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A DAY

作者: SAY

この作品はフィクションです。


また、読む方によっては気分を害されるかもしれません。


よろしくお願いします。

 きょうのあさはお日さまがおこしてくれた。

 キラキラ光るお日さまはいつだってやさしい。

 パパやママとはおおちがいだ。

 あのひとたちはおこるとすぐにたたいたりけったりしてくるんだもの。

 こわいけど、ボクにはお日さまがいるんだから。

 いっしょにがっこうに行こうよ、お日さま。

 きょうはどんな一日になるかな。


 はやくいえをでたから、まだだれもいないね。

 そうだ、きのうのことをおしえてなかったっけ。

 きのうはね、おひるにマキちゃんにしゅくだいをみせてあげたんだよ。

 すごくよろこんでた。

 ひとがよろこぶことをするのはいいことだよね。

 かえるときにね、アーくんたちがフミちゃんのくつにがびょうをいれてたんだ。

 だからきょうははやくがっこうにいって、アーくんたちのくつにがびょうをいれておいてあげるんだ。

 よろこんでくれるかな。

 くれるよね。

 だってアーくんたち、フミちゃんのくつにがびょうをいれるとき、すっごくたのしそうだったもん。

 たのしいことはよろこべるもんね。

 あー、はやくつかないかな、がっこう。


 せんせい、すごくおこってた。

 ボクのなにがいけなかったのかな。

 きょうしつにはいってくるとき、すごいこわいかおしてた。

 パパとママもこわいけど、ちょっとちがうこわさだったきがする。

 みんなで「どうしたの」ってきいたら、「アーくんたちのくつにがびょうをいれたのはだれですか」だって。

 「ぼくだよ」っていったら、しょくいんしつにつれていかれちゃった。

 いっぱいいっぱいおこられて、たくさんたくさんかなしかったけど、ボクはおとこのこだからないちゃいけないんだ。

 きのうのよる、パパがボクをたたいたときにおしえてくれたの。

 「おとこのこはどんなことされてもないちゃダメなんだ」って。

 だからなかなかったよ。

 せんせいはおんなのこだからないてたけど、ボクはおとこのこだから。

 もうぜったいになかないんだ。


 マキちゃん、きょうもしゅくだいやってなかった。

 ボクのをみせてあげたかったんだけど、きのうママにすてられちゃったの。

 だからマキちゃんに「ごめんね」っていったんだ。

 そしたらマキちゃんは「なにがごめんなの」って。

 マキちゃんはボクのしゅくだいがひつようなのに、ボクはしゅくだいもってこれなかったから。

 いっぱいごめんっていってたら、マキちゃんはボクのことみて「きもちわるい」っていったんだよ。

 パパはボクが「きもちわるい」っていったときに、「はきだせばいい」っていっておなかをけってくれたの。

 だからボクもマキちゃんをけってあげたよ。

 いっぱいはきだしてたから、マキちゃんはきっとだいじょうぶだよね。

 マキちゃん、よろこんでくれたかな。


 おひるごはんのとき、ブーが「おまえはきゅうしょくひはらってないからたべちゃいけないんだぞ」っていって、ボクにはきゅうしょくをくれなかったの。

 きゅうしょくひがないとたべちゃいけないんだね。

 パパとママは「ぎむきょういくだ」っていってくれないから、こんどブーのランドセルからこっそりもらっちゃおう。

 きょうはボクのぶんまでたべてたんだから、こんどはボクがブーのぶんまでたべてあげるんだ。

 ボクのぶんをたべたブーはよろこんでたから、ブーのぶんをボクがたべててもよろこんでくれるはずだよね。

 だっておんなじことだもん。

 でも、おとといからなにもたべてないからおなかペコペコだよ。


 かえるときにせんせいによばれそうになっちゃった。

 でもあさにいっぱいおこってたんだもん。

 きっとまたおこる。

 だからせんせいはちょっときらいだ。

 あさ、せんせいに「よろこばせるためじゃないなら、なんでがびょうをいれるの」ってきいたら、「あれはきらいなひとにいけない子がすることなの」だって。

 「いい子はぜったいにしちゃいけません」って、ボクにいってた。

 ボクがいい子だって、そういってた。

 せんせいはうそつきだ。

 ママがいってたもん、ボクはいけない子だって。

 やっぱりせんせいのことはすごくきらい。

 ボクはせんせいがきらいだから、せんせいにならやってもいいんだ。

 ボクはいけない子だから、やっていいんだ。

 

 ねえお日さま、かえらないでよ。

 ボクをパパとふたりにしないでよ。

 いたいよ。

 こわいよ。

 くるしいよ。

 パパはおさけをのんでよっぱらってるから、いつもよりもっとこわいんだ。

 でも、しょうがないね。

 またあしたになったらおこしてね。

 それまでがまんしてる。

 さびしいけど、なかないよ。

 おとこのこだもん。

 お日さま。

 またあしたね。


 パパのびーる、おとしちゃった。

 パパにもってこいっていわれたのに。

「もう我慢の限界だ。いい加減ウゼぇんだよガキが」

 パパがぎんいろのこわいものをボクにむける。

 ごめんなさいパパ。

 ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。

「死ねよ」

 パパがボクをつかむ。

 ゆっくりと、ボクのなかにこわいものをいれた。

 おなかがいたい。

 けど、ボクはおとこのこだもん。

 ないちゃいけないんだよね、パパ。

 あれ。

 おなかからあかいおみずがでてきた。

 そういえば、おみずもきのうからのんでなかったっけ。

 のんでもいいかな。

 ボクからでてきたんだもん。

 のんでもいいよね。

 …へんなあじだな。

 ……それに、なんだかねむいや。

 ………ここでねたらパパにおこられちゃうかな。

 …………パパ、ごめんなさい。

 ……………あさになったらいっぱいあやまるから、ゆるして。

 ………………きっとまたあした、お日さまがおこしてくれるから。




 おやすみなさい。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


感想などをお寄せくだされば、是非新作の参考にさせていただきます。


これからもどうぞ、よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 拝読しました。 幼い子供の目を通した世界が丁寧に描かれていますね。 その悲劇を理解できないままに永遠の眠りにつくラストが印象深いです。
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