第三十三話 お昼時の銀河と第四王女
翔が去ったあと、緩やかな風が吹きかけてさわさわと草木を揺らしていった。
そんなうららかな中、ただ一人、翔に物凄い怒気を孕んだ視線を向けている者がいた。
橋本銀河、その人である。
(あいつ……なにが『ガンバ』だっ!)
翔の言葉を心中で復唱するたびに怒りが増していく。彼の言った言葉の意味を正しく受け取ったからこそ、だ。
ずっと、翔がみえなくなったあとも睨んでいると、その視界を遮るかのように一人の女の子が入ってきた。カスティリア王国第四王女ミノリア、その人だ。彼女はいかにも不機嫌そうな表情で銀河を睨むと、そのまま綺麗なボディーブローをかました。
「妾だけをみぬかっ!!」
「ぐおぉぉ……!」
その場で手を突き腹を押さえる。浅く息をして、痛みを和らげようと意識を逸らすために数度殴られた部分を擦った。理不尽な言い分と殴られた痛み、そして先程から溜まっていた怒りでついに銀河の沸点が頂点に達し、ミノリアに怒鳴り込んだ。
「お、おめぇ……! いきなり腹を殴ることはねぇだろうが!!」
「ふんっ! お主が悪いのじゃ! 姉様をジロジロと厭らしい目でみようて……」
「みてねぇよ! なぁんで好きでもねぇ女の身体をそんな目で見る必要があるんだ!?」
「……ほ、ほぅ。それ、それはつまり妾の――」
「あのエンジュってのも、ましてやミノリアの身体をいやらしく見ることなんてぜってぇ無い! 特にお前のお子様体型は……フッ!」
ミノリアの全身をサッと見渡すと、鼻で笑う。
「…………」
ミノリア自身が気にしている身体的特徴。身体は小さく、胸が大きいわけでもない。そして、ロングツインテールにしている赤い髪は、とても活発なイメージと、そしてさらなる身体の小ささを強調している。
ぺたぺたと胸を触る。そこは成長度AからB程しかない、あるのか無いのか分からない程度の胸しかない。
「おめぇのその胸、本当にあるのか?」
そして、まさに一番気にしていることを言われ、ヒクリ、と不自然に口端が引きつる。そしてそのままユラリ、ユラリ、と銀河に近づいていき、ガッチリと手を掴まれてしまった。
「お、おい……!」
さすがにやばいと思った銀河は、投げ飛ばされるか地面にたたきつけられるか、二者択一だと顔をサッと青ざめる。いくら耐久力に自身があるからといって、レベルはまだ7。目の前の少女は、訊くところによると自分よりかは上らしい。筋力的には、充分銀河を投げ飛ばせれるし、組み敷くこともできる。小柄なミノリアが、大柄な銀河を、だ。
それほどレベルとステータスは現実に反映されているらしい。
ミノリアの表情は、下をを向き髪で顔が隠れてしまっているため、伺いようがない。だが、プルプルと身体を震わせているために、銀河は滝のような汗を背中に流していた。
自分意思とは関係なしに動かされる腕。
(南無三!)
