2話 センターカウントアップ
少しずつ短い話を連載していきます。
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地底に隠された秘密のダーツ場でハムドは最初のステータスを決めていた。
一投目の結果は【ライフ】を決めていたようで、ダブルブルに刺さり【ライフ600】を獲得していた。
恐らく最高点数だ。
次は【アタック】を決める第二投だ。
ハムドの投げた矢はそのまま的に刺さっている。
再び、ダブルブルを狙うには、ただでさえ狭い円の中に、一本目の矢を避けて当てないといけない。
矢の上部はフラットという十字の羽が仰々しく付いていて、ダブルブルの大部分を遮っていた。
「次も狙うはダブルブル!」
そう意気込んではみたが、自信が無い。
溶岩の表面を覆う無数の泡が不気味な音を立てながら弾けている。
その先にある的はダブルブルだけが光っていた。
その光景はセンターカウントアップを思わせた。
中心に近ければ近いほど点数が高い。
死者の身体は溶岩の熱を感じなかった。
自分のペースで投げたいが、やはり後ろに並ぶ人間からの無言の圧力が急かしてくる。
ハムドは二本目の矢を構えた。
緊張感が迫り上がってきて、指先が震え出す。
肩の力が入るのを感じたが、矢はすでに放物線を描いていた。
的の中心に向かって飛んでいく矢は、的の手前で大きく降下して、的の下方に突き刺さる。
電光掲示板と視界の右端に【アタック70】と表示されて、愕然とする。
攻撃力が無いとこの先色々と苦戦しそうだ。
電光掲示板の文字が【マジカル】に切り替わった。
魔法力なのか、マジックポイント(MP)なのか、ハムドには分からなかった。
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