間話 レーリス防衛戦 - 誕生 2 -
「大丈夫、かなぁ……」
ピミュが空を空に打ち上げられた冷凍ビームを見ながら、不安げな声を漏らす。
空を見上げると、不穏を告げるかのようにどんよりした雲ができ始めていた。
ただただ冒険者ギルドの入り口で突っ立っていることしかできないピミュは、皆の――主に文の――無事を祈る。が、やはり不安が胸をよぎり、幾度目かのため息をついた。
「こーらピミュっ!」
「へみゅっ!?」
頬をぐにゅっと潰されて変な声を出す。
「ふぇぇぇ……エレちゃん、なんでこんなことするのぉ?」
「そんなの、ピミュが暗い顔をしているからに決まっているじゃないの」
なんでもお見通しよ、と不敵に笑うエレノア。
彼女の精神的な強さは一体何処から来ているのか。それは目の前で繰り広げられている惨状からでも十分に理解することができた。
「……エレちゃんって、強いんだね……」
「ギルド嬢として当然よ」
片手間でギルドに特攻してきた魔物を魔法で焼き去ることがギルド嬢の基本として言い切るには、些か強すぎるとピミュは思った。
だが守ってもらっている手前、そうは言えないピミュは、両手を前に突き出して、手に魔力を集中させる。
「火を司る水の精霊よ、力を貸し給え。【ウォーターカッター】」
シュパッ! とキレの良い音を出しながらリーフウルフの小群の首を纏めて刈り取っていく。
「う、うーん……。私、エレちゃんの役に立ててるかなぁ……」
「もちろんよ」
「……でも、エレちゃんはさっきから無詠唱で次々に倒してってるよ?」
そう、エレノアは先程から無詠唱で魔法を放ち続け、激増する魔物を葬っているのだ。
対して、ピミュは魔力を手に集中させ、詠唱を行い、魔法名を唱えて、やっと魔法を放つことができる。
確かに無詠唱は威力こそ落ちるが、それでも十分な威力を保ってるエレノアの実力は底が知れない。
……ピミュはただ『エレちゃん強いなぁ~』ぐらいにしか思っていないが。
憂いの表情を浮かべ、防衛の全てはエレノアに任せると、先ほどのことを思い出していた。
文に対する依頼のこと、ではない。
また、文が颯爽と出て行ったこと、でもない。
その後に起きた事をだ。
エレノアに引き連れられて入った小部屋での出来事は、この惨劇が起こることなんて微塵にも思っていなかった、文とピミュの初邂逅の日にピミュがうっかり漏らしたことを鮮明に思い出さざるをえなかった。
まるで夢物語で、女の子なことが残念だと内心少し思いながらも、文の驚いた反応が新鮮だと思い、思わず饒舌になったお話。
黒髪の女の子二人。
性格は違ったけど、二人の芯は同じで。
少なくともピミュは、自身より遥かに強い想いを抱いていると思った。
異世界から召喚され、窮地に陥ったとき、颯爽と駆けつける。
彼女達は、強い意志を引っさげて、転移陣に降り立つなり、言った。
『私達が来たからには、もう大丈夫だからね!』
◆
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
大剣を軋む身体を無視して大ぶりに振るう。無駄ばかりの動きを、尋常ではない速さで振り回して補っているのだ。
プリンオークの肉がいくつか飛び散るが、あまりにも硬く、浅くしか傷がつかない。
(くそっ! こんのクソ野郎が!)