ついぞ天に祈る銀河は強く目をつぶって衝撃に備えた。いつもなら目を瞑らず受け身を取っていただろう。なら、なぜ? 答えは簡単。銀河は女慣れしているフリをしているだけで、実際は初心だからだ。
そして、そのまま数秒。ふにょっと柔らかい感触が手を包み込む。
低反発。
そう言い表すのがいちばんしっくりくるような感触。
恐る恐る銀河が目を開くと、髪色と同じぐらい真赤に顔を染め上げたミノリアが小さな両手を使って銀河の手を、自身の胸に押し当てていた。
「ど、どうじゃ……? わ、妾にも、ほ、豊満な胸があるじゃろ……?」
さらに強く押しこむと、より沈み込む……ことはない。少し固い感触をコリッとするだけだった。
「お、おまえ…………!?」
女性に免疫力がない、しかも惚れている女と同等の可愛さを兼ね備えているミノリアの胸を触るということは、銀河にとってキャパオーバーだったみたいだ。同じように顔を真赤に染め上げて言葉にならない言葉を断続的に吐き続ける。
「ど、どうじゃ……言うならはっきり言うがよいぞ」
「あ、あぁ……。そうだな、ある、な…………」
先ほどの怒りとは別の意味で脳が沸騰して、思わず素直に(・・・)答えてしまう。欲しかった答えがそのままもらえたことに嬉しい半分、恥ずかしさ半分で手を離し、頬にあてて思わず身悶えした。
もしその姿をエンジュがみたならば、恋素晴らしさをとんと語るだろう。もし、これを日頃の彼女を知っている物が見たら、明日魔王でもやってくるんじゃないかと空の天気をその日中、顔を青褪めながらずっと見張っていただろう。
銀河は、どちらでもない。直接的な精神的ダメージを喰らい、しばらく再起不能な状態だった。
◆
銀河とミノリアの出会いは、召喚されてから三週間が経った、いつもの訓練場。その日銀河が、ついに兵士のなかで一番強い兵士長を打ち破れるところまで実力をつけた頃だった。
彼は基礎固めを怠ることはない。走り込み、筋トレ、そして基本のジャブ。それらすべてを行い、この世界の住人である兵士に頼み込む。その過程で体力がなくなり負ける、というのは言い訳にしない。それは己の体力の無さからくるものだと理解しているからだ。
そのすべての基礎をしていざ、というとき、クラスメイトが騒がしいこと気づき、訓練場の真ん中をみて、目を見開いた。
一人の小柄な真紅の髪。それを舞わせながら次々とクラスメイトを倒していったからだ。その時にはちょうど翔がおらず、彼と文と梓の彼らだけがあの惨劇を知らない。
一人でかかっては倒され、二人でかかっては倒され、多人数でかかっては倒される。
そしてどんどん人が山のように積み重なっていく。人も積もればなんとやら、というやつである。
いつのまにかその訓練場で立っていたのは周りに捌けた兵士と、後方でプルプルと震える桜。呆然と立ち尽くす銀河に、ゆらりとクラスメイトの山の隣に立つ赤い髪の女の子――ミノリアだけだった。
――逃げるか?
桜を抱えて逃げ出す。桜を目の端捉えておきながらそう思考するが、
「……弱いのぅ」
とても残念そうに、憐れむかのような視線をクラスメイトの山に向けながら発せられた彼女の言葉によって、逃げるという選択肢は消えた。
カチンときた銀河は、聖拳と呼ばれるグローブを取り出して装備すると、非殺傷モードに移行させて自らの拳をぶつけた。
「おい、ちびっ子。本当に弱いか、試してみろよ」
そう挑発すると、こちらもカチンと頭に来て、先手必勝とばかりに銀河に拳を浴びせた。
「あの時は本当に死ぬかと思ったぜ」
先ほどのことを二人で黒歴史に放り込み、銀河はハンバーグをぱくりと口に入れて飲み込むと、ぼやくように口にする。
「しょうがなかろう! あの中に勇者がおらんとは思わなんだのじゃ」
「だからといって、いきなり召喚されたってぇのに、こうして訓練まで積んでるんだぜ? それなのに、それを否定するかのように『弱い』だのほざきやがって」
