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3話 最後の矢
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ハムドは三本目の矢を構えた。
電光掲示板には【マジカル】と表示されている。
背後の視線がプレッシャーをかけているのではなく、むしろ応援されていると思えてきた。
心の余裕だろうか。
「最後もダブルブル!」
小声で自分を鼓舞する。
「頑張って」
後ろから聞いたことのある声がした。
しかし、振り向くことはしたくなかった。
間隔を空けずに真後ろに並ばれているため、振り返ると顔が衝突する。
最後の矢をつまみ、三度ほど前後に揺らしてから、思いっきり投擲した。
宙を飛翔する矢は溶岩に炙られて、ダーツの的に届くことなく、真っ赤な河に吸い込まれた。
電光掲示板に【OUT】と表示された後、【マジカル0】に切り替わる。
魔法は使えないということなのかもしれない。
「次は私の番ね!」
ハムドは転送される瞬間、後ろを振り返った。
同居していた彼女のミールだった。
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