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仕事はなにか
― 柴ひろい ―
坊さんは、そうか、と残念そうな顔をしてあしをもどし、こちらの横にきた。
「なにの仕事をしておる?近くの畑か?」
「はたけ?」
おかしなことを聞く坊さんだ。
このせまい山道をのぼってきて、ここがきりたった山間で、陽もあたらない場所だとは、わからなかったのか?
思ってから、空をみあげてみて、そこが灰をまいたような色だというのに気づいた。
ああ、今日はこんな雲がおおい空だから、わからなかったか。
「 ―― 山の中を歩いて、茸や、つかまえた鳥を、下へ売りにいきますンで」
「おお、そうか。では、やはり家も、この近くか」
坊さんはあたりをみまわし、こっちかあっちか、といろんな方へ指をさしてきいてくる。