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新たな動き

新たな動き


佐久の里には、長い冬が終わり、芽吹きの春が来ていた。


弓使いが、キツネを狩って里に持って、神殿を訪ねた。

弓使いは、積極的な平野の暮らしに、慣れようと苗床の手伝いに来ていた。


「巫女様、苗床の手伝いに来ました」


巫女は、弓使いの動きに感動し、キツネの礼と共に、若に伝え、一緒に動くように言った。

若は承知して、弓使いを連れて苗床を作る畑に連れて行った。


チビが御子に対して、弓使いの行動について聞いた。


「弓使いさんは、縄文の森の方が暮らし安いんじゃないのかな」


「弓使いは、我らを手伝い、平地の暮らしにも慣れたいのだろう。縄文の者が里にはいるのは歓迎せねばならんのぉ」


そういう事かと納得して、若と弓使いを見守った。子供たちとすれ違う弓使いは、にこやかで楽しそうであった。


巫女の祈りが始まり、侍女としての動きに、気持を切り替えていた。


田植えが始まる頃、また弓使いがやって来て、若と共に皆の田植えに参加する姿があった。


田植えは、人手が必要。チビや侍女達も参加し、皆で大きな声を出し、田植えが始まった。

巫女は、神殿から見つめていた。


午後になり、休憩する時、あぜ道に屈み込み、田を見てる弓使いが気になりチビが話しかけた。


「弓使いさんは平地で暮らそうと思ってるんですか」


「いや、そうだなぁ。平地の作物は、山に自然にあるものと違って、手を入れて作る。自然を作ってるみたいだと思ったんだ。」


弓使いが言う《自然を作る》そんな風に田植えを考えたことがなかった。

チビは、弓使いが深く平地の暮らしを考えてることに気がついた。


「弓使いさんは、山と平地、どちらが好きなんですか?」


「どっちとも言えないよ。山は山の良さ、平地は平地の良さがあるんじゃないか。」


良さを考えるなんて、不思議だ。

チビは弓使いの好奇心に感心した。


同じあぜ道で休憩していた若のもとに、オヤジが来た。


「若、警護は、若い奴らに任せ、俺と共に移動するグループとして動かんか」


「オヤジ、どうしたんだ。」


オヤジは、若が巫女の警護につくまでは、移動するグループの若手として活動していたが、新しく巫女ができた時に警護として若を推薦したのもオヤジだった。

弓使いと共に移動するグループに復帰してもらい、佐久として作った、新たなネットワークを引き継ぐ算段をしていた。

隣にいた弓使いにも話しかける。


「弓使いは、縄文の移動にも対応できるし、お主も一緒に移動するグループに来ないか」


オヤジが二人に話しかけたのは、次代の移動するグループにとって大事なことであった。


若は、仕方がないなと感じていた。

が、弓使いは、ちょっと待ってくれと、待ったをかけた。

弓使いは、深く考え、チビを見て、


「俺は、先に平地の暮らしをしてみたいんじゃ。移動するグループは、よう分かってる。」


弓使いは、チビを見つめた。


「だから、その前に平地の暮らしをチビとしたいと思ってる」


チビは急な事で、驚いてしまい。うつむいてしまった。


オヤジと若は驚いて、二人を見守っていた。

風が暖かく、緩やかに二人に吹きかけていた。


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