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現代詩 3選

卑屈に見えても 彼女たちは戦っています

前向きに見えても 彼女たちは泣いています

だけど女子トイレでため息を吐き

気合を入れて戦場に向かおうとする彼女たちは

誰よりも美しいと思うのです

1 残業開始



顔から紅色が消える頃

定時を過ぎた執務室に

夕焼けが刺す


「お疲れさまでした」と遠のく足音

タイピングはゆっくりとほどけ

蒸れたヒールを、机の下で蹴った


音が消えた部屋で

ひとり、口紅を差した




2 消えていくもの



筆箱からデコペンを出す

隣の女が鼻で笑う

右手が重くなったので、

私の誇りは死にました


ストレートロングヘアに課金した

出産してからは、黒ゴムひとつ

あまりに質素に見えたので、

私の女らしさは消えました


花柄フリルのワンピースを着たいのに、

頭に浮かぶのは誰かの嘲笑

今日も私の好きが消えていく




3 ネイル



呆れた声が 耳に残る

突き返された バインダー


親指で 書類の端に 皺5つ


滲む視界 白黒世界

どろりと沈みかけた その端で

桜色の爪がきらりと光る


六九八〇円

その色 その輝きに

息を吸い込む


椅子を押し出し 背筋を伸ばし

背広の背中を 追いかけた


私はまだ戦える







どんなに涙を流そうと

彼女たちの美しさは消えませんけどね

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