2021年11月2日放送 フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日 八巻和行の七転び八巻 妄想【愛の劇場】#8 魔法
サクソフォン奏者八巻和行さんのラジオ番組
こうのすFM フラワーラジオ
フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日(午後4時~午後6時)
八巻和行の七転び八巻
というラジオ番組の投稿コーナー
妄想【愛の劇場】
毎週パーソナリティ八巻さんから出題される【作品のテーマ】を小説風に書いた作品を投稿するコーナー。
小説の書き方を知らないシロウトが投稿コーナーに参加。
そのコーナーに投稿した作品をこちらに投稿しています。
妄想【愛の劇場】のコーナーで、絶賛!妄想仲間を募集中!!
こんな感じで大丈夫なので、コーナー投稿に興味がある人がいてくれると嬉しいです!
《番組への参加方法》
①フラワーラジオが聴けるように、ListenRadioのアプリをダウンロード
フラワーラジオを選局して、お気に入り登録
②パーソナリティ八巻さんのTwitterをフォロー
③毎週日曜日の夜に、八巻さんのTwitterから【作品のテーマ】が発表
④八巻さんのTwitterのダイレクトメールから投稿
※番組放送当日の火曜日午後6時頃までに投稿できれば、コーナーの時間に間に合います。
※何故か八巻さんが初見で読むルールのようなので、漢字には「ふりがな」をふって下さい。
小説の書き方を意識しながら文字おこしをしています。
文章はできるだけ、投稿当時のままにしています。
言葉が二重になるのが気になるところは、手直しをしています。
サイト投稿回数 第9回目の今回は………
2021年11月2日放送。
妄想【愛の劇場】#8 魔法
奏と八巻シリーズの第八回目
深い紫色が視線から遠くなるほど、淡いピンク色を帯びて見えるのは気のせいではないようだ。
月は無い。
乾いた大地には枯れた木々が、乾いた大地を鷲掴むのに必死になりながらも、悲しげに存在するだけだ。
横たわる人の影が幾つかある。
ピクリともしないその様子に、壮絶な現状の悲惨さを想像できるだろうか。
異質な色をたたえた空と、荒野の間を乾いた風が吹き抜けては、地面の水分が抜けた砂を巻き上げていく。
「もう……もう、終わりにしましょう。奏ッ!!」
風に掻き消されないように、ロール·シエルは声を張る。そして、続ける。
「こんな事、あなたが望んだ事ではないのでしょう?!」
ロール・シエルの言葉に口元を歪ませ、低く闇深く嘲笑う奏。
「何故、こんな事になってしまったのか……」
ロール・シエルは唇を噛んだ。
それはとてもきれいな青いグラデーションの広がる、雲一つない空のいつもの昼下りだった。
八巻の仕事場の近くにある喫茶店には、八巻の恋人である奏が働いている。
奏は笑顔が素敵な喫茶店のアイドルだ。彼女を目当てで来る客も少なくない。
店の前に来た八巻は、ガラス窓から覗いて奏の姿を確認する。
忙しく動く奏の姿に目を細める。
ガラス張りの自動ドアの前に立つと、自動ドアがスーンと静かに開かれ、八巻を招き入れる。
「いらっしゃいませ!」
いつもの笑顔で奏が声をかける。八巻をいつものカウンター席に案内する。
「八巻くん、いつものでいいよね」
奏は八巻に注文の確認をする。
八巻の不器用な反応にイタズラっぽくクスッと笑みをこぼしてから、カウンターの奥に消えて行った。
途端に喫茶店の店内が、ドガドガドガドガドガドガーーーーッッッ!!!!という、けたたましい音に包まれた。
縦に横に揺れ、建物のきしみから生じる砂煙や埃があちらこちらから降ってくる。
そしてきしみのせいで、建物の上にある照明や空調設備やらがその役目を負うことができず、ガランゴドンと音をたてながら下に落ちてくる。
何が起きたのか、八巻にはわけが分からなかった。
それよりも奏の様子が心配になり、カウンターの奥に近づきながら「奏ッ!」と声を張る。
しかし奏の返事はない。