ラースの死に涙し、怒りの赴くままにプリンオークを睨みつけてまた斬りつける。
もうどれだけ斬り結んだかフェルガは覚えていなかった。しかし、一つだけはっきりしていることがある。
――このオークは狂っている。
フッと影が濃くなったのを見計らって、一気に後ろへ飛び退る。数瞬後、フェルガが先ほどまでいたところに棍棒が振り落とされていた。
ひやりと冷や汗を流したのはフェルガではない。周りでその戦いを見守っている冒険者たちである。フェルガは再びプリンオークを殺すために飛びかかっていた。
フェルガは、先程まで呆然としていた。
肉塊となった友とプリンオークを交互に見合わせながら、ただただ佇んでいた。
だが、今はどうだろう。
彼の目はプリンオークとはまた違い、右目を赤く光らせながら、彼自身では引き出すことの出来ない力を猛然と振るい始めたのだ。
彼自身の中で何があったのだろうか。冒険者は目の前の戦いに意識を傾けながらも考える。
そして、一つの結論へと同時に至った。
肉塊。
そのあまりの凄絶さに、彼の心が壊れてしまったのだ。
簡単な結論に、憐憫の情と少しの羨む気持ちがフェルガに寄せられた。
――自身もそう慣れたのなら、どんだけ楽なんだろうか。
彼らは、また彼女らはそう思った。
友が死んだ。
仲間が死んだ。
好きだった人が死んだ。
それだけで身体がバラバラに引き裂かれたかのような痛みが走った。
だが、狂えない。
狂いたいのに、狂えない。
すべてをかなぐり捨て。
己の武器で捨て身とばかりにぶつかり。
一瞬の激痛と永遠の眠りについてしまいたい。
だが、できない。
彼ら、そして彼女らがこうして立ち上がり、今も闘志を剥き出しにしているのは、ただ一つ――――レーリスの街を防衛する。その確固たる意志のために。悪く言えば共通の思想のみでしか支えられるものがなかった。
だから、フェルガが勢い良く吹き飛ばされると同時に、一斉にプリンオークへ飛びかかった。
フェルガはまだ、完全に自我を失ったわけではなかった。だが、その自我もすでに怪しくなってきている。
家に叩きつけられて激痛を伴いながらもようやく立ち上がったフェルガは、目の前の光景に絶望していた。
いや、その言葉では生ぬるいかもしれない。
〝希望がない〟
つまるところ、そこである。
目の前の惨状は〝無駄な死〟にしかフェルガには見えなかったのだ。
――ぐちゃり。
また一人、フェルガの前で死んだ。
女性、だった。
その後すぐに、ひょろりとした男が後を追うように死んだ。
彼らは夫婦で、確か冒険者稼業でたまたまこの街に寄っただけだったはずだ。だというのに、命を賭して戦い、死んだ。――彼らの住む街に、子供残して。
また潰れる。
今度はフェルガより小さい、もっと言えば文と同じぐらいの男が簡単に死んだ。
飛び散った血がフェルガの頬にびちゃりと付着した。
震えた手でゆっくりと拭い、己の眼で目視する。
鮮血で、少しむにゅりと気持ち悪い感触がする何かも一緒に手に付いていた。
「――くそっ」
少し遠い所に吹っ飛んでいた自身の大剣の元まで歩み寄る。
「なんで……なんでなんだよこんのくそ野郎がぁっ!」
それは、心を奮い立たせるために声を上げていたのかもしれない。もしくは、ただ胸中に渦巻く激情を発散したかっただけなのかもしれない。
どちらにせよ、なんにせよ。
フェルガの心は鼓舞され、放たれた弓の如く、さきほどより深くフェルガを斬り裂いた。
「――――――グルォ?」
その呻きに近い鳴き声、フェルガは初めて気づき、盛大に舌打ちをする。
(こいつ、今の今まで俺に興味も沸いていなかったのかよ!?)