「う……うぬ…………。あの時のことは、本当に反省しておる。じゃが、きちんとお主の力を直に感じて、それで…………というのもあったが……」
「いまなんつった?」
それで、の後に顔を赤らめて口をもぞもぞと動かしたのに聞き取れなかったために、もう一度ミノリアから聴き直そうとしたのだが、返ってきたのは拳だった。
それを今度はきちんと受け止めて、ぎろりと睨む。
「なんで普通に聞いただけなのに、拳がとんでくるんだよ……」
「ギンガ悪いのじゃ!」
「ガキかよ……いや、ガキか……」
それは暗に身体的なものをさしているというわけではない。ミノリアの年齢を指している。
ミノリアはギンガ達と同じ17歳。所謂難しいお年頃というものなのだ。そう、桜とはほとんど関係ない、難しい思春期の、そして恋をする乙女。そんな彼女への銀河のような質問は、女子同士だったらともかく、男子が女子にして良いものではない。
「なあ、これは?」
銀河が今食べている昼食、それはミノリアが作ってきたもの。きちんとそれにはお礼を言い、食しているわけだが、一つ、とても見覚えがあるものがあり、思わず指をさして問いただす。モジモジとしていた彼女は、その指先を追って弁当箱を除き、それはじゃな、としてやったり顔を作った。
「タマゴマキ、というやつじゃ」
「……まあ、それはわかるんだけどよ。この世界に卵巻きなんてあったか?」
「ないぞ。今日初めて作ったのじゃ。いやはや、ギンガとともに飛んできた奴はいろんな知識を持っておる奴がおるんじゃな! つい先日な、お主のために弁当を……じゃない! 昼食をつくるために厨房へ向かっていたのじゃ。そのときに、良い匂いがしてきてだな、つい覗いてしまったのじゃ。そこで料理をしていたのは、お主らと同じ、異世界人」
ピッと指を二本たてる。その意図はよくわからないが、とにかくどいつだろうかとクラスメイトを思い出す。
「確か、ユカリと申す者と……あとは誰じゃったか……ひ弱そうだと思ったのじゃが、あれは違う。知略に優れておる上に……目の前で人が死んでも同様しないじゃろうな。瞳の奥が濁っておった……否、あれは黒より濃いものじゃったな」
「うへ、誰だよそんな暗い持ち主は……」
「うーぬ。自己紹介はしてもらったはずなのじゃがな……」
暫く頭を悩ませていたが、別に料理の説明するだけなら別に想い出す必要なしと思い直し、得意顔をして卵巻きの説明を口にする。
「タマゴマキはじゃな、なんでも良いから卵を――」
「いや、さすがに自分がいた世界の料理、しかも超庶民料理ぐらい知っとるわ」
ミノリアの言葉を遮って咀嚼すると、遮られた本人は面白く無いのかむぅっと唸った。
「お、これは……なんだ?」
「なんとか草となんとか花を調味料に使ってみたのじゃ」
「そのなんとかってのを教えろよ。めっちゃ不安になるじゃねえか」
はぁ、とため息を吐くと、
「かなり上手い」
「やったっ!」
小さく握りこぶしを作る。しかしすぐにハッとなると、首を物凄い勢いで振った。
「こ、これは違うのじゃ! そう、かなり料理の腕が上がったことに妾自身感心してでだ……」
「そういや、かなり上手くなったよな。……あの、消し炭よりかはよぉ」
「グッ……あ、あれはただ……」
「なんだ? たしかサンドイッチ、とか言ってた気がするんだが?」
「ウグッ。しょ、しょうが無いじゃろ! あれが妾の初めての料理だったんじゃから!」
照れながらそう申告するが、銀河は半笑いだ。
(いや、あれはパンを切って挟むだけだろ。どこに真っ黒に焦がす要素があるんだよ)
そう思わずに入られなかったのだが、もし口にしていたら腹に五発ほど拳が飛んでくるかもしれないと自重した。
「ま、短期間でここまで成長できたことには素直に感嘆するぜ?」
