出かけるぞ
出かけるぞ
親分は、神殿を出て、あぜ道をへて小屋のあるところをふらふらと歩き、集落を出た。
縄文の森の岩場を歩き、弓使いの小屋に向かっていた。
頭の中で響く、大巫女の声。
それでも、行くには弓使いが必要だ。
小屋の前の田んぼで草取りをしている。
チビを見つけ声をかけた。
「チビ、また腹が膨らんでるな。3人目か、良いんじゃ。身体は大丈夫か、、、弓使いはおるか?」
チビは、身体を起こし、笑って答えた。
「珍しい。親分が来るなんて、、、
弓使いは、上の子供たちを連れて、川に魚釣りにいってる。」
親分は、中で待たせてもらうと言って小屋の中に入った。
思いの外、広いな。と思った。暫くすると、弓使いが、子供を外に置いて、小屋に入って来た。
「珍しい。お前が来るなんて、、、」
「は、は、は、チビと一緒だ」
弓使いは、獲ってきた魚を捌き、熱くなってた皿石に乗せて、焼き始めた。子供たちがチビを連れて中に入ってきた。木で作った皿のような器に取り分けた。その上に壺にいっぱい入ってる粥を温め、皆で食べることになった。
「美味い、捌き方が良いのか、弓使いは、器用だな。」
「我らは、当たり前のことだよ。」
そうだ、やはり弓使いは、縄文のものだな。と、親分は思い切って聞いてみた。
「伊勢の大巫女って分かるか?」
「ああ、知ってる婆様が言ってた。」
「そうか、話が早い、連れて行ってくれないか?どの位かかる?」
「方向を知ってるだけだ、俺も途中までしか分からんぞ。10日は掛かるな」
しかし、弓使いは、行かないとは言わなかった。
茅を持って伊勢の大巫女に挨拶に行く。
付き合ってくれと言って、小屋を出た。
外は真っ暗になってる。目が慣れるまで、少し立ち尽くしてると、分かった。と声が響いた。
よし、これで行けるぞと思った。
気が付くと空には月が出ていた。半分欠けていた。
帰りは月明かりで充分だった。
里の小屋にも、焚き火が入っていて、いい匂いと笑い声が聞こえていた。
里は平穏な雰囲気が漂っていた。
巫女には、弓使いと明日から伊勢に行くと伝えた。
巫女は、覚悟した顔をして、頷いた。