無関心で、ただ人を殺す。
それは人にとって、そして魔物にとっては絶対にありえない。
そして、冒険者にとって、無関心のまま殺されるのが一番の屈辱である。
「こんのデブ野郎がぁ!!」
すれ違いざまに数太刀、切り込む。
ブシュッ! と血が噴き出したものの、やはりそれほどのダメージにはなりえない。
だが、と。
それでも、彼は斬った。少しでもダメージが蓄積できるのなら、と。
しかし、フェルガがどうだとプリンオークを見上げた時、彼の表情はすぐにまた驚愕に変わった。
――フェルガから興味が失せていたのだ。
フェルガの後方では、また一人と死んだ。
どうしてフェルガ狙わないのか。彼は喉が潰れるほど絶叫し、胴の辺りまで飛び上がった。が、まるで羽虫を追い払うかのように手の甲でパシリと弾き飛ばされた。
ふっとばされつつも、なんとか体制を整えて着地する。
「グッ……。チィッ!」
先ほどまでの先頭につけ加え、今のダメージで身体に相当な負荷がかかっていたことに遅まきながら気づき、膝を折った。
荒く息を上げ、左目を瞑る。
――動かねば。
人が死んでいく。
あれほどいた精鋭の冒険者達も、フェルガ合わせて六人しかいなかった。
剣を杖代わりにして立ち上がり、前へと歩む。
――不意に自分の影がより濃くなった。
「フェルガさん!!」
そんな声があがったと同時に棍棒がフェルガを捉えようとしたのを、声をあげた冒険者が咄嗟の判断で押し出した。
「お、まえ……!」
「よかった……フェルガさんが生きてて……」
その人は。
その冒険者を、フェルガは知っていた。
フェルガを慕い、度々同じ依頼を受けたことがあった。
ほにゃっとした笑みを浮かべて、素早い動きを得意としていた。
だというのに。
「お前……下半身が……!」
「あ、はは……少し、やらかしちゃいました」
いつものほにゃっとした笑みは、とても痛々しかった。
「……フェルガさんでも、泣くんですね……」
「あ、ったり前だろうがっ! なんで! なんで俺を生かした!」
「そんなの……フェルガさんが死のうとしているから、ですよ」
「なっ……!?」
……知らないうちに。
この戦いでフェルガは死に場所を探していたのかもしれない。
親友ラースの死。
そして、死にゆく仲間の死。
他の冒険者が呈したように、フェルガの心はすでに壊れてしまっているのだ。だからこそ、救いが必要だった。フェルガを救う、何かが。
その手伝い。
この少年は笑みを浮かべながら言う。
「だから、フェルガさん」
――生きて。
そう発し終わった瞬間、フェルガの三寸前を棍棒がかすり、少年は潰された。
「あ?」
咄嗟に放てたのは、それだけだった。
彼の視界は、徐々に赤みを増していく。白くならず、また、黒くもならない。
紅い、あかい。朱く染まる視界の端に、一つの文章が浮かび上がった。だが、その文字を確認する思考を、彼はもう持ち合わせていない。
「うぁ?」
フェルガの口から、変な声が漏れ出た。
棍棒をあげられると、そこには少年だったものがあるだけ。
慕ってくれていた。
いつもくっついてきて、ラースの次に背中を預けられた。
さっきまで依頼に行く前に談笑しつつ食事だってしていた。
なのに、もうこの世にいない。
なぜ?
潰されたから。
誰に?
……やつだ。この、プリンオークだ。こいつに……。
――――コロサレタ。
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」
咆哮とともに朱く目を染めて駆け出すと、たった一人でオークへと突っ込んで行った。
──ダメだ!
──無謀だ!!