そう言って素直に褒めると、パクリともう一つ卵巻きを食べる。
ミノリアはというと、そっぽ向きながらチラチラと銀河を盗み見ていた。
「ふ、ふんっ! 妾を誰だと思っておる! この国の――」
「バカで不器用で無駄に威張ってるお姫様、だろ?」
「な、な、な……!」
「別に隠さなくてもいいぜ? お前があんな喧嘩をふっかけたのも、友達が欲しかったからなんだろ!?」
「なっ……どうしてそれを知ってるんじゃ!?」
「ということはやっぱり当たりか」
口端を釣り上げて笑うと、言葉を続ける。
「最初は気付かなかったが、この城にミノリアみてぇなやつと友達になりたがる奴なんていなかったからな。それでもしかして、と思ったわけだ。まぁ、その前にも――」
「おいギンガ! それ以上続きを口に出したら極刑だぞ!」
「言論の自由はこの国にはねえのかよ!?」
「あるわっ! じゃが妾が今からお主を制限する!」
「はあ? お前、そんな暴論通じると思うのか?」
「つ、つうじるわっ! 妾は姫じゃからの!」
「身分で言うなら俺は勇者だ。立つ位置は違うが地位の高さで言うと一緒だ……って翔が言ってたぞ」
「だ、だからなんだというのじゃ!」
「はぁ……ここまでいってもわかんねぇのか?」
頭をガシガシと掻くと、
「つまり、お前がバカだってことだよ」
銀河ははっきり告げた。
すると、瞬間的に顔を憤怒で真っ赤に染めたが、なにを思ったのか、ミノリアはその怒りをスッと沈めて、不思議そうな顔で銀河を覗きみた。
「……ギンガ、お主、よくそこまでズケズケと言えるな」
「俺は考えるのが少し苦手なだけだ。だからお前とも気があったんだしな」
ニヤリと笑うとミノリアも同意するかのようにニヤリと笑い返してきた。ニヤリニヤリ同盟である。ニヤリニヤリ同盟とはニヤリニヤリと笑い、ひたすら他人から引かれまくる、謎の組織だ。実は笑顔の練習をしているという説もあるが、それはただの誤報で、笑いあっているだけである。組織でもねぇ。
「妾も、お主の戦闘狂には最初度肝を抜かれたからのぅ」
「そこまででもなかったと思うんだがなぁ……」
少し前のことを思い出しガシガシと頭をかいた。
「確かギリギリおめえに勝ったんだよな」
「……フン。途中まで妾のほうがじゃったわ」
確かに、最初に拳を当てたミノリアのほうが優勢だったのは事実だ。しかし、途中から逆転して銀河の勝利も、揺るぎない事実。
だが、途中から強くなった理由がとてもしょうもない。
あの時のことをミノリアは思い出して怒りを露わにする。
「あのとき、あの聖女と呼ばれておる娘が、銀河を応援しなければ勝てたも者を……!」
聖女――桜がきまぐれで銀河を応援したのだ。その瞬間、銀河の瞳が一瞬妖しく光ったかと思うと、一気にミノリアへと接近し、腹へ拳をめり込ませて勝利したのだった。
「あのときは必死だったんだ。応援してもらったからって強くなるわけが……」
あるんだが。そう心に付け加える。しかも、彼の場合は桜の声を訊くだけでも、ある程度復活していただろう。やはり惚れた女のためなら、という気持ちが強いのかもしれない。
「むぅ……やはり、アヤツは……」
「どうした?」
「なんでもないのじゃ。それより、あの時のお前は、少々妾でも引くほどじゃったぞ。……無論、あの聖女もな」
少しでも聖女との距離を遠ざけようとするミノリアは可愛い程度のいたずら。だったのだが、ちらりと銀河をみてビクッと身体を震わせた。
「お、おおお? 俺、そんなに変だったのか…………?」
「う、うむ。ずっと笑っておったからの。きっとああいうのを戦闘狂というんじゃな」
「ま、まじかよ……」
張り詰めた笑み。攻撃を食らう度、食らわせる度に笑みが深まっていく様子は、どこか薄ら寒いものがあったと、ミノリアはそう評価し、思わず身体を抱いて身を震わせた。
