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坊主がひろう
「わしが、その『柴』を拾おう」
「・・・いやあ・・・でも・・・」
「指図してくれれば、そこへゆく。気にするな」
坊さんのひろい背中は心地よく、それではおねがいもうしあげます、と頭をさげて、「まずはあちらへ」と、前から目をつけていたところへとむかってもらう。
目印にしておいた細い松の木までくると、坊さんはおどろいたことに、手にした杖のさきで土へと何かほって、とん、と地面を突いた。
「 おお 」
なんとそれだけで、目当てのものが勝手に浮かんで坊主のてもとにきた。
「これはすごい。 お坊様、どちらで修行なさった?」
「うむ。宗派はない。わしは偽の坊主でな」
わらった坊さんは、手にしたものを、こちらへ渡した。