5.放課後
お久しぶりで御座います。久々の投稿です。申し訳ないです(>_<)
放課後の廊下はいつも通り戦場だ。部活へと急ぐ生徒で溢れかえっている。
「水面、もう少ししたら和斗が来ると思うから」
「うん。和斗さんを待って、図書館に行くつもり」
「なら、安心だ。それじゃぁね」
鞄を肩に担ぐと、慣れた動きで和歌は生徒の間を縫っていった。4月には押し合いへし合いだったのに、今では足を止める事さえない。
「和斗さんが来るまで、委員会のプリントでもまとめておこうかな」
筆箱からピンクのシャーペンを出すと、机の上にある白い紙に記入していく。
必要な物品や、場所、費用。委員会で大方決めてはいるが、細かい計算も必要だろう。
「これは、削れるかな。これは、もう少し必要だよね」
静かになった教室に、カリカリとシャーペンの走る音が響く。
和斗を待つ間に少しだけ、というつもりだったが、あっという間に終わってしまった。
「和斗さん、今日は少し遅いなぁ……」
廊下からは部活へと急ぐ生徒の姿が消え、随分静かになっていた。廊下を歩いているのは文化部か、部活動に入っていない生徒だけだ。
たまには自分から、迎えに行ってみようか――
シャーペンを筆箱にしまうと、水面は立ち上がった。
「和斗ぉ」
「!」
びくりと肩が震える。
そっと廊下を覗くと、そこには和斗の他に、女生徒がいた。
「ねぇ、久々に遊びに行こうよ」
「今度な」
派手な格好をした女生徒数人が、和斗を囲むように歩いていた。
「いつもそう」
「最近、付き合い悪いよぉ」
一人の腕が、和斗の腕に絡む。
「あっ」
「水面、お待たせ」
「……はい」
気がつけば、元のように椅子に座っていた。
何故だろう、胸がもやもやする。
「ん? どうした?」
「あ、いえ。……図書館、行きましょう」
「おう」
そう言うと、少し前を和斗が歩き始めた。
手を伸ばせば届きそうな距離。
手を伸ばさないと、触れられない距離――
「何だろ?」
もやもやする胸を抱えたまま、水面は和斗の後をついて行くのだった。
ありがとう御座いました。
次回もよろしくお願いします。