表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/4

1話 ダブルブルを狙って

少しずつ短い話を連載していきます。

この作品がお気に召した方はブックマークなどをご活用下さい。

 血赤に煮えたぎった溶岩の河の先に、ダーツの的がなぜかある。


 ハムドは骨の髄に電撃がほとばしるような感覚を味わい、視界がブラックアウトした後、地獄みたいな見た目の関所に来ていた。

 数秒前まで工場での夜勤をしていたはずだが、過労死でもしたのだろうか。


 現実世界での死と同時に、異世界へ転生するとは夢にも思っていなかった。

 ハムドはライトノベルを読まない。

 異世界転生という言葉を識らなかった。


 左手には三本の金属製の矢が握られていて、先端は鋭く尖っていた。

 武器のようだが、アメリカでのダーツの矢は先端が鋭利だと聞く。


 ハムドは視力が3.0もあった。

 死してもなお、その視力は引き継がれている。

 3メートルくらい離れた先にあるダーツの的に目を凝らす。

 中央が妖しく光っていた。

 あれはブルのさらに中心。

 ダブルブルだ。

 点数は20のトリプルが最上のはずだが、ダブルブルだけが発光しているので、恐らくここを狙えというシグナルなのだろう。


 ダーツの的の上には場違いな電光掲示板がある。

 【ライフ】と書かれていた。


 ハムドの後ろには先着順で死者らしき人間が真っ直ぐ並んでいる。

 後方の人の「早く投げろ」と言わんばかりな視線のプレッシャーが心を急き立てる。


 とりあえず一本投げてみることにした。

 生前、ダーツにハマっていた時期が一年間ほどあり、その頃を思い出して、ダーツの矢の中央より先端寄りをつまむ。

 腕を後ろに小さく振りかぶって、勢い良く振り下ろす。

 放たれた矢は溶岩の紅蓮に染まりながら、的に命中した。

 破壊音が鳴り響く。

 ハムドの投げた矢は奇跡的にダブルブルに刺さっていた。


 電光掲示板の文字が切り替わり、【ライフ】から【ライフ600】と表示された。

 同時に視界の右端にも【ライフ600】とホログラムの文字が浮かび上がる。


 電光掲示板に【アタック】と表示される。


 攻撃力のことだろうか。

 ここは、何かのゲームの中なのだろうか。

 静寂の中で突如ダーツをさせられているハムドに死後の世界など分かるはずもなかった。

お読みくださり、誠にありがとうございます!

良かったらレビューや感想などを頂けると非常に励みになります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