22/26
散歩は終わり
この章でおわります。 すこしほっこりして終わりたい。。。
― 藤 ―
「さて、今度の散歩はみじかかったな」
坊主は屋根のぬけた上をみあげる。
あの男が、おカツという女と暮らしていた家は、すでに屋根もなく、葛の蔦がいくどとなくまきついたせいで、かなりかたむき、かろうじて残っていた戸をあけるのもひと苦労だった。
戸の近くに置かれていた石に目をとめ、おカツという女にために、いちど、念じる。
やはり、女の魂は、とっくにここから消えている。
化けて出るとしたら、きっとにぎやかな街にある、ここまでおいかけてきた男の家あたりか、とおもいながら、すっかり日の暮れた山をおりてゆく。
ジョウカイは、ニセの坊主で、人ではない。
なので、月明かりのない夜道でも歩けるが、むこうにみえた提灯のあかりに、つい、くちもとがゆるんでしまった。




