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藤につかまり下がるはなし  作者: ぽすしち
 ― シデムシ ―
12/26

すきなところへ


  ― シデムシ ―





 いや、いないどころか、家の中にはなにもなかった。


 せまい土間にせまい板の間があって、その奥に敷いていたむしろもないし、囲炉裏にかけてあった鍋もなくなっている。



 うむ、と坊さんが息をつくようにあたりをみまわす。

「 ―― こういうことはままあってな。死んだあとの魂は、すきなところへゆけるゆえ、その《者》はきっと、賑やかなまちなかへもどったのだろう」



「まちへ・・・?」

 ああ、そうか、と合点もゆく。

「  ―― 常々(つねづね)、・・・もう、まちへ帰りたいと、もうしておりました・・・」




「そうか。 さて、おぬし、 ―― もとは、お武家ぶけか?」



「はい。 ―― わけあって、追われる身となり、こうして山へかくれております」

 この坊さまになら、はなしてもいいような気がした。



 いや、話さねばならぬか。

 

 こうして、ここまで連れてきてくれたのだから。






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