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パンダ豚 くろ助の冒険  作者: Eisei3


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第三章 選抜 2

 ちょっと難しくなってしまいますが、この育成豚舎にいる豚たちを観察しながら、豚の品種について少し説明してみますね。

 豚の品種はとても多くて、かなり複雑ですから。


 右隣の豚房には、色の白い豚たちがいます。

 両耳の垂れ具合から見ますと、純粋種ではなくて、ランドレース種の雌豚に大ヨーク種の雄豚を交配して産まれた、F1(えふわん)と呼ばれる交雑種の様です。

 F1は雌豚だけが種豚として利用されますが、発育が良くて産子数も多いといった特徴を持った豚です。だから、この豚舎にいるのは種豚になる雌ばかりなんです。

 F1の雄豚は、ほ育豚舎にいる時にみんな去勢されて、今はもう、肥育豚舎で肉豚として肥育されています。

 

 彼女たちはいずれ成長すると、F1母豚と呼ばれる種雌豚になります。そしてデュロック種の種雄豚が交配され、妊娠して百十四日後には子豚を産みます。

 この産まれた子豚が三元肉豚と呼ばれる豚たちで、先日、ほ育豚舎でこの雄豚たちはみんな去勢されました。

 

 三元肉豚は、F1母豚よりも更に発育が早くて、お父さんとして交配されたデュロック種雄豚の血液を継いで肉質がとても優れています。

 彼らはもう肥育豚舎に移されていますが、そこで肥育され、生後六ヶ月くらいでと殺されて食肉になります。普通、豚肉と言われる肉は、大体この三元肉豚の肉を指します。

 

 右隣の豚房の先をずっと透かして見ると、入れられているのは全て、白い色をしたF1母豚の候補豚ですね。豚房一つに七頭くらいいますから、五豚房で合計三十五頭くらいでしょうか。



 左隣の豚房にはずっと向こうまで、茶色や白い色をした色々な豚たちがいます。

 

 茶色の豚はデュロック種と言われる純粋種で、赤肉が多くて脂肪が入りやすい肉質の優れた豚です。

 デュロック種の種雄豚は、F1母豚に交配されて、三元肉豚を生産するために使われます。このデュロック種雄豚のことを留め雄と呼びます。

 

 白い毛色をした豚たちは、耳の垂れ具合によって、耳の垂れているのがランドレース種、耳がピンと上を向いているのが大ヨーク種という様に見分けが付きます。やはりいずれも純粋種の豚です。

 ランドレース種の種雌豚に大ヨーク種の種雄豚を交配して、F1母豚という三元肉豚のお母さんとなる種雌豚が作られます。

 そのためランドレース種の場合は、種雌豚として雌の利用のウエイトが高く、逆に大ヨークシャー種の場合は、種雄豚としての雄の利用の割合が高いということになります。


 どうです?  分かりましたか? でも難しくて、たぶん何がなんだか分からないでしょうね。ごちゃごちゃと説明してしまって、ごめんなさい。

 でも、それだけ豚の品種は数が多くて、豚肉として利用する肉豚を作るための交配の組み合わせも方もかなり複雑なので、分かり難いんですよね…。

 でもそれも全部、美味しい豚肉を作るためには必要なことなんです。

 それで全国には、品種やその組み合わせに特色を持った多くのブランド豚があって、美味しい豚肉がたくさん生産されているんですね。

 まあ、品種の違いだけではなくて、食べさせる餌に生産する地域独自の特徴を持たせて、銘柄豚としての特色を出しているブランド豚肉も多いですが。


 

 こうやって周りを見回して見ると、どうやらこの豚舎にバークシャー種は僕だけのようです。

 あの見極めの日に僕の姉弟たちの中では、僕だけが種豚候補として選ばれて耳に個体識別の白い耳標が入れられましたし。だから僕のほかの姉弟たちは、みんな今頃、肥育豚舎でご飯をお腹一杯食べて、寝ているのでしょうね。

 

 ところでバークシャー種は、ほかの豚たちに比べると、その利用の仕方がちょっと異なっているんです。

 

