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観念
― 家 ―
このあたりか?と坊さんにきかれて、はたとあたりをみまわす。
いつの間にかだいぶ歩いたようで、さきほどいたところにくらべて木も少なく、明るいところにいた。
なんだか、こころが ざわざわ と、しだす。
それはそうか。
殺した妻がいる家に近づいているのだから。
木が切られ、ひらけたところがみえた。
ああ、もう観念するしかない。
「お、・・ぼうさま・・・あの、」
「あれか?」
坊さんが目をむける先、ぼやけてみえていたそれが、しっかりとみえはじめた。
「・・・はい。・・・あれが、・・・おれの家でございます・・・」
認めるしかなかった。
この、大きくて力がありそうな坊さんに背負われていて、逃げられるなどと思えないし、それにもう、 ―― 。




