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34.問題児

 フィデ曰く、エンビー嬢の素行はよろしくないようです。

 問題行動を起こしては停学処分を食らっているとか。


「それは……また……」


「はい。エンビー嬢は手癖の悪いことで有名になっております。気に入った物は他者の物であっても平気で奪うとか」


「まぁ」


 それは……また、何と言いますか。


「生徒から奪った物をそのまま自分の物にしているようです」


「なんて図々しい……」


 彼女には常識が通じないのでしょうか?

 親はどうしているのでしょう。


「ラース副団長はその都度叱っておられるようですが、あまり効果はないようです」


「そうでしょうね……」


 エンビー嬢が叱られている姿は、なんとなく想像できます。

 ラース副団長は正義感の強い曲がったことが嫌いな人だと聞きますし、自分の娘が窃盗をして怒らないはずがありません。

 ただ、彼女の場合は叱られても何故自分が叱られるのか分からないのでしょう。

 父親が怒る理由も、学校側が怒る理由も分からない。そんな気がします。


 分からないから何度も繰り返す。そんなところでしょう。


「学校中から嫌われているようですが、全く反省していない様子が他の生徒から更に反感を買っているようです」


「でしょうね」


 負の連鎖。

 悪循環ですね。


「ラース副団長は娘を更生させようと、毎日のよう厳しく指導しているようですが、聞く耳を持たないといいますか。男親だからでしょうか。娘との距離を測りかねているようです」


「親子とはいえ、数年間別々に暮らしていましたからね。いきなり父親から叱られても、エンビー嬢にとっては理解しがたいのでしょう。彼女は伯爵家にいた数年間で贅沢に慣れてしまっているわ。自然と目も肥えている。今の生活は不満しかないのでしょうね」


 そうなってしまった責任は伯爵家にもある。

 けれど、それを許したのは彼女の両親。

 彼女の雇用契約書にもそのように書かれていた。


 最終的に責任を取るのは製造者でしかできない。


 無理矢理にでも矯正できればいいのだけれど。

 難しいでしょうね。


 窃盗だけで終わればいい。けれど、それ以上の問題も起こりかけている。


「最悪の事態にならなければいいのですが」


 嫌な想像をしてしまう。

 彼女の通う学校は多種多様の階級の方が通っています。

 お金さえ払えば誰でも通えるということは、訳アリの子が多いということ。

 大貴族の隠し子。

 お家騒動の引き金になりかねない子供。

 表沙汰にできない問題を持った子供。

 当然、裏社会に身を置く子供も通っているでしょう。

 裏社会のトップに立つ後継者とか。


「何事もなければいいのだけれど……」




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