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もう いない
ここで半分です。みじかいはなしです。。。
「では、ゆこう」
坊さんが家に足をむける。
ざ ざ ぱきり
枝をふんだのか、なにかが折れる音がした。
家が近づくにしたがい、その音がどうしてか、耳の奥から湧き出るようにして、頭のなかに響く。
ぱきり ぱき
ぱき ぱき ばきり
折れる音はひどくなり、また、こころが ざわざわ する。
「あけるぞ」
家の戸に手をかけた坊さんが言って、両手であける。
ずずぎぎ と、音をたてて開けた家の中に ――― 。
「 いない・・・・」
家の中に、殺した女はいなかった。