをしたのか。その理由を問おうとして口を開こうとした時、
「ピミュを、お願い」
なんて、縋るようにお願いをされた。
たったそれだけでエレさんの懸念事項が全部伝わってくるから、頭を掻きながら「わかったよ……」とぼやくように呟くことぐらいしか出来ず、そのまま階段を降りていった。
…………もちろん、りんごは傍にあった花瓶を置く机の横においてから、ね。
◆
一階はがらんとしていた。
冒険者も、ギルド嬢も誰もいない。忽然と人が消えてしまったかのようだ。
「…………」
ただ、がらんとしているだけで、誰もいないというわけじゃない。
一人だけ――ピミュさんだけ、鬼気迫る感じで書類の束を整理している。
コツコツと僕が歩く音と、一定時間で聞こえる紙を捲る音。その二つの音がやけに寂しくこのギルド内に響いた。
「………………ごめん、ピミュさん」
なんと声をかければわからず、結局謝ると、ピミュさんはピタリと仕事をやめた。
「えっと、フミさん。な、なんのことでしょうか?」
「依頼、失敗しちゃったよ」
「だ、だからって謝られるようなことは……――」
「ピミュさんの家族、全員死んじゃった」
「――――はい」
事実を、淡々と告げて。
それがなんだというのか。
でも、僕は。
「もう誰かから聞いたのかもしれないし、実際に見に行ったのかもしれないけど、僕は守れなかった」
「はい」
「僕ならなんとかなるって信じてた?」
「……はい」
「なら、ごめん。最近ずっと思ってたし、今日もまた実感させられたよ。『僕に守れるものなんて無いんだ』って」
「――それは!」
「それは、何?」
ずっと背中を向けたままのピミュさんに問いかけるけど、反応はなかった。だから、言葉を続ける。
「誰かの〝死〟というものは、一番守れなかったと実感させられることなんだよ。だから……だから僕は、好きだったあの人達を守れなかったことが一番やるせない……」
心の中に溜まっていく重い塊を息大きく吐き出してガス抜きをすると、ゆっくりとピミュさんに近づいていき、肩を掴んでこちらに向かせる。
「っ!」
……泣いていた。
ポロポロと涙を零して、泣いていた。
なんとなく机に目を向けると、置かれていた書類が涙で濡れに濡れていた。
「――……ピミュさん」
泣けるだけ、まだマシ。
でも、マシなだけで、相当精神はまいっているはずだ。
いきなり心身ともに拠り所を無くして、天涯孤独となったピミュさん。
愛されていたから、だからより悲しみは深いはず。
その悲しみを和らげるのは、友人であるエレさんじゃ荷が重かったから僕に押し付けてきた、ということかな。
それとも、他に何かある?
……下手に勘ぐるより、今は手前の心の傷をどうにかしないと。
僕が癒せるかはさておき、おばさんとの約束もあるし、やれることはやらなくちゃ。
だからまずは、ギュッとピミュさんを抱き寄せてみた。
「ふぇ、ふぇええええ!?」
僕もふぇえええ、だよ。
まったくもって僕のがらじゃないや。
こういうのはさ、今頃カスティリア王国でエンジョイしてる翔の専売特許だよ。
でも……ピミュさんのためだ。
今全部、吐き出せる悲しみは吐き出さないと、僕のように泣きたいときに泣けない、不完全な人になってしまうから。
「ピミュさん」
「ふぇええ!? な、なんですかぁ……!?」
どこかオーバーリアクションをしているようにみえるピミュさんに、そっと囁きかける。
「悲しかったら、泣けばいいんだよ」
「……ぇ?」
「ピミュさんのお父さんとお母さんが、そしておばさんが亡くなって、僕は悲しい」
ご飯が食べられないのもある。でも、それと同じぐらいにあの暖かいぬくもりを感じられなくなったのが、たまらなく寂しい。
だからといって、僕の目から涙が流れることは、ない。
「ピミュさんはさ、おばあちゃんっ子だよね」
僕がみた限りだけど。
「一番甘えん坊で、一番泣き虫で。そして……両親よりもおばあちゃんが好きで」
「…………ぇぐ」
「そんなおばあちゃんが殺されて、僕が助けられなくて、怒らないの? 憎まないの?」
「……………………」
「ピミュさんの家族を殺した魔物は、僕らが殺した。でも、僕は生きてる。だから、僕に怒りをぶちまけても、憎しみをぶつけてもいいんだ。全部僕が受け止めてあげる」
そうすることが、ピミュさんにとって……――
「……んなこと」
「なに?」
「そんなこと、できないよ!」
ピミュさんが僕から顔を上げると、感情を剥き出しにして胸元をギュッと握りしめてきた。
「私には怒りたくても! 無理なの! お父さんとお母さん! おばあちゃんを殺した魔物は憎めても! フミさんは! フミさんを憎むことなんて……そんなの、そんなのできないよぉ……!!」
また胸に伏せて声をあげて泣き始めたピミュさんの頭を軽く撫でる。
本当に、僕のがらじゃない。