 バークシャー種の特徴は、肥育して食肉を作る場合、ほかの豚と交配しないで、バークシャーの純粋種のままで肥育されることがあります。

 バークシャー種は肉の繊維が細やかで肉質に優れ、特に美味しい脂肪を作る能力が高い豚です。だから、ほかの豚と交配してしまうとこの長所が半減してしまうため、敢えて純粋種のまま肥育するのです。

 でも三元肉豚と比べると、バークシャー種の肉豚は純粋種のため、発育速度が遅いというデメリットもあります。三元肉豚が生後約六ヶ月で食肉として出荷されるのに対して、バークシャー種では、生後約十ヶ月以上の肥育日数が食肉として出荷できるまでに掛かってしまいます。 

 もちろんその間、餌もたくさん食べますから、食肉にするまでの経費はそれだけ多く掛かるのですが、その分、じっくりと育って大きくなりますから、より肉質や風味に優れた美味しい豚肉が生産できるんです。

 そしてそれに、分娩の子数が少ない事も希少性となって、バークシャーの肉は黒豚という銘柄豚としてとても高く売れるので、それまでの経費を補っても十分な収入が得られます。


 僕が将来、種雄豚になれた場合も、バークシャー種の純粋種を生産するために、同じバークシャー種の種雌豚に交配されます。交配をする時は、その豚の持つ遺伝的な能力を十分に見極めることが必要です。

 だから僕も、左の耳に打たれている白い子豚登記の耳標の様に、将来、種豚として活躍する場合に必要となる、種豚登録といった血統の管理が最も重要なんです。それは全て、美味しい豚肉を作るためなのです。


 だから黒豚の肉は美味しいんですね。とても。

 あ、そうそう。美味しい豚肉は、是非良質な塩とコショウだけで味付けをして焼いて食べてみてください。豚肉の味の繊細さと甘い脂の風味が、舌先に上手く伝わって味わうことができますから。良い豚肉の味を味わうには、何と言っても味付けのシンプルさ、それが一番なんです。

 肉質や風味に優れる豚の肉に、タレなんか掛けて焼いては駄目ですよ。豚は牛肉とは違うんですからね。本当ですよ、僕が言うんですから。





 

★補足です。

 何が何だか分かりませんよね。

 豚は、どの品種をそれだけで肥育しても食肉として利用できますから。


 でも、各品種の持つ特色(肉量が多い、美味しい脂肪を作る、肉量が多い、ロースの長さが長い、発育が早い 等々)を最大限に活かし、経営として 

ブランド豚肉を生産して最大の利益を得るために、様々な交配方法が行われています。(銘柄豚が、日本中に乱立していると言っても良いかも …)


 更に、肉豚の品質=品種(遺伝)×環境(餌 など)が基本となりますから、肉質の特色付けのために様々な餌(飼料 など)も与えられています。(品種の基本は、遺伝的に斉一性(純血)が高いことが重要で、作出技術として系統造成 などがあります。品種の純血を担保・照明する制度が、種豚の登記・登録制度です)


 品種には、他に合成豚と呼ばれる豚もいます。(それを肥育して肉豚となったり、留雄という交配用の雄に使われたりと様々です)

  

 

 デュロック種はD、ランドレース種はL、大ヨーク種はL、バークシャー種はBと略されます。(交配組み合わせの表記法です)

 豚の場合交配の略称は、雌が前に、雄が後に来ます。ですから、Lの雌にWの雄を交配したF1は、LWとなります。

 LWの雌にDの雄を交配した三元肉豚は、LWDと記載され、これが一般に食肉として流通している三元肉(豚)です。(雌雄の交配を逆にした、WLDという利用方法もあり、LDまたはWDという肉豚もありますが、その他、様々です)


 現在は、アニマルウエルフェア(家畜の福祉)が重要になっていますから、農場での、豚肉の生産情報も色々と情報公開されていると思います。

 更には、生産情報公表JAS等の農水省の制度もあるため、食肉の情報を得ることができると思います。


 皆さんが食べる食肉が、どんな豚で、どんな風に育てられたのか興味を持って頂けたら、面白いと思います。(牛肉ではBSEの一件以来、制度が確立され、生産情報が厳密に公表されていますが、今の豚肉は …。どこまで進んだでしょうかね)


 (★理屈中心になってしまい、申し訳ありません)

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