13/26
あきる
「 なら、その追われた理由は話さなくともよい。 わしはな、このとおり坊主ではない。さらにいえば、人でもないのよ」
「ああ、やはり・・・。 わたくしのせいでございましょうか?」
話し方が、『むかしのもの』になってしまうが、坊さまがあいてならかまわない。
この山に、おカツをつれて来たあと、つい、こういう《話し方》になると、まちにいたころとちがって、おカツは「その話し方が腹立つんだよ」とこぶしをあててきた。
そうだ。
まちにいたころのおカツは、この話し方も、立ち姿もほめちぎっていたのに、ここにきてひと月もしないうちに、山の暮らしに飽きはじめ、
―― いや、このおれに厭いたのだろう。