周りではフェルガに対して引き止めるような声がかけられる。が、自我をなくしているフェルガの耳に届くことはなかった。
「────!!」
プリンオークが棍棒を振り下ろす。しかし、それをいともあっさりと避けたフェルガは、まずはと足を斬りつける。先程より深い。
しかし、
「ぐぁっ!」
あっさりと蹴られ、何回転もしながら建物にぶつかり停止する。
だが、弾かれたかのように、今度はプリンオークの顔を斬り裂いた。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
初めて怒りを含んだ叫びを耳にしたと冒険者達は思う。
そしてまるで癇癪を起こした子供のように、手当たり次第に棍棒を振り落とそうとして、冒険者を睨みつける。その狂気な視線に冒険者はサッと顔を青褪めた。
そして棍棒を振り下ろそうとした時、プリンオークはふと後ろに感じる強い〝意志〟を感じた。
より狂気を孕んだ視線とともに振り向くプリンオーク。
そこには、フェルガが建っていた。息を徐々に荒くし、先程よりもより濃い朱い目をしたフェルガは、憎悪を孕んだ視線をプリンオークに向けていた。
「ふー……! ふー……!」
あれほど重そうに使っていた剣を、軽々と正中線へ合わせるように構える。
「────グァ?」
生まれて初めて感じた恐怖に、純粋な疑問を持ったプリンオークは、フェルガに興味を持った。
じっくりと殺意をばらまくプリンオーク。殺気を受けた周りの冒険者は全員腰を抜かした。──壊れたフェルガを除いて。
フェルガじっとプリンオークを見据えて一歩、また一歩と距離を縮める。
先程、視界の端に浮かんだ文字を、もしくはステータスを見たら、称号欄にこう書き加えられているだろう。
――――【復讐に呑み込まれた者】と。
自我が無い、というのは少し語弊が生まれるかもしれない。自我は復讐によって食われ、復讐という悪魔が精神を侵食している状態というのが一番適当なのかもしれない。
その復讐者は五メートルという距離まで縮めると、一瞬で消え――否、一瞬で間合いを詰めたのだ。
「────ァグ」
一刀。刃を足へと滑り込ませる。切断できなくとも深く斬った。そのことに気づくのに数秒、噴水の如く噴き出す血を見て漸く気づいた。
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
怒り。殺意。嘆き。…………恐怖。
4つの感情がぐちゃぐちゃに混ざり合い一つの感情へと行き着く。
愉しい。
プリンオークはニィッと口元を歪ませると、プリンオークに新たな能力が生まれた。
プリンオークの斬られた部分から焼けるような音を出し始める。それから十秒。あっという間に斬られた部分は完治した。
冒険者はその能力に目を見開き何度目かの絶望をする。
だが、復讐者は違った。トンッと音が聞こえたかと思うと、プリンオークの顔を斬り結ぶ。
だが、斬った直後にすぐ再生をされ、ジリ貧状態となっている。またフェルガも復讐に取り憑かれているとはいえ人だ。体力は既に限界を迎えており、復讐するという気力だけで立っている面がある。
どれほど時間が経ったのだろうか。周りの冒険者は、全員がその戦いに介入することができず、ただただ見守ることしかできなかった。
瞬きすることすら躊躇われる攻防。
だが、限界は来た──────人の子フェルガに。
避けた時に、ついぞ膝をついたのだ。
やっとか、と。
そう聞こえてきそうなほどその醜悪な顔をニタァと嬉しそうに歪ませて、勢い良く棍棒を振り上げた。
──ここまでか。
フェルガは最後に理性を取り戻し、涙を一筋流しながら、それでも気丈であろうとプリンオークを睨む。
それを嘲笑うかのようにあっさりと棍棒を振り落とされるのをみて、そっと目を閉じ、死を迎えようとした。
(…………こない?)
何時までたっても、意識を保ち続けていることにフェルガは疑問に感じた。
(外したか?)
