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落ちた
ここより、暴力や血の表現はじまります。ご注意を
坊さまは、だまってうなずき、囲炉裏のそばへ並べた『柴』をさした。
さっきまで『柴』だと思っていた細いものが、土にまみれた『骨』なのだと気づく。
「 おお・・・『柴』をあつめるなどと申し、おのれの骨をお坊さまにひろわせるなど、お恥ずかしいやら情けないやら・・・」
「いや、きっと、これらの骨が散っているのを気にして、ここにおられたのであろう。思うに、この山の切りたった岩場で、落ちて亡くなられたか?」
「 『岩場』 。 ああ、そうでした。 おカツを、 ・・・ここにいっしょに連れてきた女が、いったのです・・・」
こんなところには、 もうすめない あたしが ばかだった あんたなんかを信じてついてきてバカだったよ もうこれっきりだ あんたの顔などみたくない
「 ・・それを、・・・ひきとめようとして着物をひいたら、いつものようにこぶしを当ててきて、こちらもつい、頬をはったら・・・・」
脇にあった漬物石に頭をうちつけてたおれたおカツは、もう動かなかった。