不安が募る八巻は、上から降り積もるガラクタを掻き分けながら、カウンターの奥へと歩みを進めて行く。
再び建物が揺れ始めた。それと同時に黒い煙を纏った、人とも獣ともいえない生き物の様な者が建物に入って来たかと思うと、八巻を追い越しカウンターの奥へと姿を消した。
「奏ッ!奏ッ!」
八巻は奏の名前を強く呼ぶ。
やはり奏からの返事はなかった。
しかし、八巻の心配をよそにカウンターの奥から奏がすがを現した。
ケガはなさそうな奏の姿に安心した八巻だったが、様子がおかしい事に気が付いた。
「奏……?」
黒い煙を纏った奏は、虚ろな目をして生気がない。
八巻の存在に気が付いた奏は、虚ろな目で八巻を一瞥すると、ニヤリと唇を歪めた。
そして、八巻の方へ体を向けて、体全体を大きく揺らす。
「ヴァーーーーーッ!」
奏は低い声を出しながら、八巻に向かって黒い煙を投げてきた。
突然の事に逃げる事もできず、八巻は棒立ちになった状態で、奏でから放たれる黒い煙を受ける形になった。
その時。
「プレシャスフォーンッ!」
赤色の光が放たれ、黒い煙を弾き飛ばした。
状況が読めていない八巻だったが、とっさに、赤色の光が放たれた先を見る。
そこには、赤い髪の毛をさらりと翻しながら、弓矢を手にした少女がいた。
「間一髪ね」
少女は八巻の視線に気が付き、屈託もなく笑った。
「プレシャス・シエル、アイツは?」
メガネをかけた、青いベリーショートヘアの少女が、プレシャス・シエルと呼んだ少女に近づきながら、問いかけた。
「まだ、これからよ。シュガー・シエル」
プレシャス・シエルと呼ばれた少女は、シュガー・シエルと呼んだ青いベリーショートヘアの少女に答える。
シュガー・シエルは、かけたメガネの側面にあるボタンを操作して、建物の中をなにやら確認する。
「フェア・シエル。人間に憑依しているわ。あなたの能力でなんとかならない?」
シュガー・シエルは、緑色のセミロングヘアの少女、フェア・シエルに声をかける。
フェア・シエルは、緑色の癒やしの光を、黒い煙を纏った奏に優しく放つ。
しかし、その光は黒い煙に当たるが敵わず、四方に飛び散っていった。
「君たち!一体、奏に何をしているんだッ!」
八巻は少女達から奏を守るように、奏の前に体を差し出した。
奏は、そんな八巻の背中に危害を加えようと、右手を振り上げた。
「危ない!!」
シュガー・シエルは声を上げるのと同時に、八巻に体当たりをして奏から助けた。
ガラクタだらけの地面に、八巻とシュガー・シエルの体が叩きつけられる。
「あなた!危ないでしょう!」
八巻に声を張り上げるシュガー・シエル。
「シュガー・シエル、落ち着いて」
ふたりの元に近付いたプレシャス・シエルは、八巻に話す。
「私はプレシャス・シエル。あなた、一緒に戦いましょう。多分、彼女はあなたにしか助けられないわ」
プレシャス・シエルは、八巻にピンク色の口紅を手渡した。
八巻は戸惑いながらも、口紅を受け取った。
「「さぁ。魔法少女に変身よ!」」
シュガー・シエルとフェア・シエルの声に押され、八巻は自分の唇に、口紅を塗り始めた。
すると、ピンク色の光の布に包まれて、八巻は魔法少女に変身した。ピンク色のサラリとしたロングヘアは、毛先に向けて縦ロールが施されている。
「魔法少女!ロール・シエル!!」
八巻ことロール・シエルは、高らかに叫んだ。
ロール・シエルの元に、三人が集まる。
「ロール・シエル!」
「プレシャス・シエル!」
「フェア・シエル!」
「シュガー・シエル!」
「「「「私達、新生シエルフォース!」」」」
キュララララァ〜〜〜〜ン♪
四人の名乗りが決まった。
奏に纏わりつく黒い煙を浄化する為に、戦い始める四人。
ロール・シエルはピンク色のリボンで、黒い煙を浄化すべく奏に挑んでいく。
時間が過ぎれば過ぎるほど、奏に纏わりついている黒い煙は、奏と同化していく。
ロール・シエルは、奏の表情が虚ろながらも、薄く微笑んでいる様に見えた。
諦めたわけではない。八巻が必ず助けてくれる。
その安心感からの微笑みなのだと。
「分かってるよ、奏。必ず助けるからね」