そう思ったが、それにしては地響きすらない。
それに、暖かいものに包まれ、徐々に怪我や体力が回復していっている感覚すらある。
フェルガはそっと目を開けると、目の前には二人の少女が立っていた。
片方はフェルガの側で回復魔法を。
もう片方は双剣でプリンオークの両腕を斬り落としていた。
二人の少女に共通しているのは、風で波打つ長く黒い髪。
「大丈夫、ですか?」
隣にいた緑の眼鏡を掛けた少女に声をかけられたことでハッと正気を取り戻す。立ち上がろうとすると、眼鏡を掛けた少女は怯えて少し下がった。
「しおりん、そのおじさん治せた!?」
「は、はい!」
フェルガはしおりんという少女に向き直ろうとして、とあることに気づき驚愕する。
かなりの傷を負い、体力すらもほぼ使い果たしていたというのに、傷は癒え、体力はあり余るほど回復していた。
「感謝するしおりん殿」
慌ててフェルガが感謝の意を伝えると、しおりんは何とも言えない微妙な顔をした。
その時、もう一人の髪をポニーテールにした少女から叱責が飛ぶ。
「おじさん! なにしおりんを口説こうとしてるの! そんな場合じゃないよ!! ほら早くこのオークやっつけちゃお? もちろんおっさんが止めをさしてくれるよね!」
「ああ!」
再び剣を構える。
「【バイト】、【ファスト】」
シオリンがフェルガに二つの魔法を放つと、一気に体が軽くなる。
「エンちゃん、斬り口焼いちゃって!」
『ハイヨォォォ!!』
元気な少女がそう声を掛けると、驚くべきことに剣から少女に負けじと元気な返事が聞こえ、仄かに剣が赤みを持つ。
少女はそれを確認したと同時に飛び上がり、再生しかけていた両腕を再び斬り離した。
また再生するか? そう叫ぶプリンオークを睨む。
一秒……二秒…………七秒………………。
再生することは、なかった。
「やったねエンちゃん!」
『クハハッ! 俺様のおかげだぜねいちんっ! レレインじゃなくてなぁ!!』
『しょ、しょうがないじゃないエネティ! 私は凍らせる方なんだから!!』
もう一本の剣も魔剣だと気づきフェルガは目を見開く。だが、元気な少女はフェルガの反応を無視して、二本の魔剣の柄を少しばかり強くぶつけた。
『『いたっ!』』
「二人とも喧嘩しないの! さて、じゃあおっさんや」
元気な少女が振り返ると、悪戯笑顔を浮かべてフェルガに言った。
「あとはおじさんのお仕事だよ」
その言葉を送られると同時に、フェルガは足を沈み込ませて勢い良く回転を加えながら前方に飛び出した。
「ウ、オ、オオオオオオオォォォォ!!」
その時、フェルガの剣が淡い水色に包まれていた。その色は、つまり固有スキル。
「【翔派燕灯】ォォォ!」
淡く発行していた光が長く伸びると、まず胴体を十字に身体を捻りながら素早く斬りさいた。本来ならそこで終わりだろう。しかし、よろめいたプリンオークに、さらなる一撃を加えるために、気合でさらにもうひと捻りを加えると、ついぞフェルガの剣は首を捉え、先ほどまで苦戦していた硬さを物ともせず、いともたやすく胴体とおさらばした。
それから、首が再生しないか、睨むこと十数秒。ゆっくりと体が傾き、最後には重い音を立てながら崩れ落ちた。
「やっ、た……のか」
『ウ、オオオオオオオオオオオオォォォォォ!!』
フェルガが呟くように声をあげたと同時に、周りの冒険者も声の限り雄叫びを上げた。
フェルガもあげる。勝利の雄叫びを。
フェルガは涙を流す。亡くなった友もために。
袖でその涙を拭うと、フェルガはお膳たてをしてくれた二人の少女の方を向く。
「流石だね!」
「お見事です」
元気な少女としおりんの二人はそれぞれフェルガに称賛を送る。
「……ああ、ありがとな」
泣くのは後だ。
そう心に決めて、フェルガは二人に歩み寄った。
そのとき、しおりんがフェルガに一歩近づいて【ヒール】をかけた。
「……お疲れ様でした」
どこか儚げな笑みとともにしおりんからねぎらいの言葉をかけられたフェルガは――――――
――――ぽろりと彼女に恋をした。
お読みいただきありがとうございます。
おさらい:勇者がレーリスの街防衛戦に終止符。
おさらい2:フェルガがしおりんに恋をする……。
ヒールをかけられると恋をしやすくなるのだろうか。……もしくは母性を感じる?