だが、それもすぐに解く。目の前で見るからに落ち込んでいる銀河を、さすがに見過ごすことが出来なかったからだ。
「お、おいギンガ? どうしたのじゃ? そんな手と膝を地面についた体制をとって」
「いや、なに、俺、終わったなと思ってな……」
「……うぐぐ。そんなにあの女が良いか……!」
最後のミノリアの言葉は銀河には届かない。
その状態ではぁ、と溜息を吐きまくっていたが、もう過ぎたこと。そう考えなおして座り直すと、再び、弁当をつまみ始める。
(次桜に会ったら、きちんと自己弁護するか……)
そう決めると、自分で口の中に含むよりも前に、何かが目の前に現れた。
「むぐぅっ」
そしてそのまま口に何かを突っ込まれる。その奥にはミノリアが甲斐甲斐しくフォークで残りを入れ込もうとしていた。
「あーんってやつらしいぞ。とにかく口の中に突っ込めばそうなると聞いたのじゃ」
「それ俺の知識とちげぇ!?」
ついに銀河がノリツッコミをした。ちなみに、その知識を教えたのは瞳の奥に昏いなにかを持っている人である。
「ほれ、たべろたべろ」
トン、ゴクリ、トン、ゴクリ。このリズムではない。
トントントントトトン、ゴクリ。トントトトン、ゴクッ。こんなリズムである。きっと銀河の頬がリスみたいに膨らんでいるんだろう。
そんな傍から見ればイチャイチャしているようにも見える食事も終わり、少し文句でも言いたかったのだが、それでも恩義感じているため、全てを飲み込むと頭を下げる。
「ありがとよ。あとは少し運動すれば忘れるだろ。ごちそーさん」
そっと立ち上がり、訓練場に向かおうとする足を、足払いで転ばされた。
「いってぇな!」
叫びながら立ち上がると、ガシリと足を掴まれる。
「……その俺の足をつかんでいる意図は?」
足に視線をやり、次にミノリアに視線をやる。そこにはミノリアが軽く頬を膨らませて不機嫌そうに銀河を睨みつけていた。
「お主、妾と稽古するという約束はどうしたんじゃ?」
「そういやそうだったな」
頭を掻きながら、ハァッとため息を吐く。
「じゃあ、さっさと一緒に行こうぜ」
「少し待て。片付けたらこれを調理場まで持って行くと約束したのじゃよ」
「約束、約束なぁ」
律儀なやつだと関心さえすれ、悪く言うとかはしないし、銀河は思わない。
こういう性格も、銀河とミノリアの馬が合うところである。
そもそも、なぜ銀河とミノリアが最悪な出会いをしたにも関わらず一緒にいるかというと、二人の得意な得物だ。
銀河が使うのは拳。そして、ミノリアも拳なのだ。ミノリアの場合、厳密には体術なのだが、銀河とさほど変わらないため、いままで同じ人種が見つからなかった二人は、出会うと同時に切磋琢磨できるかけがえのない存在になったわけである。
片付けが終わるのを待って、銀河は口を開く。
「じゃあ俺は待ってるから、お前一人で行ってこいよ」
「何を言っておるのじゃ? ギンガもいくぞ」
「ちょっ! 俺もかよ!? 俺は別に行かなくてもいいだろうが!」
「捕まえておかぬと逃げるかもしれぬからのぅ」
「別に逃げねぇって……おいバカ女! そんな強く腕を握るな!」
「バカ女とはなんじゃ! アホ!」
「誰がアホだ! っておいどこにそんな力があるんだ!? 俺の体重を引きずれるだと……!?」
「うるさいのぅ。よっと」
「がはっ!」
腹に拳があたり、その場に座り込む。こみ上げる吐き気、吐きそうに青くなる顔。
食ったばっかりだというの何と卑劣な、とミノリアを睨んだ。
「うぷっ……」
「大丈夫じゃ。吐かない程度に加減はしてあるのじゃ」
ひでぇ!?
そう言いたかったがあまりにもすごい吐き気で言い返せず、軽々とミノリアによって城内へと引きずり込まれていった。
お読みいただきありがとうございます。
おさらい:第四王女は格闘家で、小柄。
『あーん』をするときはトントントトトントトトン のリズム。