ロール・シエルは、奏を安心させる様に声をかけた。
あれから、どれだけの時間が過ぎてしまったのか。
ガラクタだらけの建物には、何人もの人が横たわっていたので、戦うこともままならなかった。
シエルフォースは、別の場所へと奏を力尽くで誘導し、荒れた大地へと移動した。
それがシエルフォースには仇となった。奏に纏わりつく黒い煙が、これでもか!と言わんばかりに暴れだした。
シエルフォースは力の限り戦うが、プレシャス、フェア、シュガーは、次々に倒れていった。
今ではひとり、ロール・シエルがなんとか立っているのがやっとだった。
「もう……もう、終わりにしましょう。奏!!」
ロール・シエルは声を張る。
「こんな事、あなたが望んだ事ではないのでしょう?!」
地面に横たわる影がひとつ、ピクリと動いた。
「無理よ、ロール・シエル。今の奏には、何を言っても通じないわ」
「プレシャス・シエル!!あなた、大丈夫なの?!」
ロール・シエルは、プレシャス・シエルの様子を伺う。
プレシャス・シエルと呼ばれたその影は、力無く微笑みながら続けた。
「ロール・シエル。あの奏は、あなたの知っている奏じゃないわっ」
「そうよ。もう、あなたの知っている奏は居ないのよ。気が付いてっ」
プレシャス・シエルの言葉に続いて、地面に倒れていた影のもうひとつ、フェア・シエルが残りの力を振り絞るように上半身を両腕で支えながら、ロール・シエルを諭すように言葉を紡ぐ。
ふたりの言葉に、ロール・シエルの答えは意外と冷静だった。
「分かっているの。あれは奏じゃない。でも、奏なのよ」
「分かっているなら、話をしても無駄だという事も分かっているはずよね」
ロール・シエルを説得するように、なんとか半身を両ひじで支えながら、シュガー・シエルは少し強い口調で声をかけた。
「皆、心配ありがとう。でも、奏は私の助けてを信じてるから。私も私を信じて奏を助けたい!」
ロール・シエルは奏を見据えながら、必ず助けるという思いを強くした。
「ロール・リボンッ!」
ピンク色の光が黒い煙の奏を包み込む。
力の限りパワーをリボンに送る、ロール・シエル。すると、青色の光がロールリボンに加わった。
「シュガー・シエル!あなた……」
「前を向きなさい。ロール・シエル!」
次いで、緑色の光がロール・シエルとシュガー・シエルを包み込む。
ロール・シエルは、体があたたかくなるのを感じた。
「フェア・シエル!能力が回復していくわ!」
「癒やしの能力は、信じるチカラよ。ロール・シエル」
フェア・シエルは微笑んだ。
赤色の光がピンク色のリボンに加わる。
「プレシャス・シエル!ありがとう」
ロールリボンに、赤色、青色のパワーが重なり合い、緑色の癒やしのパワーの効果も交わり、輝きが増した。
「最後の悪あがきをしましょう!」
プレシャス・シエルの言葉に、四人は力強くうなずいた。
シエルフォースの能力が完全に合わさったその時、黒い煙を纏っている奏は、その威力に唸り声を上げた。
「ヴアアアアアアアアアーーーーァッ!!!!」
苦しみながら唸り声を上げ続ける。そして、浄化されていった。
黒い煙から開放された奏は、その場に力無く崩れ落ちた。
ロール・シエルは奏を抱き止めた。
奏の浄化と共にロール・シエルの魔法も溶けて、いつもの八巻に戻った。
静かに寝息を立てている奏の姿に安心した八巻は、そっと奏を抱きしめた。
プレシャス・シエル達も、元の姿に戻っていた。
そして、八巻と奏の様子を静かに見守っていた。
プレシャス・シエルこと、貴子。
フェア・シエルこと、美里。
シュガー・シエルこと、嘉知。
今回の事件をきっかけに、彼らは八巻とっても、奏にとっても、かけがえのない友人になった。
これからも、シエルフォースの活躍はあるのだろうか。
八巻は二度とこんな事は懲り懲りだと、優しい微笑みで眠りにつく腕の中の奏を、力強く抱きしめた。
ありがとうございました。
次回もラジオ番組の投稿コーナー
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妄想【愛の劇場】#9「ブランコ」