「フミさんは、なにも、やってないもん……」
「それが問題なんだよね。おばさんに対して何もやっていないことがさ」
「ち、ちがうよ!」
「なにが?」
「フミさんは……お墓を作ってくれたもん。三つ分、綺麗に作ってくれたもん……」
「でも、それだけだよ」
「ちが――」
「違わない」
ピシャリとピミュさんの言葉を遮り、言葉を紡ぐ。
「だから」
そう、だから。
接続詞はあっている。
「僕は少しでもピミュさんの助けになりたい」
おばさんに頼まれたから、というのもある。
助けられなかった罪滅ぼしという意味合いもあるかもしれない。
だけど、一番はピミュさんのために。
「心の拠り所を探すなら、僕に依存すればいい。ぶちまけたいことがあるなら、全部僕が聞くよ」
「……ぅ」
「ほら、ピミュさん」
ここで優しい笑みを浮かべて、ピミュさんを優しく、でもちょっと強く自分の胸に押し込む。
「ピミュさんは、どうしたいの?」
「ぅ……ぅううううう……!」
泣きたければ泣けばいい。
これは僕が教わって、でもできなかったこと。
感情は爆発させたほうがいい、ということ。
そう――――――――――全部本に書いてあった。
「うっ、ひっく、ぇう……おば、ちゃ! なんで、なんで……! なんでしんじゃったのぉ……! うわああああああああああああああ!」
僕の胸を強く掴んで、きっと意識はしてないんだろうけど、叩く。涙を流しながら、嗚咽を漏らし、むせび泣きながら、僕を強く叩く。
一分、五分。そして十分。
ピミュさんは泣き続けた。
悲しみをぶつけた。
死を悼んだ。
未来へ向かうために、といえば聞こえはいいだろうけど、きっとまずは心を癒やすために。
暫くして、ピミュさんが落ち着いてきた時に、ぐずぐずと涙目で僕を見つめ返してきた。
「わたし……フミさんに依存しても、いいんです、か……?」
「うん」
「え、へへ……」
安心しきった笑みを浮かべると、そのままピミュさんは僕の胸にもたれかかったまま眠りについた。
◆
ベッドですやすやと眠るピミュさんの傍らで、エレさんが暖かい眼差しで見つめる。
その光景を少し離れたところで眺めていると、エレさんがふいに僕の方を振り向いて申し訳無さそうな顔をした。
「悪いわね、任せちゃって」
「別にいいですけど。どうせ僕とピミュさんの会話、全部聞いてたんですよね?」
「……ええ。それに、おばさんから、もしものときはピミュをフミさんに頼んだっていうのも聞いてるわ」
ふぅ、と息を大きく吐く。
それをやりたいのは僕の方なんだけど。いつの間にそんな信用を得たのかな……。
「まあでも、だったら」
「ええ。わかってるわ」
傍にあった机から二枚の紙を取ると、僕に差し出してきた。
「これはなんです?」
「婚姻届よ」
「…………………………………………」
「無言で暖炉に持って行こうとしないでもらえないかしら!?」
「じゃあビリビリに破れば良いのかな?」
「できれば領主館に行ってピミュの永久就職を――ってウソよウソっ!」
そう言われて破ろうとしていた紙をきちんと持ち直す。
「それで、これはなんなんですか?」
「そうね……あえていうなら《研修カード》ってところかしら」
「《研修カード》? 誰の?」
「ピミュよ。私の権限でさっき作ったのよ」
「……エレさんって、実は昔物凄い名の馳せた有名人、なんてことはないですか?」
「ふふっ。乙女の秘密よ」
乙女ってなんだっけ? 『実力行使』と書いて『オトメ』って読むんだったっけ?
エレさんを見ながらそんな疑問を抱くと、背筋がゾクッとした。
「そ、それで一枚はわかったけど、もう一枚は?」
「それは通行書よ。使う場面は……まあお楽しみってことにしておくわ」
「……まあ、ありがとうごうざいます」
準備の良さは置いとくとして。
これから僕は、すぐにでも旅だったほうが良いのかもしれない。
あまり長居――今更感はあるけど、なんとなくしてはいけない気がする。
「あの、ウィズとフェンは今どこにいるか――」
「フミ殿!」
「うるさいわよ!」
勢い良く開けられた扉に、こちらからもエレさんが思いっきり近くにあったりんごを投げ飛ばした。
「うぐおぉぉぉぉ……!」
……ぐちゃりと潰れたりんごをみて、また背筋がゾッとする思いに駆られた。
「うぬぅ……う、呻いている場合ではないのだ!」
「なに? というかピミュさんが寝てるんだからもう少し――」
「ウィズ殿が言っておった! 勇者はフミ殿の命を狙ってるらしいぞぃ!!」
「「…………はっ?」」
……二人揃って間抜けな声がでたのは、しかたのないことだと思う。
それほどフェンの口から出た言葉は、突飛なことだったのだから。
お読みいただきありがとうございます。
おさらい1:死んだ二人の大人と子供、そして女の子。
おさらい2:依存。




