前へ目次 次へ 3/26 戻らぬわけは そうかそうか、とうなずいた坊さんは、それならゆくか、といきなりこちらへ手をのばしてくると、親し気に顔をみあわせ、おや、というように眉をあげきいてきた。 「家に、戻らぬのか?」 戻った方が、いいのか? 坊さんの顔をみながら、考える。 「・・・・いえ。おれは、 ―― ここで、まだ、・・・仕事があるンで」 まさかこの坊さんは、おれの家にでも泊まるつもりなのだろうか。 いや、泊めてもいいが、 ・・・いや、いや。 だめだ。 そうだ。 家に、 家には ―― 殺した女がいる。